2023年のF1グランプリも開幕から早2カ月、レッドブルが抜け出し、3強がその後を追うという構図となっているが、その後ろの中団グループはグランプリごとにその順番が異なる、混沌として状況となっている。F1チーム紹介第8回最終回は、ハース、アルファロメオ、ウィリアムズに注目した。

ロングランの速さでも大きな進化を見せるハース

昨シーズン、コンストラクター選手権8位を獲得、躍進を遂げたハースは、若いミック・シューマッハーに代えてベテランのニコ・ヒュルケンベルグを起用。ケビン・マグヌッセンとともに、経験豊富なドライバー陣でシーズンにのぞんでいる。

この戦略はここまでうまく機能し、予選の一発の速さで存在感が高まっていると同時に、課題とされたタイヤマネージメント、ロングランの速さでも大きな進化を見せている。とくに第5戦マイアミGPではマグヌッセンが4番グリッドを獲得し、決勝でも攻めて10位に入り大きな注目を集めた。

フェラーリからパワーユニットの供給を受け、元フェラーリのシモーネ・レスタがテクニカルディレクターを務めるなど、フェラーリとの関係が深い。

今後、2023年型マシン「VF-23」をどう進化させていくか、ふたりのベテランドライバーの活躍が期待される。

●●マネーグラム ハース F1チーム

チーム名:ハース F1チーム
本拠地:カンナポリス/ アメリカ
ドライバー:ケビン・マグヌッセン/ニコ・ヒュルケンベルグ
チーム代表:ギュンター・シュナイダー
テクニカル・ディレクター:シモーネ・レスタ
シャシ:ハースVF-23
パワーユニット:フェラーリ

●ケビン・マグヌッセン / Kevin Magnussen

カーナンバー:20
国籍:デンマーク
生年月日:1992年10月3日 / 30歳
第1戦バーレーンGP:予選17位/決勝13位
第2戦サウジアラビアGP:予選13位/決勝10位
第3戦オーストラリアGP:予選14位/決勝リタイア
第4戦アゼルバイジャンGP:予選18位/決勝13位
第5戦マイアミGP:予選4位/決勝10位

●ニコ・ヒュルケンベルグ / Nicolas Hülkenberg

カーナンバー:27
国籍:ドイツ
生年月日:1987年8月19日 / 35歳
第1戦バーレーンGP:予選10位/決勝15位
第2戦サウジアラビアGP:予選11位/決勝12位
第3戦オーストラリアGP:予選10位/決勝7位
第4戦アゼルバイジャンGP:予選17位/決勝17位
第5戦マイアミGP:予選12位/決勝15位

アルファロメオは一発の速さが課題

2022年コンストラクター選手権6位のアルファロメオは、昨年と同様、バルテリ・ボッタスと周冠宇のドライバー体制で開幕を迎えたが、スタートダッシュでやや出遅れた感が否めない。

粘り強い走りでポイントを獲得しているが、予選ではなかなかタイムを伸ばせず、ようやく第5戦で初めてボッタスがQ3に進出した。入賞を狙うためには、今後は予選での一発の速さも必要だろう。

チーム名にタイトルスポンサーのアルファロメオの名を冠しているが、実際の運営母体はザウバー・モータースポーツAGで、フレデリック・バスールのフェラーリ移籍、シモーネ・レスタのハース移籍などもあり、フェラーリとの関係はやや薄らいでいるとも言われる。

なお、アルファロメオの名を冠しての参戦は2023年が最後となる。

●●アルファロメオ F1チーム ステイク

チーム名:アルファロメオ F1チーム
本拠地:ヒンウィル/ スイス
ドライバー:バルテリ・ボッタス/周冠宇
チーム代表:アレサンドロ・アルンニ・ブラビ
テクニカル・ディレクター:ヤン・モショー
シャシ:アルファロメオ ザウバー C43
パワーユニット:フェラーリ

●バルテリ・ボッタス / Valtteri Bottas

カーナンバー:77
国籍:フィンランド
生年月日:1989年8月28日 / 33歳
第1戦バーレーンGP:予選12位/決勝8位
第2戦サウジアラビアGP:予選14位/決勝18位
第3戦オーストラリアGP:予選19位/決勝11位
第4戦アゼルバイジャンGP:予選14位/決勝18位
第5戦マイアミGP:予選10位/決勝13

●周冠宇 / Guanyu Zhou

カーナンバー:24
国籍:中国/上海
生年月日:1999年5月30日 / 23歳
第1戦バーレーンGP:予選13位/決勝16位
第2戦サウジアラビアGP:予選12位/決勝13位
第3戦オーストラリアGP:予選17位/決勝9位
第4戦アゼルバイジャンGP:予選16位/決勝リタイア
第5戦マイアミGP:予選14位/決勝16位

名門復活に向け大胆な体制変更を行うウィリアムズ

開幕5戦を終えてコンストラクターズ最下位となっているウィリアムズは、まだ実を結んでいるとは言えないが、アレックス・アルボンが第1戦バーレーンGPでいきなり10位入賞を果たすなど、名門復活に向けた意欲を見せている。

チームは2023年シーズンに向け、チーム代表に元メルセデスのジェイムス・ヴァゥルスを起用する一方で、ヨースト・カピートとテクニカル・ディレクターのフランソワ・グザビエ・ドゥメゾンを解任、チーム体制を一新した。

またドライバーの体制も変更、ニコラス・ラティフィとの契約を解除し、アレックス・アルボンのチームメイトとしてアカデミー出身のローガン・サージェントを抜擢している。

サージェントは2022年のF2で優勝2回、ポールポジション2回、ランキング4位でスーパーライセンスを取得したアメリカ人ドライバー。アメリカでF1人気が沸騰する中、サージェントへの注目も高まっている。

●●ウィリアムズ レーシング

チーム名:ウィリアムズ レーシング
本拠地:グローヴ/ イギリス
ドライバー:アレックス・アルボン/ローガン・サージェント
チーム代表:ジェイムス・ヴァゥルス
シャシ:ウィリアムズFW4
パワーユニット:メルセデス

●アレックス・アルボン / Alexander Albon

カーナンバー:23
国籍:イギリス
生年月日:1996年3月23日 / 27歳
第1戦バーレーンGP:予選15位/決勝10位
第2戦サウジアラビアGP:予選17位/決勝リタイア
第3戦オーストラリアGP:予選8位/決勝リタイア
第4戦アゼルバイジャンGP:予選13位/決勝12位
第5戦マイアミGP:予選11位/決勝14位

●ローガン・サージェント / Logan Sargeant

カーナンバー:2
国籍:アメリカ
生年月日:2000年12月31日 / 22歳
第1戦バーレーンGP:予選16位/決勝12位
第2戦サウジアラビアGP:予選20位/決勝16位
第3戦オーストラリアGP:予選18位/決勝リタイア
第4戦アゼルバイジャンGP:予選15位/決勝16位
第5戦マイアミGP:予選20位/決勝20位