2023年5月11日〜14日(現地時間)、WRC(世界ラリー選手権)第5戦ラリー・ポルトガルが古都ポルト近郊のマトショニスを起点に開催され、トヨタのカッレ・ロバンペラが優勝、2位はヒョンデのダニ・ソルド、3位にもヒョンデのエサペッカ・ラッピが入った。勝田貴元は初日にデイリタイアとなったが、2日目から再出走、最終のパワーステージでボーナスの2ポイントを獲得した。

王者ロバンペラが独走、混戦の選手権から抜け出す

昨年2022年チャンピオンのロバンペラが、5戦目にしてようやくシーズン初優勝を飾った。

勝田貴元がSS3を前にオルタネーターのトラブルでストップ。ポイントリーダーのエルフィン・エバンスもSS7でクラッシュしてリタイアと、厳しいラリー初日となったトヨタ。しかし、残されたロバンペラがさすがの走りを見せた。

スタート順の不利が予想された初日午前に2番手の好位置につけると、午後にはあっさりと首位を奪取。

圧巻だったのは土曜日で、他のドライバーのタイムを大きく引き離す4連続ベストを叩き出し、瞬く間に食い下がるソルドとの差を10.8秒から55.2秒まで広げてラリー半ばにして優勝争いに決着をつけた。

セバスチャン・オジェは欠場、エバンスが序盤でリタイアし、オィット・タナック(Mスポーツ・フォード)は初日のパンクが響いて表彰台に上がれず、ティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)も日曜日の走り出しからターボトラブルに見舞われて5位まで後退と、ドライバーズ選手権でのライバルたちがポイントを伸ばせない中、ロバンペラは最終パワーステージでも貫禄のベストタイム。フルポイントとなる30点を獲得してラリーをフニッシュした。

勝田はデイリタイア。再出走で手堅くポイントを獲得

これでロバンペラはWRC通算9勝目。昨年の第11戦ニュージランドで勝って以降はツキにも見放されていて、今回が約7カ月ぶりの優勝となった。

パワーステージを走り切った直後には「昨年、チャンピオンを決めたてから、自分にとってはずっとタフなラリーが続いてきた。長いトンネルだったけどこれでやっと抜けられたよ。いつも全力でサポートしてくれたチームや家族に感謝したい」と感極まった表情を見せた。

デイ1でメカニカルトラブルによりデイリタイアとなった勝田貴元は、再出走を果たし、最終のパワーステージでは4番手タイムを記録し、ボーナスの2ポイントを獲得している。

次戦第6戦は中2週のインターバルで、6月1日〜4日、ラリー・イタリア・サルディーニャが開催される。このイベントは、サルディーニャ島北部のオリビアを起点に開催される今シーズン3戦目のグラベル(未舗装)ラリーで、道幅が狭く、硬い岩盤の上に砂が浮くハイスピードラリーとなる。(文:新村いつき)

●2023年 WRC第5戦ラリー・ポルトガル 結果

1位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)3h35m11.7s
2位:D.ソルド(ヒョンデ i20 N ラリー1)+54.7s
3位:E.ラッピ(ヒョンデ i20 N ラリー1)+1m20.3s
4位:O.タナック(フォード プーマ ラリー1)+2m04.1s
5位:T.ヌーヴィル(ヒョンデ i20 N ラリー1) +8m22.5s
6位:G.グリーンスミス(シュコダ ファビア RS ラリー2)+9m43.4s
7位:O.ソルベルグ(シュコダ ファビアRS ラリー2)+9m44.6s
8位:A.ミケルセン(シュコダ ファビア RS ラリー2) +10m26.4s
9位:Y.ロッセル(シトロエン C3 ラリー2))+11m33.2s
10位:T.スニネン(ヒョンデ i20 N ラリー1)+12m16.3s
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33位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)

●2023年 WRCドライバーズランキング(第5戦終了時)

1位 K.ロバンペラ(トヨタ) 93
2位 O.タナック(Mスポーツ フォード)77
3位 S.オジェ(トヨタ)69
4位 E.エバンス(トヨタ)69
4位 T.ヌーヴィル(ヒョンデ)68
6位 E.ラッピ(ヒョンデ)46
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9位 勝田貴元(トヨタ)18

●2023年 WRCマニュファクチャラーズランキング(第5戦終了時)

1位 トヨタ 194
2位 ヒョンデ 165
3位 Mスポーツ フォード 130