シトロエンのCセグメントカーであるC4がフルモデルチェンジを果たした。新型はボディがクロスオーバーSUVのスタイルに一新されたほか、 BEVのE-C4もラインナップされるなど注目点が多いモデルとなっている。(Motor Magazine2022年1月号より)

日本の交通環境にもジャストフィットするサイズ

近年のシトロエンはSUVラインナップを拡充している。2021年も4月に本国で新たなフラッグシップモデルとなるDセグメントの個性派クロスオーバービークル、C5 Xを発表し、勢いのあるブランドであることを印象づけた。

そんなシトロエンのポートフォリオの中で、現在もっとも売れているのが、20年秋に発売された新型C4である。C4といえば、かつてはCセグメントのコンパクトハッチバックだったが、過去にはミニバンのC4ピカソ(現在はグランドC4スペースツアラー)、C4カクタス、C4エアクロス(日本未導入)などが存在した。C4は、「時代の変化に合わせてそのスタイルを変化させてきたモデル」と言えるかもしれない。

ニューC4も、今の時代にジャストフィットのコンパクトクロスオーバービークルである。全長4360mm、全幅1800mm、全高1525mmというコンパクトで手ごろなサイズも、今どきの都市部のユーザーにはピッタリだ。1550mmの高さ制限がある日本の立体駐車場にも入る。

ホイールベースが2670mmと長いが、新型C4はPSAのコンパクトカー用プラットフォームであるCMPを採用している。ホイールベースはCMP採用モデル中で最長だが、メカニズムは基本的にプジョー2008やDS3クロスバックと共通である。

プジョー2008やDS3にはBEVのe-2008やDS3 Eテンスがあるが、ニューC4にもE-C4が用意されている。今回はドイツのフランクフルト近郊で、このE-C4に試乗することができた。

デイタイムランニングライトとリアコンビランプが、Yの字を横に倒したような、個性的なデザインをまとうE-C4は、スポーティなクーペフォルムに力強さもたたえたエクステリアが印象的。とてもカジュアルでアクティブなイメージを放っている。

クロスオーバーSUVとして、パッケージ性能も秀逸

インテリアも同様にカジュアルな雰囲気で、10インチのセンタータッチディスプレイやフルデジタルのメーターパネル、ポップアップ式のHUDなどが、デジタルガジェット的なイメージも演出。ブラックの合皮とグレーのファブリックのコンビシートは、肩の位置に細かいモザイク柄のグレーのストライプがアイキャッチとなっている。

室内はe-2008より明らかに広い。フロントシートはシトロエンらしくクッションが厚く、優しく包み込むような座り心地だ。リアシートはやや硬めだが、長いホイールベースのおかげで前後方向にたっぷり余裕があり、前席シート下に出っ張っているバッテリーも気にならない。ヘッドクリアランスも身長180cm程度の人ならまったく問題ない空間を確保している。また前後とも座面の高さが絶妙で、とても乗降性が良い。

荷室容量は通常時で380L。60:40分割のリアシートを倒せば、かなりフラットな最大1250Lの空間が現れる。開口部の形状は良く、フロアもシル部と段差がないので、使い勝手は良さそうだ。

走りはこれぞシトロエンといった仕上がりだ。136psと260Nmを発揮する電気モーターは十二分に力強く、ドライバビリティも良好。郊外や高速ではDモード、市街地ではBモードを使えば、とてもスムーズに運転できる。ハンドリングは素直で、直進性も抜群に良い。まるで運転が上手くなったような感覚を覚えた。

またe-2008は低重心で重厚感のある乗り味が印象的だったが、同じCMPベースのE-C4は、よりしなやかで魔法の絨毯的な乗り心地が味わえる。BEVだけに静粛性も文句なく高い。

リチウムイオンバッテリーが容量50kWhで、航続距離がWLTPモードで約350とやや短い点は悩みどころだが、このクラスでは抜群にスタイリッシュで使い勝手に優れ、走りも上質なE-C4は、BEVを所有できる環境がある人にとって、非常に魅力的な選択肢になるはずだ。(文:竹花寿実/写真:山本佳吾)

●シトロエン E-C4 主要諸元

●全長×全幅×全高:4360×1800×1525mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1714kg
●モーター最高出力:100kW(136ps)
●モーター最大トルク:260Nm
●バッテリー総電力量:50kWh
●WLTPモード航続距離:340−353km
●駆動方式:FWD
●タイヤサイズ:195/60R18