2022年の上半期に過去最高の業績を記録したランボルギーニ。立役者はスーパーSUVのウルスである。そんなウルスの高性能版、ウルス ペルフォルマンテの国際試乗会に参加、オンとオフの実力を確認した。(Motor Magazine2022年12月号より)

ドライブモードに低グリップ走行用「Rally」を新たに設定

「パフォーマンス」という意味を持つ「ペルフォルマンテ」がランボルギーニのスーパーSUV、ウルスのラインナップに加わった。このモデルは、この夏に開催されたザクエイルモータースポーツギャザリングで初公開され、さらにはパイクスピークヒルクライムのコースで量産SUV最速レコードを樹立し、その性能の高さも立証している。

搭載するのは、ベースのウルス同様、4L V型8気筒ツインターボエンジンだが、最高出力が17ps高められ666ps、最大トルクは2300rpmから850Nmを発生する。これにより0→100km/h加速3.3秒、0→200km/ 加速11.5秒、最高速度306km/h、100km/hからの制動距離は32.9mという実力を持つ。

そしてトピックスとしては、ドライブモードに、これまでの「Strada」、「Sport」、「Corsa」、「EGO」に、加え、低グリップ路の走行用として新たに「Rally」が加わったことが挙げられる。
軽量化もウルスペルフォルマンテの特筆する点で、カーボンファイバーの多用や超軽量チタン製エキゾーストシステムの採用などによりウルスと比較して47kgも軽量化されている。

具体的には、フロントフードやリアウイング、ホイールアーチなど多くのカーボンファイバーが使われる。またオプションでルーフをフルカーボンファイバーにすることも可能だ。さらには超軽量チタンを使用したアクラボビッチ製エキゾーストシステム、鍛造22インチ軽量ホイールも採用される。

ウルス ペルフォルマンテはサーキットが似合うSUV

今回は、そんなウルス・ペルフォルマンテに試乗した。舞台となったのはイタリアローマ郊外にある全長約4kmのヴァレルンガサーキットである。さらに特設オフロードコースでも試乗することができた。実は、ウルスがデビューした2018年にまったく今回と同じ場所で国際試乗会が開かれ参加しているので、ここには4年ぶりに訪れたことになる。

まずはサーキットを走ったオンロードの印象から報告する。ドライブモードは、「Corsa」を選んで走った。まず結論から言えば、18年に同じコースでテストドライブしたときより、ストレートもコーナーも速度が確実に上がっている。高速域でもボディが終始安定していて、どこからでもアクセルペダルを踏んでいけるのだ。

ペダルやハンドル操作からのレスポンスも鋭く素晴らしいハンドリングが味わえた。4輪が路面をしっかり摑んでいる感覚がとても強い。クルマからのフィードバックも豊富で、スポーツ性も確実に向上している。

さらにアクティブアンチロールバーの効果により、姿勢変化も少なく、フラットなコーナリングは、SUVで走っているというよりは、まるで背の低いスポーツカーのハンドルを握って走っている感覚である。リアホイールステアリングの採用も、このダイレクトなドライブフィールの印象をさらに強めているのだろう。

スタイルと走りだけではなくV8サウンドも迫力満点

特設オフロードコースでは、「Rally」で走行する。このモードを選ぶとオーバーステア特性に設定され、ドリフトさせながらコーナリングしていくというド迫力なウルスを体験した。

助手席に同乗した開発ドライバーも兼ねるインストラクターからは、コーナーに入ると「ガス、ガス、ガス」(アクセルペダルをもっと踏め!という意味)と言われ、調子に乗って右足を踏み込み
ながら走るとリアが外側に流れ、カウンターをあててコーナーの出口に向かって進んでいく。

つまりドリフトしながらもボディを安定させ、コーナーをクリアしていくのだ。隣からも「エクセレント!」と声がかけられ、ついつい乗せられてしまうのだが、これは実にエキサイティングな経験だった。もちろんタイヤの限界は超えられないが、やはり以前走った時よりオフロードコース試乗も速度が上がっても、扱いやすいという印象である。

こうしたテストドライブのときにいつも思うことは、人間の感覚に訴えかけてくるクルマは素晴らしいということだ。そうしたことを考えつつ、視覚に入るエクステリアやインテリアのデザイン、耳に届く迫力のV8サウンド、高級素材のアルカンターラを惜しみなく使い、触り心地もいいハイクオリティのインテリアなど、そのどれもが五感を刺激してくる。ウルス ペルフォルマンテは、さすがランボルギーニの作品だなと思わせる内容になっていた。

エクステリアデザインは、ひと目でウルスだとわかるものだが、それでも大きく空いたフロントのエアインテークやカーボンファイバー素材、ランボルギーニのデザインアイコンであるY字や六角形
などの使われ方もかなりアグレッシブな印象である。

チーフデザイナーのミーティア・ボルケート氏に、ウルス ペルフォルマンテで一番特徴的なデザイン部分はどこかと聞くと「ここです」とフロントバンパーに左右に付けられたエアインテークをすぐに指した。この部分は高性能であり、軽量であり、ダイナミックなウルス ペルフォルマンテを物語っていると言うのだ。他にも明らかにランボルギーニのDNAが感じられるところも随所に見られるが、そのあたりもデザイン要素としてとても重要なのだと言う。

パイクスピークで記録を塗り替える場に選んだ理由

テクニカル部門の責任者、ルーヴェン・モール氏に話を聞く機会があったので、最高出力の666ps
はもうこのエンジンが出せる限界の数値なのか、もっと高出力を出せたのかと聞いた。

「666はいい数字でしょ。だからこれにしました。6655でも667でもないのはそういうことです」という答えが返ってきた。

さらに0→100km /h加速3.3秒はアストンマーティンDBX707、ポルシェカイエンGTターボなどのライバルも達成しているが、それについてはどう思うか。ポルシェに遠慮したのではないかと聞くと、

「ウルス ペルフォルマンテのパフォーマンスは、0→100km/h加速タイムだけではありません。0→200km/h加速タイムやオフロード性能、ブレーキ性能などすべてにおいてハイパフォーマンスとなっています」

またパイクスピークのヒルクライムで量産SUV最速タイムのレコードを更新したが、どうしてそこを選んだのか。ニュルブルクリンクでの最速タイムでも良かったのではないか、という質問には、

「整地され路面のいいサーキットではなく、荒れた路面などがあるパイクスピークの方が、スーパーSUVとしてのウルス ペルフォルマンテの万能的な性能を実証するには最適な場所であると考えました。従来のレコードを17 秒も塗り替えたのですから、このクルマの高性能ぶりは実証されたと思います」

ウルス ペルフォルマンテは、価格もすでに発表されていて、欧州が21万8487ユーロ(1ユーロ145円換算で約3168万円)となる。デリバリーは、22年末ごろから開始される予定だが、23年納車分はすでに完売しているというから、ライフサイクルの生産台数を考えると残りは少ないと考えられる。オーダーするなら、早い決断をオススメする。

デビューから2万台以上が生産され、ウラカンシリーズと並びランボルギーニの好調を支えるスーパーSUVのウルスは、このペルフォルマンテに続き、同じ出力ながらもう少し汎用性のあるウルスSもデビューしている。今後は、残りのライフサイクルをこの2モデルがランボルギーニの顔となっていくのである。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:ランボルギーニ)

●ランボルギーニ ウルス ペルフォルマンテ主要諸元

●全長×全幅×全高:5137×20260×1618mm
●ホイールベース:3006mm
●車両重量:2150kg(DIN)
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●総排気量:3996cc
●最高出力:490kW(666ps)/6000rpm
●最大トルク:850Nm/2300−4500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・85L
●タイヤサイズ:前2850/40R22、後325/35R22
*EU準拠