「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、メルセデス・ベンツ Cクラス クーペだ。

メルセデス・ベンツ Cクラス クーペ(2011年:車種追加)

日本ではセダンとワゴンのマイナーチェンジが発表されたばかりのCクラスだが、本国では新たにクーペが追加された。セダンよりも約40mm低い車高やショートオーバーハング&ロングノーズのシルエットなど伝統的なクーペといった佇まいで、先代のCクラス スポーツクーペよりもグッと本格派だ。

日本導入が見込まれているのは1.8L 直4ターボのC180、そのハイパワー版のC250、3.5L V6のC350、それに6.2L V8のC63AMGの4車種。2011年内をめどに、まずC250から導入される予定だ。

今回の国際試乗会でとくに印象的だったのが、これまでCクラスやEクラスで体験してきた直4のフィーリングが格段に良くなっていることだ。エンジン本体に大きな変更はないが、ATが5速から7速に変更されて、低回転でのトルクが一段と力強く感じられ、高回転まで引っ張らなくてもそこそこのペースを維持できるようになった。204psのC250のほうが余裕はあるが、156psのC180でも十分だ。

動力性能のみならず、静粛性も向上している。エンジンの使用回転数が下がっていることに加えて遮音性能も高まっているようで、いかにも直4的なビリビリとした音が封じ込まれている。いっぽう、V6は370Nmの大トルクと自然吸気ならではのレスポンスの良さが気持ち良い。全体的に軽快な直4に対して重厚なV6といった雰囲気があり、昔ながらのメルセデス ファンにもウケそうだ。

乗り心地は良く、しかもハンドリングはスポーティ

また、新規車種でありながら絶妙な熟成感があったのも嬉しい驚きだった。2007年に登場した現行Cクラスは、当初ボディの剛性感の高さやメルセデスらしからぬ(!?)スポーティさが際立っていたものの、グレードによっては乗り心地が少々硬めだった。

ところが今回試乗したCクラスクーペは大径タイヤやスポーティなサスペンションを装着したモデルでも不快な突き上げなど皆無。それでいてCクラスが目指したスポーティなハンドリングは、セダン以上に磨きがかかっている。とくに直4はノーズが軽く、ワインディングでの楽しさはピカイチだ。

もっとも、純粋な楽しさという点ではC63 AMGが群を抜いていると言わざるを得ない。最近のAMGはダウンサイジングの5.5Lターボの採用が進んでいるが、コンパクトなCクラス クーペには引き続き6.2Lの自然吸気V8を搭載。いくら最近のターボが良くなっていると言っても、やはりミリ単位のアクセルワークにも敏感に反応するリニア感は自然吸気に分がある。右足とエンジンが直結しているかのような感覚が気持ちいい。

ハンドリングもナチュラルだ。AMGらしく機敏な反応をみせるが、それがけっしていきすぎたものではなく実にコントローラブル。ハイパフォーマンスながら手の内に収められる実感がある。AMG車の中でもっとも乗りやすいかもしれない。日本には、まずセダン版のC63が導入される予定だ。

メルセデスらしいコンフォート性能と新世代のスポーティさが絶妙にマッチしたCクラス クーペ。現行Cクラスが標榜したコンセプトの完成形といった出来映えだ。

●■メルセデス・ベンツ C250クーペ(欧州仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4590×1770×1406mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1550kg
●エンジン種類:直4 DOHCターボ
●排気量:1796cc
●最高出力:150kW<204ps>/5500rpm
●最大トルク:310Nm<31.6kgm>/2300-4300rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:14.3〜15.4km/L
●タイヤサイズ:225/45R17

●■メルセデス・ベンツ C63 AMGクーペ(欧州仕様) 主要諸元

●全長×全幅×全高:4707×1795×1391mm
●ホイールベース:2765mm
●車両重量:1730kg
●エンジン種類:V8 DOHC
●排気量:6208cc
●最高出力:336kW<457ps>/6800rpm
●最大トルク:600Nm<61.2kgm>/5000rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:FR
●EU総合燃費:8.3km/L
●タイヤサイズ:前235/40ZR18、後255/35ZR18