セブンつながりでウルトラセブン?とは・・・と軽く感心させられた新製品テレビCMをはじめ、最近、YOKOHAMAが面白い。モータースポーツのサポートからエコな製品開発まで、多岐にわたる横浜ゴムの取り組みを「おまとめ」してみた。

最新スタッドレスが「グッドデザイン賞」。黒くて丸いタイヤのどこがどう「グッド」なのか【2021年10月20日発表】

2021年8月から北海道を皮切りに放映されている横浜ゴムの最新スタッドレス「iceGUARD 7(アイスガード セブン)」のテレビCMを、ご覧になったことはあるだろうか。「セブン」つながりで?ウルトラセブンが登場、女優の深田恭子とのダブル主演??はなかなかに見ごたえがある。

そんな強力サポーターたちのおかげ、というワケでもないのだろうけれど、「アイスガード セブン」が2021年度グッドデザイン賞を受賞した。もっとも、黒くて丸いスタッドレスのどんなところが「グッドデザイン」として評価されたのか、少々不思議な感じがする。

ちなみに受賞に対する審査員のコメントは以下のとおり。

「同社の乗用車用スタッドレスタイヤiceGUARDは、路面凍結による氷対策を重要視してきましたが、4年ぶりのこの新製品(アイスガード セブン:製品名はYOKOHAMA iceGUARD iG70)は、氷対策と相反する作用が必要な雪対策にも新境地を開いたものです。具体的には、接地面積が重要な氷対策を重視しながら、溝とサイプのエッジ量で雪に効かすことを達成しています。また、耐久性が課題であったスタッドレスタイヤのゴムの硬化を抑え、摩耗時のサイプの太さを変えることで『永く効く』性能も兼ね備えました」

「デザイン」そのものへのコメントとしては、やや曖昧な感じだが、溝とサイプのエッジ量のバランスがどうやら、審査員のセンスを刺激したようだ。

ちなみに2020年にも横浜ゴムの製品はグッドデザイン賞を受賞しているのだが、その時のコメントはもう少しわかりやすい。

「雪での性能向上を実現する多くの溝(エッジ)」とか「4本の主溝が強調されたシンプルなトレッドパターン」、あるいは「多数のサイプ(細溝)を配置する独自のトレッドパターン」など、デザイン性と優れた機能性のバランスが、高い評価を得ていた。

バイオマス由来のブタジエンゴムでタイヤを試作【2021年8月10日発表】

横浜ゴムは2021年度から2023年度までの中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」(ヨコハマ・トランスフォーメーション・ニーゼロニーサン)において、「未来への思いやり」をスローガンに掲げた。地球環境保護のためのカーボンニュートラルへの取り組みの一環として技術開発を進めているのが、持続可能な原料調達だ。

新たに試作されたグランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51」(185/60R15サイズ)は、まさにその一環にあるもの。石油由来のゴムを全てバイオエタノール由来のブタジエンゴムと天然ゴムに変更している。しかし材料性能は、従来の石油由来のゴムとなんら遜色はない。

路面からの衝撃や外傷からタイヤ内部を守るキャップトレッドは、グリップや摩耗の抑制といったタイヤの性能にも大きく寄与するというが、この部分にもブタジエンゴムを採用。実は摩耗の抑制に貢献するのだという。また走行時の変形がもっとも大きいサイドウォールは、柔軟で変形に追随しやすいブタジエンゴムの特性が適しているのだそうだ。

国内最大規模のeモータースポーツイベントをスポンサード【2021年9月22日発表】

横浜ゴムは、スーパーGTやスーパーフォーミュラなどモータースポーツ参戦チームへのタイヤ供給を積極的に行っている。そうした取り組みが、リアルからバーチャルに拡大。JEGT実行委員会が主催(主管:NGM)している国内最大規模のeモータースポーツイベント「AUTOBACS JEGT GRAND PRIX 2021Series(以下、JEGT GRAND PRIX )」を、スポンサーとしてサポートする活動をスタートしている。

このイベントは、リアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモSPORT」を使ったカーレースで、2022年1月に開催予定のグランドファイナルに向けて個人戦、団体戦が開かれる。有名ゲーマーはもちろん、プロレーサー、自動車関連企業などがハイレベルな戦いを繰り広げているという。

横浜ゴムと言えば、タミヤが主催するミニ四駆日本一決定戦にもスポンサードを行っている。さまざまなシーンで「クルマで遊ぶ」文化へのサポート活動に非常に積極的な姿勢には、共感を覚える。

AIを活用したタイヤ特性値予測システムを独自開発【2021年12月2日発表】

2021年12月、横浜ゴムはAIを活用したタイヤの特性値予測システムを独自に開発、実際にタイヤ開発現場での運用を開始した。

このシステムは、2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab※(ハイコラボ:Humans and AI collaborate for digital innovationをもとにした造語)」に基づいて開発されたシステム。タイヤの設計パラメーターである構造や形状に関する仕様データ、コンパウンドなどの物性値に関する材料データ、評価条件を端末上で入力すると、予測されるタイヤ特性値をAIが判断し出力してくれるという。

ただしこのシステム、信頼性を確保するのがなかなか難しい。なにしろタイヤは求められる仕様によって内部構造が異なることから、設計パラメーターの種類や数が多岐にわたる。このためAIの学習に利用する全データを構造特徴に合わせて細分化、適切に使い分ける必要があるのだけれど、それがAIの予測精度を下げてしまいかねないのだという。

横浜ゴムは、その問題について、関連する他の領域で学習したAIの予測能力を移植(転移学習)することによって予測精度を向上させていく、とのこと。それによって、人のひらめきや発想といった「新たな可能性」を、仮想実験によってスピーディに裏付けできるようになる。

さらなるタイヤの性能向上はもちろんだけれど、開発のスピードアップやコスト削減にも効果あり。しかも、経験の浅い技術者によるタイヤ設計が容易になることが期待できるのだそうだ。横浜ゴムが目指す「人とAIの協奏」がどんな新しいタイヤを生み出すのか。まずは興味津々といったところだろう。(文:Webモーターマガジン編集部 神原 久/写真:横浜ゴム)