「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、TRDが手がけたトヨタ アクアだ。

アクア TRD スポルティーボ(2012年:チューンドカー)

TRD(トヨタ レーシング ディベロップメント)は、モータースポーツなどで培った技術を活かして、トヨタ車のチューニングパーツの製作や販売を行っており、最近では[コンプリートカーの販売]なども手がけている。

※編集部註:TRDは2023年現在、トヨタカスタマイジング&ディベロップメントの1ブランドとして、トヨタ車のカスタマイズパーツなどを製造・販売しています。

また、TRDでは「スポルティーボ」というサスペンションセットを中心に多数のアイテムをラインアップしている。今回、そのデモカーに何台か試乗できた。まずは[コンパクトHVのアクア]から、その走り味を体感してみよう。

ノーマルより20mm車高がダウンされたデモカーの乗り心地は硬めだが、アタリのカドを丸める努力をしたとのことで、不快なレベルではない。また、ノーマルで感じられたバネ下の重そうな感覚は払拭されている。無駄な揺れはほぼ2バウンドで収まり、跳ねる動きも抑えられている。

TRDでは「街中性能」というキーワードを開発要件に加え、トヨタのテストコースだけでなく一般道も走り込み、スピードレンジの高い領域だけでなく、交差点を曲がっただけでも楽しさを感じられるような走りを追求したという。実際、このデモカーを試乗していると、その意味するところが理解できる。ステアリングレスポンスが向上し、よりリニアになっている。

また、車速を上げていくにつれて、タイヤが路面に押し付けられる感覚が増していく。これはおそらくエアロパーツによる空力性能の向上も少なからず寄与しているのだろう。

ハイブリッドでもサウンドが楽しめるマフラーも魅力的

コーナリングの印象もノーマルとはだいぶ違う。単にロールが減っているだけでなく、Rが小さい下り坂という難しいコーナーでも、ノーマルよりも4輪の接地性が安定している印象だ。グリップが唐突に抜けることはなく、アンダーステアやオーバーステアが顔を出しにくい。より安定した中でスポーティな感覚を味わえるように仕上がっている。

ただし、タイヤには注意が必要だ。デモカーには推奨銘柄のタイヤが装着されており、これとのマッチングを図ったとのこと。今回、サスなどはデモカーとまったく同じ仕様でタイヤのみ純正装着品と同じ銘柄を履いた車両にも乗ることができたのだが、印象は正直いまひとつだった。このサスペンションの購入を検討しているのなら、タイヤにも配慮することをオススメしたい。

ハイブリッド車というと「音が静か」というイメージが強いが、このデモカーではマフラーも交換されていた。それゆえ、エンジン走行中はハイブリッド車とは思えないような(?)よりビートの効いた野太いエキゾーストサウンドを聞かせてくれる。そしてエンジンが止まるといきなり静寂が訪れるので、エンジンのオン/オフでの差をより感じることができる。このギャップは、けっこう印象的だった。

TRDが手がけたアクアのデモカーは、アクアが本来持っている楽しさを倍増させており、魅力的に仕上げられていた。ハイブリッド車でも、走りを楽しむことは十分に可能だということを再認識させてくれた。

●全長×全幅×全高:3995×1695×1445mm
●ホイールベース:2550mm
●車両重量:1080kg
●エンジン:直4 DOHC+モーター
●総排気量:1496cc
●エンジン最高出力:54kW(74ps)/4800rpm
●最大トルク:111Nm(11.3kgm)/3600-4400rpm
●モーター最高出力:45kW(61ps)
●モーター最大トルク:169Nm(17.2kgm)
●システム最高出力:73kW(100ps)
●トランスミッション:電気式無段変速機
●駆動方式:横置きFF
●燃料・タンク容量:レギュラー・36L
●JC08モード燃費:35.4km/L
●タイヤサイズ:175/65R15
●当時の車両価格(税込):185万