2023年9月17日(現地時間)、F1第16戦シンガポールGPがンガポール市街地のマリーナベイ・ストリート・サーキットで開催され、フェラーリのカルロス・サインツが今シーズン初優勝。2位にはマクラーレンのランド・ノリス、3位にはメルセデスのルイス・ハミルトンが入った。2台そろってQ3進出を逃したレッドブルは、マックス・フェルスタッペン5位、セルジオ・ペレス8位に終わった。角田裕毅(アルファタウリ)はまたもやリタイアとなる一方で、チームメイトのリアム・ローソンが8位に入賞した。
タイヤギャンブルも空振り、レッドブル惨敗で連勝ストップ
開幕から続いていたレッドブルの連勝がついに止まった。
大不振の予選からの奇跡の挽回を信じて、ハードタイヤでのスタートを選んだ2台のレッドブルだったが、まだ誰もタイヤ交換を済ませていない20周目にセーフティカーが出て、その戦略も水の泡となった。
マックス・フェルスタッペン、セルジオ・ペレスともにステイアウトして一時的に順位は上がったものの、再スタート直後に2台揃って、タイヤ交換を済ませた後続に次々にかわされて万事休す。タイヤ交換後に追い上げてフェルスタッペン5位、ペレス8位まで挽回するのが精一杯だった。
巧みな戦略でメルセデスを封印、サインツJが殊勲の勝利
レッドブル不在の優勝争いはフェラーリの2台、メルセデスの2台、そしてマクラーレンのノリスの計5台で争う展開になったが、オーバーテイクが難しいストリートコースでの戦いで、スタートから優位に立ったのはポールポジションからスタートしたサインツだった。
タイヤのデグラデーションが大きいフェラーリの弱点をカバーするために、あえて抜かれない程度にペースを落として2番手のラッセル以下をコントロール。トップ5台がハードタイヤで走行していたレース後半に出たバーチャルセーフティカーのタイミングで、状況打開のためにメルセデス2台が2回目のタイヤ交換を行なってミディアムタイヤで猛追する。この局面で、サインツは2番手に上がったノリスをわざとDRS圏内に近づけて、メルセデス2台をブロックさせるなどの戦略的走りを披露。最終ラップに焦ったラッセルのクラッシュも出て勝負は決まった。
今季レッドブルのふたり以外での初ウィナーとなったサインツは、「ついに状況をひっくり返すことができた。フェラーリを誇りに思うよ。タイヤのことがあったからわざとペースを落としたりしたけど、うまくコントロールできた」と会心の表情だった。
次戦第17戦日本GPは休む間もなく9月22日に三重県の鈴鹿サーキットで開幕、決勝レースは9月24日に開催される。(文:新村いつき)
●2023年F1第16戦シンガポールGP決勝 結果
1位 55 C.サインツ(フェラーリ) 62周
2位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+0.812s
3位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+1.269s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+21.177s
5位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT) +21.441s
6位 10 P.ガスリー(アルピーヌ・ルノー)+38.441s
7位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+41.479s
8位 11 S.ペレス(レッドブル・ホンダRBPT)+54.534s
9位 40 L.ローソン(アルファタウリ・ホンダRBPT)+1周
10位 20 K.マグヌッセン(ハース・フェラーリ) +1周
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リタイア 22 角田裕毅(アルファタウリ・ホンダRBPT)
ファステストラップ 44 L.ハミルトン(メルセデス)
●2023年F1ドライバーズランキング(第16戦終了時)
1位 M.フェルスタッペン(レッドブル)374
2位 S.ペレス(レッドブル)223
3位 L.ハミルトン(メルセデス)180
4位 F.アロンソ(アストンマーティン)170
5位 C.サインツ(フェラーリ)142
6位 C.ルクレール(フェラーリ)123
7位 G.ラッセル(メルセデス)109
●2023年F1コンストラクターズランキング(第16戦終了時)
1位 レッドブル 597
2位 メルセデス 289
3位 フェラーリ 265
4位 アストンマーティン 217