プジョー 408はセダンでもステーションワゴンでもなく、スタイリッシュな5ドアファストバックをベースに、大径タイヤを装着して車高を上げたまったく新しいエクステリアデザインで登場した(Motor Magazine2023年2月号より)
違和感を覚えさせない3Diコックピット
ステランティスグループに属するプジョーが2023年1月から欧州で販売を始める408は、フレキシブルなアーキテクチャー「EMP2」を使った5ドアファストバックのクロスオーバーで、モデル名、そしてボディサイズを見てもわかるように308と508の間を埋めるために送り込まれたニューカマーである。
全長4.69mのボディデザインは、21年に登場した308の流れを汲むもので、ボディカラーの破線が並ぶグリル、斜めに切りあがったヘッドライト、その両側から下方に牙のようなデイライトLEDライン(サーベルと呼ばれている)が伸びている。
プラスチック製のホイールアーチプロテクターとサイドシル、そしてリアのダークグレーの武骨な大型プラスチックバンパーは、明らかにSUVクロスオーバーを狙っているのがわかる。一方、ルーフ左右には鋭角的なエアスプリッター、そしてリアライトは立体感のあるクリアカバーの下に3本の斜線LEDがレイアウトされた斬新なものとなり、後方からの眺めもスポーティで魅力的である。
一方、iコックピットと呼ばれる運転席周りのデザインはクリーンで、一文字スポークにアナログスイッチが並び上下がフラットなデザインの小径ステアリングホイール、そしてその奥にある3Dデジタルコックピットは上から覗くが、別に違和感はない。
さらにダッシュボード中央には10インチのタッチ機能付きのインフォテインメントスクリーン、その下にはiトグルと呼ばれる使いやすい角度のタッチパネル、さらにその下にはアナログタンブラースイッチがレイアウトされている。使われているハードプラスチックの面積は多いが、素材は安っぽさを感じさせない。
驚くほど高い静粛性。先進性とともに実用性にもこだわる
センターコンソールにあるスタトターボタンを押して、スライドスイッチ状のギアセレクターでDを選択、アクセルペダルを踏み込むと、まずはEV走行でスタートする。小径のステアリングホイールは最初少し切り込み過ぎて戸惑ったが、すぐに慣れ、自然な操舵力と路面からのフィードバックがスポーティなドライブに誘う。
カタログ表記では64㎞ までEVでの走行可能となっているが、ハイブリッドモードにすると1.6L直4ターボエンジンが始動、8速オートマチックを介してスムーズなデュエットが始まる。システム総合出力は225㎰ 、最大トルクは360Nmで、エンジンとモーターの切り替わりやアシストだけでなくブレーキも回生と油圧による減速も自然である。またダイナミック性能は0→100㎞ /h加速が7.9秒、最高速は233㎞ /hと十分以上だ。
約19㎝ の最低地上高を持った、やや硬めのシャシはオプションの20インチタイヤを装着しているにもかかわらず路面からのショックは直接伝わらず乗り心地も快適である。また新たに採用された防音ガラスによって車内も静か。さらに2.79mのたっぷりしたホイールベースが生むリアスペースに家族を乗せてのロングツーリングも楽しめる。ラゲッジスペースもリアシートを立てた状態で471Lの容量と十分な広さを持っている。
安全性能も特筆すべきポイント。フロントに装着される大型エンブレムの後ろに隠れたレーダーを含め、合計なんと9基のレーダーと6基のカメラによって速度標識認識+ストップ&ゴーシステムを持ったアダプティブクルーズコントロールなど、合計30件のアシスタントシステムが標準装備されているのは驚きだった。
このプジョー初の5ドアファストバックのクロスオーバーモデル408は、ヨーロッパでは2023年1月末から発売が始まるが、日本での発売時期や価格はまだ発表されていない。もし日本市場への導入が叶えば、冒頭に述べたようにスタイリッシュで独特なデザインがSUVブームの中で非常にユニークな存在になるのは間違いない。(文:木村好宏/写真:キムラ・オフィス)
●プジョー 408 ハイブリッド225主要諸元
●全長×全幅×全高:4687×1848×1478mm
●ホイールベース:2787mm
●車両重量:1706kg
●エンジン:直4DOHCターボ+モーター
●総排気量:1598cc
●最高出力:132kW(180ps)/6000rpm
●最大トルク:250Nm/1750rpm
●モーター最高出力:81kW(110ps)/2500rpm
●モーター最大トルク:320Nm/2500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・40L
●タイヤサイズ:245/40R20