2021年F1はドラマチックなフィナーレとなったが、F1の中継や記事を見ていると、聞き慣れない用語が出てくることがある。なんとなくわかるし、たしかにちょっとカッコいい響きだけど、正確にはどういう意味なのかわからないことがある。そこで、ここではそんな言葉をいくつか集めてみた。今回は「アンダーカット」や「ピットストップウインドウ」、「トゥ」、「タービュランス」、「レコノサンスラップ」、「バックオフ」、「バックマーカー」を解説。

アンダーカットと、これに関連したピットストップウインドウとは

F1中継でやたらと耳にする「アンダーカット」という作戦。これはライバルよりも先にタイヤ交換を行い、フレッシュなタイヤの力で順位の逆転を狙う戦略。タイヤ交換によってラップタイムが向上すると同時に、トラフィックに捕まらない状況であると成功率は大きく上がる。コース上でのオーバーテイクが難しい場合によく使われる。

その逆、ライバルよりも後に行うことを「オーバーカット」というが、こちらはあまり有効とならないので行うことはまずない。アンダーカットを阻止するためにすぐにピットインすることを「カバー」、そのまま走り続けることを「ステイアウト」という。

あるドライバーがアンダーカットの作戦に出た場合は、「ピットストップウインドウ」にいるドライバーの動きに注意しなければならない。

●ピットストップウインドウ

では、ピットストップウインドウとはなに? これは、ドライバーがピットインした場合、隊列のどこでコースに戻れるか、ピットストップ後の位置関係を表わす「幅」のこと。「ピットストップウインドウにいるクルマ」とは、ピットインで順位が変わる可能性のあるクルマのことを指す。

●トゥ

前方を走るマシンの後ろに発生する空気抵抗が小さいエリアのこと。かつてはスリップストリームと呼ばれていたが、最近はトゥと呼ばれることが多い。「カッコいいから」トゥと言われるようになったのではなく、レース関係者の間では以前からトゥと呼ばれていた。

イタリアGPが行われるモンツァサーキットは超高速コースで、空気抵抗の影響が大きいため、チームメイト同士でトゥを使いあってタイムを伸ばすという戦略が行われる。今年2021年最終戦アブダビGPの予選では、フェルスタッペンがペレスに「トゥをもらって」ポールポジションを獲得した。

●タービュランス

乱気流、前方を走行するマシンが引き起こす気流の乱れのこと。前方を走るマシンの後ろは空気抵抗が小さく「トゥを使える」が、近づきすぎると乱れた気流で挙動が乱れることがあるから難しい。

前方を走るマシンが複数になると、タービュランスはさらに複雑で大きなものになる。

●レコノサンスラップ

ピットからコースインしてグリッドに着くまでの周回のこと。レコノサンス(reconnaissance)は「確認・偵察」という意味で、ドライバーはマシンのセッティングやコースを最終確認する。ダミーグリッドに着かずそのままピットレーンに入り通過することで何周でも走行することが可能できる。

ただ走行するのではなく、チェックしながらの走行となるので、しばしばアクシデントが起きる。

ちなみに「フォーメーションラップ」はダミーグリッドからスターティンググリッドに着くまでの周回のこと。

●バックオフ

スロットルペダルを戻して、ペースダウンすること。ブレーキペダルを踏むことによる「ブレーキング」と区別して使う。今年2021年サウジアラビアGPで、フェルタッペンがレースコントロールからの指示で順位を譲るためバックオフしたが、それに気づかないハミルトンに追突されたことがあった。現在のF1マシンは回生システムもあり、バックオフだけでも大きな制動がかかるのだ。

●バックマーカー

周回遅れのマシンのこと。周回遅れの車両にマーシャルから「ブルーフラッグ」が提示され、後ろから来るマシンに道を譲らなくてはならない。

現在のF1では、ほかの車両の位置や動き、レースコントロールからの指示などが、チームからドライバーに連絡されているので大きな混乱はあまりない。