ドイツプレミアムスリーのひとつ、アウディ AGは2021年2月からデリバリー開始となるアウディ e-tron GTをCES2021で発表した。2018年のロサンゼルスモーターショーでプロトタイプが発表されて以来、3年越しで市販化を実現する。アウディ e-tron GTとはどのような車なのか紹介する。

アウディ e-tron GTはポルシェ タイカンの姉妹車

CES2021でアウディ AGが発表したのは、アウディ e-tron GTのほぼ市販型と同様のプロトタイプモデルだ。実は2018年のロサンゼルスモーターショーで初披露となったプロトタイプがかなり市販型に近かったとのことで、プロトタイプと市販車の外見上の違いはショーライクな光るエンブレムの撤去とドアハンドルの敷設とのこと。

もっともこの3年間でEV技術は大きく発達しているし、レース参戦や様々な状況でのテストや試乗会を経て、アウディ e-tron GT開発チームに各方面の多くの専門家の知見を集約したとのことで、ユーザーの目に見えない部分でかなりの改良が加えられての市販型発表となったことは想像に難くない。CES2021では発売開始は2021年2月の予定としており、2月9日にオンラインでローンチ記念イベントが開催され、アウディ e-tron GTの市販モデルがワールドプレミアを迎えた。

アウディ e-tron GTは、ポルシェとの共同開発プロジェクトで開発され、ポルシェ タイカンとは同じJ1シャシを共有している姉妹車だ。アウディ e-tron GTの見た目は端正でスポーティな4ドアクーペだが、中身は最新鋭のハイパフォーマンス電気自動車(EV)だ。そのスペックだがCES2021やオンラインイベントでは主要スペックの発表がなかったので、2018年ロサンゼルスショー当時のものをご紹介する。

ボディサイズが全長×全幅×全高=4960×1960×1380mmとなり、フルサイズに近いアッパーEセグメントモデルだ。モーターは前後に各1基で合計2基を搭載。システム最大出力は590ps、最大トルクは800Nm(81.6kgm)を発揮する。駆動方式はフルタイム4WDのクワトロでトルクベクタリング付きだ。最高時速はあえて240km/hとし、航続距離を稼ぎ、400km以上の巡行を可能としている。0→100km/h加速が3.5秒とかなりの俊敏さを見せる。

電気自動車でスポーツサルーン、思い浮かべる車種は・・・

アウディ擁するフォルクスワーゲングループを見渡してみると、言わずと知れたスポーツサルーンの電気自動車ポルシェ タイカンが思い浮かぶだろう。このモデルはアウディ e-tron GTの姉妹車で、そのスペックをタイカンの市販モデルと比較すると、ボディサイズはタイカンが全長で3mm、全幅で6mm長く、全高で1mm低いだけで、ほとんど同サイズだ。

システム出力で比較してみると、アウディ e-tron GTの590psは、ポルシェ タイカン 4Sのパフォーマンスバッテリープラス搭載時のローンチコントロール時オーバーブースト出力の571psが一番近い。最大トルクはアウディ e-tron GTが800Nm、ポルシェ タイカン 4Sが650Nmで、プロトタイプとはいえアウディ e-tron GTが150Nm勝っている。ポルシェ タイカン 4Sの車両重量が2140kgなので、アウディ e-tron GTも同等の車両重量と考えられ、最大トルクの大きいアウディ e-tron GTはポルシェ タイカンより、よりスムーズな発進が期待できる。

アウディ e-tron GTプロトタイプはポルシェ タイカン 4Sと同等のモデルといえそうだ。ポルシェ タイカン 4Sでは運転支援装置のヘッドアップディスプレイ、アクティブパーキングサポート、ナイトアシスト、トラフィックジャムアシストがオプションとなり、これらを搭載すると89万円のプラスとなる。アウディ e-tron GTではこれら運転支援装置を標準装備するグレードを、すでに日本でも販売されているSUVタイプの電気自動車 アウディ e-tron 50 クワトロ「アドバンスド」のように用意するだろう。ベースグレード、アドバンスドグレード、Sラインなどのグレード展開を考慮に入れても価格は1500から2000万円程度だろうか。この手のプレミアムカーとしては、意外と常識的な価格になりそうだ。

アウディ e-tron GTをアウディのガソリン車とボディサイズで比較すると、アウディ A6が一番近く、同等の車格と考えられる。アウディ A6で一番高価な仕様が、アウディ A6 55 TSFI クワトロ Sラインの1045万円だ。アウディ e-tron GTの価格はアウディ A6より50〜100%高価になると予想され、車格的には割高感を感じる。この価格差は脱炭素社会に移行するための投資費用、ひいては地球温暖化を抑えて、地球がこれからも人類の居住地であり続けるための費用と割り切るしかないだろう。