ロードスターの専門誌「ロードスターBROS」に毎回登場している初代ロードスターの「4040(ヨレヨレ)号」は、1994年式NA8CのVスペシャル。25年も走り続けているので、その名のとおりヨレヨレの状態だ。そんなロードスターをビシッと復活させるためにレストアを決意! それでは最終回の第4話をレポートする。

旧車の場合、まるごとエアコン関係の部品を交換するのが安心

群馬県にあるロードスターショップ「石井自動車」で取り扱っているエアコンコンプレッサーのコンバートキット。これを用いれば、初代NA、2代目NBのロードスターに最新型NDロードスターのコンプレッサーを流用できるのだという。どんなメリットがあるのか、作業を追いながら紹介していこう。

一般的なエアコンの修理は、故障の原因を探って、部品を交換する。これがスタンダードだが、年式の古い車種だと、一部を新しくすることで他の部品に負荷をかけ、別の場所で不具合が生じたりする・・・まさに無間地獄ともいうべき症状だ。

家庭用エアコンだって10年も使えばくたびれてくるもの。20年となればいつ壊れてもおかしくない。今回修理するNAロードスターは、初度登録から25年は余裕で経過しているわけだから、部品を変えたところで、いつまた不具合が発生しても不思議ではない。それならば石井自動車のコンバートキットで、ごっそりリフレッシュしよう。

そもそもこのキットを開発した経緯は、マツダが展開しているレストア事業に「NDのエアコンをNAに積めるようにして欲しい」と要望したところ、あえなく却下。それなら自分で作ってしまおうと石井代表自ら奮闘したのだ。

専用ブラケットの製作、車種ごとにホースを製作するので、ボルトオン感覚でコンバートできる。だからボディ側への加工をいっさい必要としないという点は嬉しい。

グローブボックスの奥にあるエバポレーター(熱交換器)も新品に交換するため、内装をばらすことになる。「ついで」にダッシュボード、グローブボックスも新品に交換。ダッシュボードは欠品パーツだったのだが、マツダのレストア事業に伴い純正部品として購入が可能になったパーツである。

エアコンはコンデンサー、ヒーターコアなどまるっと新品交換。25年以上酷使された部品はどうなっているのか、見るのが怖い・・・。

エアコンをオンにするととたんにパワーロスするNAロードスター

初代ロードスターをはじめとする低年式車に言えることであるが、エアコンを「オン」にするとエンジンの出力がダウンし、失速してしまうなんてことも多い。そのため高速道路の料金所を過ぎたら1回エアコンを「オフ」にして加速、十分な速度に達したら再びスイッチを入れる、なんてことを人知れずやってきた。

そんな私がはじめて石井自動車のNAのデモカー(NDコンプレッサー搭載車)を運転したとき、まったくパワーロスを感じなかったのでとても驚いた。このNAロードスター 4040号も「いまどきのクルマ」みたいに、普通にエアコンを使うことができるようになるのか、と期待が高まる。

交換に必要な純正部品をすべて揃えて、いざ作業開始。内装をはがしていくと、ぐちゃぐちゃの配線が姿を見せた。配線は、車両火災の原因にもなるのでしっかりと整理してもらった。これまでいろんな電装部品を取り付けてはパーツだけ取り外して配線はそのまま、を積み重ねてきたツケだ。

さて取り外したエアコン部品と、今回交換するものとは違う「NA用新品の純正部品」を比較してみた。すると、細かく仕様変更されているのだ。初代モデルの純正部品なのに、きちんと改良が加えられているとは驚き! いっそうマツダに愛着がわいてきた。しかも、今回交換するNDのコンプレッサーは軽量化にも一役買っている。NA8が8.1kgなのに対し、NDは4.8kg。一気に3kg超も減量できてしまうのだ。

さ〜て、エアコンをリフレッシュしたところで、さっそく試走に出かけよう。さっそく、もっとも気になっていた加速中のパワーロスはどうなったかな? 意地悪く加速中にエアコンのスイッチを入れてみるも、パワーロスなし! しかも涼しい! これで夏場はもちろん、雨の日もガラスの曇りを気にせずに運転できる。これで普通(!)に走れるな。車検も通したし、次は幌かな。

なんて次の展開を思い描いていたところ、クラッチに異変が・・・。クラッチペダルを踏んでも反動なくスカスカになってギアも入らない。どうしたものかと暖気していたら、反動が戻ってギアも入った。安心したのも束の間、次の機会には10分暖気してもギアが入らな〜い。

しかし、よくもまあ次から次へと。しばらく乗らなかったからむくれてるのかな? 心して対応するよ。顛末はまたいずれ。