2017年に日本へ登場してから3年。アルファロメオのDセグメントモデル、ジュリアとその翌年にデビューしたSUVのステルヴィオが今回さらに進化。由緒ある「スプリント」のモデル名を得た両車のベースモデルを走らせてみた。(Motor Magazine 2020年10月号より)

スプリントの名が意味するドライビング重視の側面

1986年にフィアットの傘下となって以来、ラインナップの軸足がFFのコンパクトハッチバックモデルに移っていたアルファロメオ。そんな同社がまったく新しいDセグメントセダンとしてジュリアを公表したのが2015年。

日本導入は17年で、新開発の「ジョルジオ プラットフォーム」を採用する同社25年ぶりとなるFR車の登場は大きな話題となった。そしてその国内発表の場では、このプラットフォームを使う次回作であり、Q4という独自の4WDシステムによりアルファロメオ初のSUVともなるステルヴィオのプロトタイプもサプライズ公開された。

ステルヴィオが上陸したのは18年7月。つまりどちらも、日本にお目見えしてからすでに2〜3年を経ており、ここに来て装備や内装質感の向上と合わせてグレード体系の見直しも伴う初となるマイナーチェンジが行われた。

まずはジュリアからその概要を説明していこう。従来は200ps/330Nmの2Lガソリンターボエンジンを搭載するベースモデルと190ps/450Nmの2.2Lディーゼルターボエンジンを搭載して装備も少し充実化した「スーパー」、その上に280ps/400Nmにパワーアップした2Lガソリンターボエンジン搭載の「ヴェローチェ」と、これを4WD化した左ハンドルの「Q4ヴェローチェ」、510ps/600Nmというフェラーリ由来の2.9L V6ツインターボエンジン搭載「クアドリフォリオ」の5グレード展開だった。

マイナーチェンジでも、エンジンスペック/ラインナップとグレードの総数は変わらないが、新しくベースモデルに「2.0ターボ スプリント」という専用の名称が与えられた。

スプリントの価格は460万円で、以前のベースモデルに対して5万円高だがバイキセノン式ヘッドライトやインチアルミホイール(従来型は17インチ)、6ウエイ電動式のナチュラルレザーシート、新たにタッチディスプレイ式となった8.8インチのインフォテイメント「Connect(コネクト)システム」(オンボードのナビゲーション機能なし)、デュアルゾーン式フルオートエアコン、ワイヤレスチャージングパッド、車線変更時に死角の他車を警告し、強行する場合はハンドル操作が自動介入して危機を回避するアクティブブラインドスポットなどを装備。これは相当に戦略的だ。

FCAではこの2.0ターボ スプリントを「コアなドライビングファンに向けたモデル」と紹介している。今回のマイナーチェンジの話題のひとつであるACCやレーンキープアシスト、それに関連して実現した車線中央走行を促すハイウェイアシストシステム、トラフィックジャムアシストなどの進化したADASは装備されないが、200ps仕様の2LLターボエンジンは低速域からトルクフルで扱いやすさに定評のあるユニット。これをFRで思い切り楽しみたい、という向きには魅力的な新グレードとなるだろう。

ステルヴィオの従来グレード展開は2.2Lディーゼルターボエンジンがラインナップの中心。パワースペックは210ps/470Nm仕様に強化されていて、ベースモデル、そして装備の充実化を図った「2.2ターボディーゼル スポーツパッケージ」の2種を展開。280ps仕様の2Lガソリンターボエンジンは「2.0ターボ ラグジュアリーパッケージ」と同スポーツパッケージの2車種。そしてクアドリフォリオを加えた5グレードを構成していた。

ちなみにステルヴィオは全モデルが4WDのQ44で、右ハンドルだ。今回のマイナーチェンジでは、2.0ターボのラグジュアリーパッケージが消滅となり、ベースモデルが「2.2ターボディーゼルQ4スプリント」となった。

元々ステルヴィオの場合、ベースモデルでも装備レベルは充実していたのだが、今回そこにジュリアでも触れた最新のADASシステムやタッチパネル式インフォテイメント「Connectシステム」がナビゲーションシステムと共に加わったことになる。価格は従来の635万円から589万円と、やはりこちらも相当に戦略的なプライシングと言って良い。

内装や装備の一新とともに洗練が進んだ走行フィール

この新型「ジュリア2.0ターボ スプリント」と、「ステルヴィオ2.2ターボディーゼルQ4スプリント」を同時に試乗できた。まずインテリアの質感向上だが、メーターまわり以外ではシフトセレクター周辺のフロアコンソールデザインの一新に集約される。

従来はセレクターのベゼル内にDNAの切り替えダイヤルやオーディオスイッチ、インフォテイメントの操作ダイヤルをまとめてレイアウトしていた感じだったが、新型ではフロアコンソール上に各々がほぼ独立して配置される。ATセレクターも、ディンプル加工が施された革巻き仕様の新形状にアップグレードされ、触れた際の感じがより良くなった。

また、今回のマイナーチェンジでは明文化されていないものの、日本上陸から3年、本国デビューからは5年が最大経過しているだけに、その味わいにも進化の跡を感じることができた。

中でも印象的だったのは、ジュリアのフットワークだ。初期モデルはやや当たりの硬さを感じさせる部分もあったが、格段にしなやかさを増していた。ステルヴィオはあれだけ重心の高い物を機敏に動かすという関係か、路面によってはまだフロアまわりに振動を感じるシーンはあるものの、それでも乗り心地は、角の取れた上質な方向へとシフトしていた。

それと両車に共通して感じたのは、どちらも操舵特性が相当にクイックなためにセンター付近の座りを意図的に上げて切り始めるまで「立ち」の強かったハンドリングフィールが、段付き感なくスルリと切り込めるようになっていたことだ。この辺は、初期型の本誌長期テスト車とも乗り比べてみたので間違いない進化ポイントだ。

この他、ステルヴィオに足先で操作可能なハンズフリーテールゲートが標準装備となったり、スポーツパッケージの足まわりが可変減衰力式FSDショックアブソーバーとなったり、クアドリフォリオにサンルーフが装備されたりと、各グレードとも細かく進化している。これらにより、ジョルジオファミリーの実力は確実に上がったと言って良いだろう。(文:石川芳雄)

●■アルファロメオ ジュリア 2.0ターボ スプリント 主要諸元

●全長×全幅×全高=4645×1865×1435mm
●ホイールベース=2820mm
●車両重量=1590kg
●エンジン= 直4SOHCマルチエアターボ
●総排気量=1995cc
●最高出力=200ps/4500rpm
●最大トルク=330Nm/1750rpm
●駆動方式=FR
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=460万円

●■アルファロメオ ステルヴィオ 2.2ターボディーゼル Q4スプリント 主要諸元

●全長×全幅×全高=4690×1905×1680mm
●ホイールベース=2820mm
●車両重量=1820kg
●エンジン= 直4SOHCマルチエアターボ
●総排気量=2142cc
●最高出力=210ps/3500rpm
●最大トルク=470Nm/1750rpm
●駆動方式=4WD
●トランスミッション=8速AT
●車両価格(税込)=589万円