マセラティのニュージェネレーションモデルは、その進化ぶりに驚かされるものばかりだ。これまでよりも、さらに明確さを増した独自性へのこだわり。その結晶がMC20、そしてグレカーレである。(Motor Magazine 2022年9月号より)

すべてのクオリティをアップ乗り心地の快適さも特筆点

MC20を発表して以降の、マセラティの変貌ぶりがすさまじい。マセラティにとって、2004年にリリースされたMC12以来となるミッドシップスーパースポーツカーがMC20だが、その成り立ちは大きく異なる。

端的に言って、MC12は当時の親会社であるフェラーリのエンツォをマセラティブランドで焼き直したモデルだった。それはそれできわめて魅力的だったものの、マセラティオリジナルとは言い切れないのが残念なところだ。

しかし、20は違う。F1マシンなどと同じ高価なプリプレグ製のカーボンモノコックも、F1パワーユニットにも用いられる最新の副燃焼室技術も、マセラティはみずからの手で開発し、1台のスーパースポーツカーとしてMC20を仕上げた。ちなみに、前述の副燃焼技術がロードカーに用いられたのは、MC20が世界初の例である。

しかも、MC20のキャラクターやポジショニングについても、ライバルメーカーを追随するのではなく、あくまでもマセラティらしさを追求した点も素晴らしい。

たとえば、アクセルペダルを軽く踏んだだけで、はじき飛ばされるように発進する俊敏さはMC20ならでは。これには、ネットゥーノと呼ばれる副燃焼室方式エンジンの特性が大きく効いているほか、そのキャラクターに合わせて駆動系をセッティングした効果もあったはず。いずれにせよ、MC20の個性は、走り出した瞬間に感じられるはずだ。

ミドルクラスSUVのグレカーレも、ヒットの予感大

もうひとつ、MC20で特徴的なのは乗り心地が恐ろしく快適なこと。スーパースポーツカーとしてはサスペンションストロークを長めに設定した足まわりが、ボディの姿勢をゆるやかに変化させながら、路面からのショックを手際よく吸収してくれるのだ。

したがってハンドリングも極端にシャープというよりは穏やかな方向性(ただし「スーパースポーツカーとしては」という注釈つき)だが、マセラティ本来のグランドツーリスモというキャラクターを考えれば、これは正解だろう。

先にクーペ版がデビューしたMC20には、先ごろMC20チェロと呼ばれるスパイダー版が追加された。しかも、リトラクタブル式のハードトップは、全車にエレクトロクロミック(ガラスの濃度を電気的に制御できる仕組みのこと)のグラスルーフを採用した点も、ライフスタイルを重視するマセラティらしい手法といえる。

MC20に続いて登場したミドルサイズのSUVが新型グレカーレである。このクラスで長年トップを独走してきたポルシェマカンのライバルと目されるモデルだが、ジョルジョプラットフォームをベースとした走りは極めて精度感が高く、そして俊敏かつ軽快だ。

しかも、引き締まった乗り心地もなかなか快適なので、マカンもうかうかとはしていられないはず。クオリティ感を大幅に高めた内外装の仕上がりも、グレカーレの魅力といっていいだろう。(文:大谷達也/写真:マセラティS.p.A.)

●■マセラティ MC20チェロ主要諸元

全長×全幅×全高:4669×1965×1218mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1540kg
エンジン種類:V6DOHCツインターボ
総排気量:3000cc
最高出力:463kW(630ps)/7500rpm
最大トルク:730Nm/3000−5500rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:MR

●■マセラティ グレカーレ主要諸元

全長×全幅×全高:4847×1979×1667mm
ホイールベース:2901mm
車両重量:1895kg
エンジン種類:直4SOHCターボ+電動ターボ+BSG
総排気量:1995cc
最高出力:243kW(330ps)/5750rpm
最大トルク:450Nm(45.9kgm)/2000-5000rpm
トランスミッション:4WD
駆動方式:8速AT

●■マセラティ MC20主要諸元

全長×全幅×全高:4669×1965×1224mm
ホイールベース:2700mm
車両重量:1500kg
エンジン種類:V6DOHCツインターボ
総排気量:3000cc
最高出力:463kW(630ps)/7500rpm
最大トルク:730Nm(74.4kgm)/3000-5500rpm
トランスミッション:8速DCT
駆動方式:MR