2023年9月1日金曜日、F1第15戦イタリアGPがモンツァ・サーキットで開幕する。F1グランプリはオランダから休みもなく移動、連戦で今季最後のヨーロッパラウンドを迎える。来季に向けてのドライバー移籍話が聞こえ始める中、ドライバーにとってもチームにとっても重要な一戦となる。
フェルスタッペンにとっては、F1新記録の10連勝がかかったグランプリ
シーズン後半戦の開幕となったオランダGPをマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が快勝。F1タイ記録となる9連勝今季11勝目をあげたことで今季はチャンピオン争いの興味は薄れてしまったが、例年イタリアGPはシーズンがクライマックスへと突入することを告げるグランプリとなっている。
今年はフェルスタッペンの大応援団がモンツァに集結することが予想されるが、これを迎え撃つ熱狂的なフェラーリファンも負けられないところだろう。
各チーム、各ドライバーとも、このままレッドブルとフェルスタッペンの独走を許す訳にはいかず、できるだけ多くのポイントを稼いでランキングを上げながら、なんとかレッドブル攻略の糸口を見つけようとしている。
フェルスタッペンにとっては、F1新記録の10連勝がかかったグランプリ。前戦オランダGPでは難しい路面状況も問題としない走りを見せているだけに、記録への興味も湧いてくる。
●2023年F1ドライバーズランキング(第14戦終了時)
1位 M.フェルスタッペン(レッドブル)339
2位 S.ペレス(レッドブル)201
3位 F.アロンソ(アストンマーティン)168
4位 L.ハミルトン(メルセデス)156
5位 C.サインツ(フェラーリ)102
6位 C.ルクレール(フェラーリ)99
6位 G.ラッセル(メルセデス)99
●2023年F1コンストラクターズランキング(第14戦終了時)
1位 レッドブル 540
2位 メルセデス 255
3位 アストンマーティン 215
4位 フェラーリ 201
5位 マクラーレン 111
最高速、平均速度とも今シーズン最速
こうして迎えるイタリアGPはどんなレースとなるだろうか。
イタリアGPが開催されるモンツァ(Autodromo Nazionale di Monza)は、現在F1が行われるコースの中では異例の、伝統的な超高速コース。
1922年に完成。当初は5.5kmのロードコースと4.5kmのオーバルコースをホームストレートで交互に入れ替えて走行する全長10kmのコースだったが、死亡事故が多発、幾度ものコース改修変更を経て、現在は4本のストレートをコーナーでつないだ5.793kmのシンプルなレイアウトに落ち着いている(開業当初のコースの名残は、広く長いホームストレートや高速コーナーに見ることができる)。
最高速、平均速度とも今シーズンのF1の中で最も速く、最終コーナーのパラボリカを200km/hで駆け抜けた後、1.12kmにおよぶホームストレートでは370km/hに達する。
コース形態は典型的なストップ・アンド・ゴーで、3つのシケインが設けられてはいるが、地形は平坦で、長いストレートからのフルブレーキング、立ち上がってフル加速という繰り返しで、意外とオーバーテイクは難しい。
このサーキットでのポイントは、ダウンフォースの小さなマシンで確実にトラクションをかけることだが、ダウンフォースが小さいためめブレーキやタイヤへの負荷も大きく、その一方でタイヤやブレーキの冷え過ぎにも注意しなければならない。
今季のレッドブルはどのコースでも高いパフォーマンスを発揮しているが、こうした高速コースでも他を圧倒している。そんなレッドブルに対して、このサーキットを知り尽くしたフェラーリがどんな作戦で来るのか興味深い。
なお、左手を骨折したダニエル・リカルドにかわってオランダGPでF1デビューを果たしたリアム・ローソンが、引き続きイタリアGPでもアルファタウリをドライブすることになった。
2022昨年はフェルスタッペンが7番グリッドから快勝
昨年2022年のイタリアGPでは、規定数超過のパワーユニットエレメント交換によるペナルティで7番グリッドからのスタートとなったフェルスタッペンがどこまで追い上げるかに注目が集まったが、追い上げのスピードは驚異的で、2周目のシケインで3番手へ、5周目にはラッセルをかわして2番手へ上がり、12周目のバーチャル・セーフティカー発動時にルクレールがタイヤ交換に入ったことで早くも首位浮上。
フェルスタッペンは終盤のセーフティカー発動時にも、2ストップ戦略で追い上げを図っていたルクレールに対し大差を維持していたことで難なくソフトに交換して、首位のままセーフティカー先導でフィニッシュとなった。
フェルスタッペンはこのレースでシーズン11勝目を記録、早くも2022年のチャンピオンに王手をかける勝利となった。
●【参考】2022年 F1第16戦イタリアGP 決勝 結果
1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル)53周
2位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+2.446s
3位 63 G.ラッセル(メルセデス)+3.405s
4位 55 C.サインツ(フェラーリ)+5.061s
5位 44 L.ハミルトン(メルセデス)+5.380s
6位 11 S.ペレス(レッドブル)+6.091s
7位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+6.207s
8位 10 P.ガスリー(アルファタウリ・レッドブル)+6.396s
9位 45 N.デフリース(ウイリアムズ・メルセデス)+7.122s
10位 24 周冠宇(アルファロメオ・フェラーリ)+7.910s
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14位 22 角田裕毅(アルファタウリ・レッドブル )+1周
ファステストラップ: 11 S.ペレス(レッドブル)1:24.030
タイヤを供給するピレリは、イタリアGP開幕を前に「 モンツァは『スピードの神殿=Temple of Speed』というニックネームが示すように、スピードが代名詞になっています。チームは可能な限り空気抵抗を減らして最高速度を優先します。 そのためダウンフォースも小さく、高速からのブレーキングと立ち上がりのトラクション、高速コーナーでかかる横荷重がタイヤにとって大きな課題となります。イタリアGPでは標準形式よりも2セット少ないタイヤを使用する代替タイヤ割り当てが試行されるため、 予選ではドライバーはセッションごとに1種類のコンパウンドのみ(Q1ではハード、Q2ではミディアム、Q3ではソフト)が使用できます。コンパウドはもっと柔らかい3種類(ハード=C3、ミディアム=C4、ソフト=C5)を供給します。昨年のイタリアGPでは1ストップと2ストップの両方の戦略が見られましたが、レース終盤にセーフティカーが導入され、結局トップ3は全員が2ストップとなりました」と分析している。
さて2022年はどんなレースとなるのか。第15戦イタリアGPは9月1日14時(日本時間21時)から始まるフリー走行で開幕する。
●2023年F1第15戦イタリアGP タイムスケジュール
フリー走行1回目:9月1日13時30分〜14時30分(日本時間20時30分〜21時30分)
フリー走行2回目:9月1日17時〜18時(日本時間24時〜25時)
フリー走行3回目:9月2日12時30分〜13時30分(日本時間19時30分〜20時30分)
予選:9月2日16時〜17時(日本時間23時〜24時)
決勝(53周):9月2日15時〜(日本時間22時〜)