ホンダの新型シビック、市販バージョンを公道で試乗する機会に恵まれた。CVTと6速MT、2台のシビックの走りをレポートしよう。(Motor Magazine2021年11月号より)

新型シビックのコンセプトは「爽快シビック」

11世代目となる新型シビック。その初代モデルの登場は1972年のことである。つまり2022年に誕生から50年を迎える歴史と伝統あるモデルだ。ちなみにホンダ車の中では一番歴史の長いモデルでもある。

正直に言えば先代、つまり10代目シビックの印象はというと、タイプRのイメージしかない。テストドライブした時、シビックはタイプRだけでいいのでは、と思ったほどいいクルマだった。6速MTのシフト操作ひとつひとつが実に気持ち良く、つい無駄にシフトレバーを動かしてしまうほどであり、走りも痛快そのものだった。

そんな好印象を持っていたが果たして新型シビックはどうなのだろう。タイプR以外のシビックは日本で、年々認知度が下がっていくが、すでにオワコンなのだろうか。そうした思いを秘めながら今回はシビックの試乗に臨んだ。

試乗したのは、CVTとMTモデル。グレードはどちらもEXである。実は新型シビックは、やや装備が簡素なLXと試乗したEXの2グレードしか用意されない。違いは、採用される装備内容でパワートレーンはどちらも1.5L 直4ターボエンジンで、CVTまたは6速MTが組み合わされる。

全長4550mm、全幅1800mm、全高1415mmというボディサイズは、フィットがこの下に控えている現在では、最適なサイズになったと言えるだろう。ホンダにとってグローバルカーとしての役割も担っているシビックでもあり、さらにパッケージングに定評のあるホンダの製品ということもあり、どのぐらいのサイズが最適なのかも当然、計算し尽くされたはずだ。なにより、このスリーサイズを得た新型シビックのスタイルは、とても美しい。このエクステリアデザインだけを見ても購入動機に十分なるだろう。

軽快なフットワークで長距離移動もストレスフリー

走り初めてすぐに頬が緩んだ。フットワークがとても軽快なのだ。さらにハンドルを切れば切っただけ忠実に動いてくれるボディにも好印象を持った。かなり走りを鍛え上げてきたことがすぐにわかった。高速道路も走ったが、直進安定性も高く、余計な動きが少なく、これなら長距離移動でもストレスが少なくて済むだろうことが想像できる。

新型シビックの強化された運転支援機能にも触れておく。新たに採用された機能として、「誤発進抑制機能」、「後方誤発進抑制機能」、「近距離衝突軽減ブレーキ」、「トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)」、「ブラインドスポットインフォメーション」、「パーキングセンサーシステム」、「後退出庫サポート」が追加された。さらにホンダ車初の「アダプティブドライビングビー
ム」(EX)も採用されている。先代モデルと比較するのがまったく意味をなさないほどの充実ぶりだ。

こうしたADASの充実は、現在、一番先進的な運転支援機能を持つレジェンドで搭載された技術をシ
ビックにも転用していることも大きい。具体的には、約100度の視野を持つフロントビューカメラ、後方・近距離の障害物を検知するソナーセンサー、後方からの接近車両を検知するリアコーナーレーダーである。これらが標準装備なのだから、新型は大きく商品力が向上していると言える。

価格はCVT、6速MT仕様とも353万9800円(EX)。これだけの充実した装備を考えるとバリューが高いと言えるだろう。あえてオプションを選ぶとすれば「ドライブレコーダー」ぐらいなのだからこの価格も納得である。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:永元秀和)

●■ホンダ シビックEX 主要諸元

●全長×全幅×全高:4550×1800×1415mm
●ホイールベース:2735mm
●車両重量:1370kg
●エンジン:直4 DOHCターボ
●総排気量:1496cc
●最高出力:134kW(182ps)/6000rpm
●最大トルク:240Nm/1700−4500rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・47L
●WLTCモード燃費:16.3km/L
●タイヤサイズ:235/40R18
●車両価格(税込):353万9800円