BJ型から始まり生誕70周年を迎えたランドクルーザーがフルモデルチェンジして300系となった。
今回は、そんな新型で本格的なオフロードコースを走る機会を得た。その模様をレポートする。(Motor Magazine2021年12月号より)

「信頼性」、「耐久性」、「悪路走破性」をいつの時代も堅持

世界中で売れているランドクルーザー(以下ランクル)は、今、注文しても納車まで2年以上も待つ。それでもいまだに多くのオーダーが入っている。つまりランクルには、そこまでして選ばれる理由があるのである。

トヨタ車の中で一番長い歴史を持つランクルは、1951年に当時の警察予備隊向け車両としてBJ型が登場、54年からは陸の巡洋艦=ランドクルーザーを名乗った。

300系となる新型は、200系の登場から14年ぶりのフルモデルチェンジだ。地球上には今でもランクルでなければ行けない場所があるというが、そうした過酷な場所に行き、そして生きて帰ってこられるクルマとして開発された。そのような歴史を持つランクルが長い間守り続けているのが「信頼性」、「耐久性」、「悪路走破性」である。それは決して妥協することのできないランクルの不変の価値なのだ。

そんなランクルの悪路走破性を猿投アドベンチャーフィールドで体感する機会に恵まれた。ここで本格的なオフロードコースを走ることができたのである。

試乗に用意された主な難所は、降坂度、登坂度のオフロードコース、水深700mmのウォーターセクション、モーグルセクション、ロックセクション、登坂モーグルセクションである。

当日は絶好の雨天。そう、オンロード試乗とは違い、オフロード試乗は雨が降り路面の状況が悪くなればなるほど、悪路走破性の高さが確認できるのである。

過酷なオフロードを簡単に走破できる実力の持ち主

まずは激しい勾配のあるコースを走った。ここでの試乗グレードは、GRスポーツとVXである。GRスポーツにはE-KDSSは標準装備される。これはランクルが世界初採用したサスペンション制御システムで、前後のスタビライザーを独立して電子制御することで、路面状況や前後輪それぞれの状況に応じて細かくスタビライザー効果を変化させるというもの。これにより悪路走行時のキックバックが少なくなっている。

急斜面の登り下りをよりイージーにしてくれるのがクロールコントロールである。これを始動させることでアクセル&ブレーキペダルを操作することなく、極低速走行が可能になるというものだ。走行速度は1〜5km/hまで5段階用意されるので、状況に合わせて選択できるのもうれしい。

マルチテレインセレクトも悪路に遭遇したら活躍してくれるアイテム。AUTO/DIRT/SAND/MUD/DEEP SNOW/ROCKの6モードがあり、路面状況に合わせそれを選択すればいい。今回の悪路はランクルにとってそれほど難コースというわけではないようで、AUTOのまま走り切ることができた。次に出現したのは水深700mmのウォーターセクションだが、ランクルの渡河水深性能は700mmなのでここも問題なく渡ることができた。

ちなみにランクル(GRスポーツ)の対地障害角は、最大安定傾斜角度、登坂能力度、アプローチアングル45度、ランプブレークオーバーアングル25度、デパーチャーアングル26度である。これは従来モデルと変らず、本格的なオフロード性能を保っている。

次のコースもE-KDSS、マルチテレインセレクト、クロールコントロールなどの性能が確認できた。モーグルセクションではサスペンションストロークの大きさを体感、さらに片輪が浮いた状態でも接地しているタイヤが最適な駆動力を発揮し、かなりの大きなコブを楽々とクリアしていく。

最後の難関は、ロックセクション。雨が岩を濡らしかなり滑りやすく、さらに斜面の角度も大きく、さすがにここを走破するのは無理だろうと思われた。しかしクロールコンロールをオンにして3km/hに設定するとグイグイと登る。これにはとても驚かされたと同時に「地球上にランクルが走れない道はない」という言葉は誇張されたものではない、と思えた。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:井上雅行、トヨタ自動車)

●トヨタ ランドクルーザーGR SPORT主要諸元

●全長×全幅×全高:4965×1990×1925mm
●ホイールベース:2850mm
●車両重量:2520kg
●エンジン:V6DOHCツインターボ
●総排気量:3444cc
●最高出力:305kW(415ps)/5200rpm
●最大トルク:650Nm/2000−3600rpm
●トランスミッション:10速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・80L
●WLTCモード燃費:8.0km/L
●タイヤサイズ:265/65R18
●車両価格(税込):770万円