e-POWER専用車となる現行型3代目 日産ノートは、発表が2020年11月24日、発売が同年12月23日だった。発売開始から半年が経過し、プレミアムバージョンの日産 ノートオーラも追加発表されたが、登録台数はいかがなものだろうか。

日産 ノートの登録台数はほぼ日産の計画通り

2代目 日産ノートのモデルライフ終盤となる2016年11月に販売が開始されたe-POWER搭載車は、販売台数のうち約80%にも及んだ。モデル後半ながら2代目 日産ノートの販売のけん引役となり、まさに日産の屋台骨を支える大黒柱の1本となったといえる。

そのe-POWER専用車となった3代目 日産ノートが発売されたのが、2020年12月23日(発表は同年11月24日)のこと。目標とする月間販売台数は8000台で、日産の現状を踏まえればかなり強気な計画だ。そこで今回、モデルチェンジから半年を経過した3代目 日産ノートの販売実績を振り返ってみた。

■2021年の日産ノート販売台数
・1月:7532台
・2月:7246台
・3月:1万3352台
・4月:5711台
・5月:5962台

平均月間販売台数は7960台。月間の目標販売台数の8000台をほぼクリアしたと言っていい数字だ。1月・2月登録分は11月24日発表からの予約台数であろう。3月登録分は実際に新車が展示される1月に受注したと考えられ、新車効果の高さが現れた状況と言える。

その反面で4月・5月登録分は、1月・2月と比較すると約1500台程度落ち込んでいるが、これは3月の決算月に1台でも多く登録するための顧客の先取りの影響と思われる。本来なら4月の登録分をムリして3月に滑り込みで登録するケースが、自動車販売業界には散見される。また納車期間を考慮すると4月・5月登録分は2月・3月に受注したと考えられるが、この時期は緊急事態宣言が発出されていたため、外出を控えディーラーに足を運ぶ人が減ったとも考えられる。

いずれにしても、ここまでは日産の計画どおりであり、今後も日産ノートの販売動向に期待がかかる。だがいくら計画どおりの登録台数であっても、2代目 日産ノートと比較した場合、月平均7960台ではかなり厳しい数字だ。

というのも、2代目 日産ノートはモデルチェンジ直前の2020年9月であっても6493台を登録している。同年7月は6730台、6月も6010台登録で、新型日産ノートの登録台数は2代目モデル末期+約10%程度だというになる。

この理由としては、大きくふたつの理由が考えられる。

・e-POWER専用車になったこと
・世界的な半導体部品の供給不足

上に挙げた要素をそれぞれ見ていこう

●■e-POWER専用車になった

日産ノートは車格的に欧州ではBセグメントと呼ばれる小型車で、日本では軽自動車(Aセグメント)のすぐ上のクラスに相当する。新型はアライアンスのコモンプラットフォームであるCMF-Bを採用し、ルノー ルーテシアとプラットフォームを共有する兄弟車となった。筆者も試乗したが、硬めながらもよく動くサスペンション、車格以上のしっかりとした軽量ボディ、e-POWERの十二分なパワーで、タウンコミューターとしてはスポーティで良い出来だと感じた。

クルマとしては良い商品なのだが、トヨタ ヤリスやホンダフィットのライバルとされるセグメントでありながら、最廉価グレードで200万円オーバーは高い。高価なプライシングの原因は間違いなくe-POWER専用車となったことだ。Bセグメント車は日本で登録車のエントリーモデルなのだから、200万円以下の廉価グレードを設定してあってもいい。

安価な価格を実現するのにわかりやすいのは、ハイブリッドパワートレーンではなくエンジン駆動モデルを設定することだ。モデルバリエーションが増え、グレード選択の楽しみを提供、登録台数増加にもつながる。しかし、そこで問題となるのがCAFE(企業別平均燃費基準)だ。世界がカーボンフリー社会に大きく舵を切っている中、量販車種に自然吸気エンジン搭載モデルの追加は難しいのかもしれない。

●■世界的な半導体部品の供給不足

日産に限らず、多くの自動車メーカーの頭を悩ませているのが半導体部品の不足だ。これが生産台数に影響し、新型ノートの登録台数が伸びない原因になっている可能性もある。世界がカーボンフリー社会を目指し自動車業界では電動化へと向かう今、自動車には多くの半導体部品が使用される。

半導体部品の働きを大雑把にいえば、トランスミッションやブレーキなど「動き」のある部品を制御する役割で、単純なCPUと言っていい。従来からあらゆる部品に半導体部品が使用されきたが、近年はさらに電動化やインフォテインメント、コネクティッド、自動運転などを搭載し、半導体部品の需要は高まる一方だ。コロナ渦より前はであれば供給は十分だったが、2019年末から一転して供給が間に合わなくなっている。

日本で使用される半導体部品はほぼ海外製だ。2021年6月4日には供給状況改善のため、経済産業省は半導体部品製造工場の誘致を含む半導体戦略を発表したが、その実現は何年後になることか。コロナ禍の終焉か、国産半導体部品の供給開始を待たなければ、日産ノートの登録台数2代目以上に増えないのかもしれない。

半導体部品不足に関して余談だが、2021年6月21日に3代目 日産ノートのプレミアムバージョンである日産 ノートオーラが発表された。これは2021年3月の発表予定だったが、半導体部品不足により製造の目途がたたなかったようだ。供給改善が見込まれると踏んで3カ月遅れの発表となった。ただし、2021年7月現在も半導体部品の供給は改善されておらず、発売は3カ月遅れの9月を予定している。今後の半導体部品の供給状況によってはさらなる遅れも想定される。

もうひとつ余談だが、2021年6月には新型日産 エクストレイルが発表予定だったが、こちらも遅れて9月以降の発表に変更されている。日産としては2021年度内に発表したいようだが、実現するかは半導体部品の供給状況にかかっている。

3代目 日産ノートの今後の販売について、クラス唯一のe-POWER搭載車であることや自動車として基本的な品質が良いことから、そう大きく落ち込むことはなく、7000台はコンスタントに販売されると考える。逆に9月以降にノートオーラが発売されても、ノートシリーズの販売に大きく貢献することもないと考える。というのも、ノートの上級グレードをフルオプションで購入するよりノートオーラを購入する方が割安感があり、シリーズ内で顧客が流れると考えられるからだ。

3代目 日産ノートの登録台数を伸ばすには、ハイブリッド機構を取り払った自然吸気エンジン搭載車を廉価で販売するのが近道なのかもしれない。(文:猪俣義久)