フォルクスワーゲンのBEV推進戦略は、ますますその勢いを増している。ここで紹介するID.5もその一環。ID.4に継ぐ第3のバリエーションとして、2022年初頭からのセールスが計画されている。プロトタイプながらその走り味は、クーペらしいワンランク上質なテイストを目指した。Motor Magazine 2021年11月号より)

RWDと4WDのふたつの駆動タイプを用意

まだ派手なカムフラージュをまとっているID.5は、アウディQ4 eトロンスポーツバックの兄弟モデルにあたる。プラットフォームは、もちろんMEBだ。現在、開発の最終ステージにあるこのモデルは、本来ならばID.4クーペと呼ばれるべきクルマだが、ID.4がユーティリティ(実用性重視)のSUVであるのに対して、ワンランク上の存在にしたかったようだ。

ID.4に対してID.5のスタイルで際立っているのは、ボディ後半で大きく弧を描いたルーフラインだろう。テールゲートはリフトバック状に傾斜し、その上縁にインテグレートされたルーフスポイラーがアイキャッチとなっている。ホイールは標準が19インチで、20インチそして21インチがオプションで用意される。

パワートレーンはID.4と同一で、125kWあるいは150kWのシングルモーターで後輪を駆動するベーシックなバリエーションと、前後2基の電気モーターで220kWを発生する4WDのトップモデルGTXが用意される。搭載されているリチウムイオンバッテリーは、すべて77kWhに統一。航続距離はもっとも小さなモーターを搭載したモデルなら、497km(WLTPモード)に達する。

ハンドリングは終始安定。低速域の乗り心地は硬め

試乗はまずアウトバーン走行から始まった。フロント162Nm、リア310Nmを発生する2基の電気モーターを搭載し、トルクベクタリングを可能にするGTXのスポーツモードにおけるパフォーマンスは非常に満足のいくもので、進入路から巡航車線での130km/h付近までビビッドで安定した加速性能を発揮する。静かで快適なキャビンはロングドライブも得意だろう。

ハンドリングは床下電池によるEV独特の低重心レイアウトのお陰で終始安定していた。オプションの21インチタイヤは低速ではやはりゴツゴツしたショックを感じるが、高速ではスムーズになる。スタイル重視ならともかく、日常の乗り心地と両立させたいのであれば20インチを勧める。(文:グレッグ・ケーブル<キムラ・オフィス>/写真:フォルクスワーゲンAG)