昨今、BEV(電気自動車)の話題は豊富だ。とはいえ、まだまだICE(内燃機関)に比べてみれば馴染みは薄い。ここでは、Q&A形式でBEVへの理解を深めてもらうことにしよう。(Motor Magazine2022年1月号より/文:山本シンヤ)

Q1:BEV(電気自動車)、FCEV (燃料電池車)PHEV(プラグインハイブリッド)の違いは?

●A:動力源の電気の充電方法や車体の構造が違う

実はすべての電動化パワートレーンに共通する要素技術はモーター/バッテリー/インバーターの3つ。大きな違いは「何を組み合わせるか」だけの話である。そのまま使えば「BEV」、エンジンを組み合わせて先述の3要素をプラスすれば「PHEV」となる。

PHEVはバッテリー充電量が十分だとBEVと同じ(=モーターのみの駆動)だが、使い切った時はエンジンが始動しハイブリッド車となる。一方、「FCEV」はBEVのバッテリーの代わりに燃料電池スタックと水素燃料タンクを組み合わせたシステムだ。

どちらもモーター駆動となるが、異なるのは電気の供給先。バッテリーの電気を使うのがBEV、水素と酸素を化学反応させて生じた電気を使うのがFCEVである。

Q2:同じ車格(車種)のBEV(電気自動車)とICE(エンジン車)は乗り比べるとどう違うのか?

●A:異なる個性が与えられている

同一プラットフォームでBEV/ICE両方をラインナップするモデルを実際に乗り比べると、この2台の走りは似て非なる物である。まずパワートレーンだが、踏んだ瞬間からMAXパワーのBEVに対して、回転が上がるにつれてパワーが増すエンジンと特性がまったく違う。

続いてシャシだが、床下にバッテリーを搭載するBEVは車両重量がICEよりも200〜300kg近く重くなる。重量増は運動性能に不利だが、逆に重さを活かした低重心化、重たいモノを車両中央に集めることによる重量配分の適正化が図れるなど、ICEより有利に働く点もある。

一方、車内のパッケージングについては、床下にバッテリーを搭載する影響でフロア高が上がってしまい、ICEよりも正しい着座姿勢が取りにくい車種があるといった難点もある。

Q3:BEV(電気自動車)とICE(エンジン車)のプラットフォームの共用化とは?

●A:BEVの本格普及に備えた動き

当然、パワートレーンの構成要素が異なるため、理想を追い求めていけばICEとBEVでプラットフォームは分けたほうが望ましいだろう。

しかし、ビジネスの観点から見ていくとBEVは現状では単独で収益を出すのは難しいため、収益性の面などを考慮するとICEとBEVどちらでも使えるハイブリッド型のプラットフォームを開発しているメーカーが多いのも事実だ。

とはいえ、どのメーカーも将来に向けてBEV専用プラットフォームを鋭意開発中。 2025年あたりから増えてくるだろう。

Q4:BEVのバッテリーはMHEV、HEVと何が違う?

●A:容量、安全性などシビアな条件を満たす

一番の違いはバッテリー容量。BEVはバッテリー容量=航続距離のためだ。搭載されるバッテリーはリチウムイオンが主流だが、用途に合わせて最適化されている。

ハイブリッドとは比較にならない大きな電力を瞬時に出し入れすることから、耐久性や信頼性、繰り返しの充放電による劣化の少なさ、安全性(燃えない)、ハイブリッド用よりもさらにシビアな要件をクリアしたものを用いる。現在、夢の電池と言われている「全固体電池」が開発中だが、実用化はまだ先のようだ。

Q5:充電方法と充電器にはどんな違いがある?

●A:充電方法により電圧や充電時間が異なる。充電器は自動車メーカー独自の規格もある

「普通充電」と「急速充電」の2種類がある。普通充電は日々の基礎的な充電に適しており、一般的に充電時間は8〜12時間ほどかかるが設備費用の負担が少ない。

一方、急速充電は移動途中での継ぎ足し充電や緊急充電に適しており、より高い電圧で電流を流すことで、普通充電よりも速く充電することが可能となっている。

急速充電方式(規格)は大きく分けると日本のCHAdeMO(チャデモ)方式と欧米のコンビネーション(コンボ)方式が存在する。それ以外に日本では今のところポルシェとテスラは独自の急速充電方法を用意している。

Q6:急速充電器の出力の見分け方は?

●A:ウェブやアプリで確認できる

急速充電器マニアなら機種を見て見分けられるが、普通の人では残念ながら無理。判別方法を強いて言えば、出力が高い充電器のケーブルは太くて扱いづらい・・・くらいだろう。確実なのはウェブやスマートフォンの充電器検索アプリでチェックすることだ。

筆者は「GoGo EV」、「EVsmart」をよく使う。参考に、東名〜新東名のSAとPAをチェックすると基本は40〜50kWで、90kWが設置されているのは海老名(上り/下り)SAと遠州森町(上り)/長篠設楽原PA(下り)くらいだ。

Q7:クルマの充電口の位置の違いは?

●A:メーカーにより配置が異なる

現在発売されているほとんどのBEVには普通充電用と急速充電用のふたつの充電口が設けられている。その位置は各メーカーが決めているのでまちまちだ。

特徴的なのは日産リーフ(初代/2代目)とホンダeで、リーフはフロントノーズ中央に、ホンダeはボンネット上に急速充電用/普通充電用が集約されている。

その他のモデルの多くは、フロントフェンダー横もしくはリアのエンジン車でいう給油口の位置に左右対称に設けられており、片側が急速充電用、もう片側が普通充電用、というのが定番となっている。

Q8:急速充電器で100%まで充電できない理由は?

●A:車両がセーブする場合もあるが・・・

急速充電器は高い電圧で電流を流すため、バッテリー発熱のリスクは非常に高い。そのためバッテリーの状態をモニタリングしながら慎重に充電する必要がある。ちなみに残量が少ないバッテリーは充電しやすいが、充電が進んで80%を超えると充電の速度が落ちていく。

これは過充電を防ぐためなのだが、それ以上に充電を続けるとなると、急速充電器であっても普通充電並みにゆっくり充電させていく必要がある。つまり、時間と充電量のバランスから80%くらいで運用するのが最適、という判断だそうだ。

ただ厳密に言うと、シッカリと時間さえかけてやれば急速充電器でも100%まで充電することは可能だ。ただ、それをやっていると他の人に迷惑がかかるので決してしないように。

Q9:充電カードの種類と充電料金は?

●A:さまざまな選択肢がある

公共の充電器を利用する際には、ほとんどの充電器で「充電カード」による認証が必要となる。この充電カード、日本国内に設置される公共の充電器のほとんどをネットワークしている「e-mobility Power」やBEV/PHEVを販売する自動車メーカーから発行されている。

利用料金は発行元によってまちまちだが、その多くは従量プラン(使っただけ)と定額プラン(使い放題)が用意されている。月会費は1000〜5000円程度と幅があるが、充電料金は急速充電で15円/分、普通充電で1.4〜2.5円/分といった感じだ。

Q10:充電器の場所はどう探す?

●A:アプリやウェブ検索が便利

現在、全国には3万近い充電スポットが存在する。高速道路のSA/PA、道の駅、コンビニ、自動車ディーラーなどさまざまな場所に設置されているが、どうやって探すのか?

ひとつはナビゲーションの検索機能、もうひとつはスマホの充電施設検索アプリだ。筆者がよく使うのが「GoGo EV」と「EV Smart」。充電器検索はもちろん、使用中か否かのチェック、急速/普通、出力など絞り込み検索も可能だ。

Q11:最近よく耳にするV2H、V2Lとは?

●A:クルマから家庭や家電製品に電気を供給する仕組みのこと

V2Hは「Vehicle to Home」の略で、BEVから自宅や施設などに電力の供給が可能なことを意味する。たとえば、停電時にV2H対応のBEVと接続すれば、普段と変わりなく自宅で電気が使える。V2Hのポイントが給電だけでなく充電も行えること。

つまり、自宅で太陽光発電による電力をBEVに充電、それを必要な時に利用とエネルギーの自給自足も可能に。 V2Lは「Vehicle to Load」の略で、EVから家電機器に給電を行うことを意味する。車内に装備されたAC100VコンセントもV2Lの一部だ。

Q12:BEV購入時に気にすべきことは?

●A:BEVが実生活にマッチするかが重要

まず、「BEVを買う」ではなく、「欲しいクルマがBEVだった」というようなクルマを見つけられること、自分の行動範囲や移動パターンと航続距離に大きなズレがないこと、自宅に充電器を設置できる(できなければ近くに充電スポットがある)こと、余裕を持って計画的な移動ができること、充電待ちでもイライラしない穏やかな気持ちを持つこと、補助金を使う場合は定められた期間の保有義務が生じるので途中で飽きないこと、現時点でBEVは完璧ではないのでそれをシッカリと理解していること・・・などが大事である。