「DVD&動画配信でーた」にて好評連載中の、注目の若手監督・松本花奈による日々雑感エッセイ「松本花奈の恋でも恋でも進まない。」。第21回は、オンライン飲み会で盛り上がった妄想話について。

■第21回 いつか、もしもの妄想

ここ1カ月ほどコロナウイルスの影響で外出自粛が続いている。大学も前期はリモート授業になり、撮影の多くも夏以降に延期になった。周囲の皆も大方同じ状況とのことで「時間もあるし、何だか毎日寂しいからオンライン飲み会でもしよう」という会話がしばしばなされる。

ゴールデンウィーク初日のうららかな昼下がり。この日は午前中に美容院へ行き、人生初メッシュにチャレンジした。といえども大胆なメッシュではなく一見普通の黒髪に見せかけて、風が吹くと分かる程度に内側に金色が入っている感じだ。普段は決してしない自撮りをしてしまう程度には新しい髪型が気に入った私は、フンフン鼻歌を歌いながら湯を沸かし紅茶をいれ、中学時代の友人らとの〝オンライン飲み会〟ならぬ〝オンラインお茶会〟に参加した。さすがは旧友、画面越しに私の顔を見るなり「何ニヤついてるの?」と突っ込んでくる。日頃からわりと頻繁に連絡を取り合っているので近況報告もほどほどに終わり、そこからは中学時代の思い出話で盛り上がった。1時間ほどでひと通りその話題も尽きると「ねえ、次は未来の話をしよう」と、画面右上にいるクリっとした瞳のマリコちゃんが言う。「自粛期間が終わったら何したい?」「海外行きたい」「カラオケで歌いたい」「カフェ巡りしたい」「ディズニー行きたい」「デートしたい」「結婚したい」「母になりたい」

…ん? いやいや、ちょっと待て。話がいつの間にやら飛躍しすぎているゾ。

「分かる」と私以外のメンバーがうなづくので、一応私も合わせてウンウンと首を縦に振っておく。「でもさ、ものすごく性格悪い子供に育ったらどうする?」「えー、否定するともっとひねくれそうだから逆にこれでもかってくらい愛情注ぐ」「それで改心して将来めっちゃ人助けとかしてたら?」「号泣する」などと話す友人らの声を聞きながら、私も考えた。

いつか、もしも母になる日が来るとしたら、私は子供にどう接するだろうか?

まず私ができなくて苦労した水泳は習わせよう、勉強も数学には力を入れてほしい、食べ物の好き嫌いはしないでいてね、自尊心を高くもちすぎてはいけないよ、誕生日を大事にしなさい、車の免許は取ったほうが良いんじゃない? …ん? いやいや、2度目のちょっと待て。エゴがすごいゾ、自分。

なんて妄想をしていたらあっという間に夕方が来て、「じゃあまた」と言って通話を切った。いずれこんな日を懐かしく感じる時が来るのだろうか。今はただ、その時にはまたこのメンバーで、思い出話で盛り上がれると良いなと思うのだ。

文/松本花奈


●松本花奈プロフィール
1998年生まれ。映像監督。主な監督作に映画『脱脱脱脱17』(16)、『キスカム!〜COME ON, KiSS ME AGAIN!〜』(公開日未定)。演出で参加したAbemaTVのドラマ『僕だけが17歳の世界で』が配信中。