ローランド・エメリッヒ監督が歴史的海戦として知られるミッドウェイ海戦を描いた映画『ミッドウェイ』の公開記念初日トークイベントが9月11日にスペースFS汐留で開催され、豊川悦司、國村隼が登壇。浅野忠信はリモートで参加した。山本五十六役を演じた豊川が「歴史上のすばらしい人物。お話をいただいた時にはびっくりしました」と率直な感想を明かすと共に、エメリッヒ監督から届いたビデオメッセージにキャスト陣が大きな笑顔を見せた。

『インデペンデンス・デイ』(96)のエメリッヒ監督が、20年におよぶリサーチを経て、覚悟を持って戦った日米両軍の男たちの“運命の3日間”を描く本作。豊川は「ほとんどの日本人が知っているビッグネーム。お話をいただいた時には正直、びっくりしました」と山本五十六役のオファーについて述懐。「自分のなかには山本さんとの類似点がまったく見出せなかった。なぜ僕のところにこんなにすごい役が来ちゃったんだろうという感じでした」と驚いたそうだが、「偉大な先輩たちが何人も演じていらっしゃる役。その映画をかたっぱしから観て、どういうふうに対峙していたのかということを見られたことはラッキーだった」と研究を重ねて役作りしたという。

会場には、レイトン少佐役のパトリック・ウィルソンとエメリッヒ監督からビデオメッセージが到着。エメリッヒ監督は「日本軍を単なる“敵”ではなく、“人間”として描くことを大事にした。ミッドウェイ海戦について学び、日本人の気質について非常に感銘を受けた。特に日本海軍の人々は、実に高潔な人々の集まりだった」と語り、「これは大事なことだから、本当は直接お話ししたかった」と来日を望んでいたことを告白。

豊川のキャスティングについては、「たくさんの日本映画を観ていたら、豊川悦司という俳優が目に留まった。素顔の彼に軍人の雰囲気はない。だが悦司にはとても知的な雰囲気があり、高貴さを感じさせる俳優。山本五十六役にぴったりだ」と大満足の表情。「本当にすばらしい仕事をしてくれた」と続けると、豊川も「うれしいです」とニッコリ。豊川によると、監督やスタッフ陣も「日本の観客はこの映画をどう観るのだろうということを気にしていた」そうで、「ミッドウェイ海戦を題材にする以上、日本軍側をどうセンシティブに描くかは、彼らにとって大きなチャレンジだったと思う。それは成功したんじゃないかなと思う」と力強く語っていた。

エメリッヒ監督と「同い年」だというのが、國村。「1955年11月生まれ。戦後10年経って、まだ戦争の影が色濃く残っている時代」だったという。「だんだん戦争の記憶は史実のなかのことにしかなくなってくるような気もする。戦争なんていうことを起こした人間の過ちを風化させないよう、この映画を観た人も『戦争のことを知ってみよう』と思ってもらえたら」と願っていた。

取材・文/成田おり枝