「アンフェア」シリーズの秦建日子によるクライムサスペンス小説「サイレント・トーキョー And so this is Xmas」を、「SP」シリーズなどの波多野貴文監督が、事件の容疑者、朝比奈仁役に佐藤浩市、爆破テロに巻き込まれた主婦、山口アイコ役に石田ゆり子、事件を追う刑事、世田志乃夫役に西島秀俊などオールスターキャストを迎え映画化した『サイレント・トーキョー』が、12月4日(金)に公開される。MOVIE WALKER PRESSは、クリスマス・イブの東京を襲う、連続爆破テロ事件を描く本作と季節を同じくする2019年12月上旬、都内の撮影現場に潜入した。

■「ゆり子さんは大好きな女優さん」(佐藤)、「とても尊敬している先輩」(石田)
取材当日、光り輝く東京タワーを臨める高級レストランにやってきた記者らが入り口付近で待っていると、佐藤浩市が姿を現した。この日、店自体は貸し切りにしていたものの、商業施設内のレストランのため、すぐ外には一般客の姿もちらほらとあったのだが、顔を隠すでもなく、のんびりと店の外の散策を始める佐藤。本作で佐藤は主演ながら、連続爆破テロ事件の容疑者という、超ミステリアスな存在だ。現場での佐藤はまるで役柄を体現するように、ミステリアスな雰囲気をまとっていた。

この日撮影されていたのは、佐藤、石田、西島、不可解な行動を取るIT起業家、須永基樹役の中村倫也たち、本作の主要キャストが一堂に会する重要な場面。捜査線上に容疑者としてあがった朝比奈を、世田ら警察が追い詰めるシーンだ。記者が現場に入った時に撮影されたのはキャスト、スタッフの集合写真。実は、本作でこの4人が集うのはこのシーンのみという貴重な現場だったのだ。

そんな撮影の舞台となったレストランの大きな窓際、もっとも美しく東京タワーの全貌を見ることのできるテーブル席では、神妙な面持ちの石田に、佐藤が声をかけるシーンから撮影が始まった。
何度も共演経験のある佐藤と石田。「ゆり子さんのことは以前から知っているので、なんだかすごく懐かしさもあります。大好きな女優さんでもあるので、久々にお会いできてうれしかったです」と語る佐藤に対し、石田は「とても尊敬している先輩なので、一緒に居られるだけで幸せなんですけれど、願わくばもっとご一緒するシーンがあったらうれしかったですね」と、共演シーン自体は少なかったものの、再会はうれしかったと語る。
現場でも、役作りのためか夜景を眺めながら集中する場面の多かった石田だが、佐藤が声をかけると笑顔を見せて談笑し、2人の信頼関係が見て取れた。

■「佐藤さんの存在感、伝わってくるものがありました」(西島)
緊迫のシーンが続く撮影ながら、佐藤は常にムード作りを怠らず、雑談でスタッフとコミュニケーションを取り、場を和ませる場面も多く見られた。大御所と言えるキャリア持つ佐藤だが、怒号を発するようなシーンでも、NGを出すと明るい笑い声を上げ、待ち時間には記者らの方へ足を向け、「小説の映画化は難しいねぇ」と笑いかけてくれもするなど、現場での雰囲気は常に柔らかく感じられた。

一方で、カメラが回る直前には「いいかな?」と現場中に通る声を出し、一気に空気を切り替わらせる。西島もその存在感には圧倒された様子で、「やっぱり存在感がすばらしいですし、使命感を持って生きる人物を演じている時に伝わってくる、信念のようなものを感じました」と佐藤を絶賛した。またこの日撮影されたシーンについて、「本当にワンシーンほどでしたが、役者の立場からしても見ごたえがありました。映画の重要なシーンになるので楽しみにしています」と手応えも感じたことを明かした。

そんななか、先輩俳優たちの胸を借りるつもりで撮影に臨んだという中村。「先輩たちは本当に皆さんとてもフランクで、気さくに話かけていただきましたし、役者同士という意味では正面からぶつかっていくことが出来たチームでした」と、本作ですばらしい経験を積むことが出来たようだ。

そんなチームを率いた波多野監督は、撮影の合間に「楽しいな、“芝居”を撮ってるっていう感じがする」とうれしそうに語っていた姿が印象的だった。モニターを見ながら熱心に台本へ何事かを書き込み、時にはカメラの近くを飛びだして演技指導を行うなど、俳優たちに真っ向からぶつかっていた波多野監督。佐藤も「監督、ちょっと思ったんだけど一度見てみてくれる?」と積極的に演技プランを提案し、短い取材時間ながら、一丸となり作品を作り上げていく本作の“チーム力”を感じることが出来た。

どんでん返しの連続ということで、多くの謎に包まれたままの本作。佐藤は、見所を次のように語る。「映画である以上、まずはエンタテインメントとして観て頂ければと思います。その先に、なにかのど元にちょっとだけでも引っかかる物があるとしたら、それこそが、この映画がもたらすものだと思うので、お客さんそれぞれに感じて頂けたらいいなと」。
クリスマス・イブに勃発した連続爆破テロと、様々な立場の登場人物たちの運命が交差する先に待ち受ける、衝撃の真実とは。巧妙なストーリーと臨場感あふれるサスペンスを、一丸となって作りあげたスタッフ、キャストからのクリスマスプレゼントとして、ぜひ劇場で味わってほしい。

文/編集部