第33回東京国際映画祭の特別招待部門正式招待作品『水上のフライト』(11月13日公開)の舞台挨拶が、11月4日にEXシアター六本木で開催され、主演の中条あやみ、小澤征悦、兼重淳監督、スポーツ庁長官の室伏広治が登壇。室伏は映画を観て、走り高跳びと競技用カヌーの選手役にトライした中条を絶賛した。

本作は、有望な走り高跳びの選手ながらも不慮の事故に遭い、二度と歩くことができなくなったヒロインが、競技用カヌーと出会い、夢を実現させていくという、実話から着想を得たサクセスストーリーだ。

体育大学の学生でさえ、乗るのに1か月かかると言われる競技用カヌーを、代役を立てず、見事に乗りこなした中条は「ボディダブルさんじゃなくて、自分でしっかりと漕いで、臨場感がスクリーンに出ればいいなと思い、毎日練習していたので、全部自分でやることができて良かったなと思いました」と笑顔を見せた。

コーチ役の小澤は中条がカヌーを乗りこなしている姿を見て驚いたそうで「僕も競技用のカヌーに乗せてもらったんですが、『手を離しますよ』と言われて、離された瞬間、落ちました。どこが上かわからなくなった」と苦笑いした。

オリンピックの金メダリストで、障害者スポーツの普及の意義、パラアスリートの競技転向や発掘・育成支援事業の取り組んでいるスポーツ庁長官の室伏は、本作について「人生の困難を多くの仲間と共に乗り越えて、明るいものが見えたという映画だったと思います」と称えた。

また、中条のカヌーの腕についても「やっていたんじゃないかと思うくらい、バランスが良くて。ハイジャンプをするシーンも、まさにハイジャンパーだなと。タレント(才能)もあって、努力もされて、スポーツのシーンもすばらしいものになったのではないかと」と絶賛した。

中条はそれを受けて「その言葉をいただいただけで、この映画は金メダルですね」と心から喜んだ。

コロナ禍で公開が延期となっていた本作だが、兼重監督は「僕は、東京国際映画祭の舞台に立つことが夢でした。予定通り公開されていたら、いまこの舞台には立ってないので、コロナ禍でも、いいことがあったなと」と感無量の表情を浮かべる。

さらに「僕はいつも、観てくださった方の背中を押せるような作品になったらいいなと思いながら、映画を撮っています。本作が、パラスポーツに関わるすべての人が前向きに生きていただくきっかけになればいいなと思っています」と本作に込めた熱い想いを語った。

今年のTIFFは、映画の未来への希望の光を灯すべく、コロナ禍でも感染対策を取りながら、映画館での上映を基本としての開催に踏み切った。期間は10月31日〜11月9日(月)で、六本木のTOHOシネマズ六本木ヒルズやEXシアター六本木、東京ミッドタウン日比谷、東京国際フォーラム、神楽座などで連日開催中。

取材・文/山崎伸子