1999年から4年間にわたって放送された「おジャ魔女どれみ」シリーズの放送20周年を記念した、完全新作ストーリーのアニメ映画『魔女見習いをさがして』が公開中だ。テレビアニメでは魔女見習いのどれみたちがさまざまな騒動を繰り広げたが、本作ではそんな「おジャ魔女」を見て育った20代の女性たちの出会いから物語が広がっていく。進路を模索する大学生のソラ、人間関係に悩むOLのミレ、ダメな彼氏と別れられないフリーターのレイカ。3人の主人公を演じるのは、キャラクターと同世代の森川葵、松井玲奈、百田夏菜子。「いまでもどれみたちが大好き!」と口を揃える彼女たちが、アフレコでの役作りや“おジャ魔女”への思いなどを熱く語ってくれた。

物語の始まりは、テレビアニメに登場するMAHO堂のモデルになったと噂される鎌倉の洋館。それぞれに悩みを抱え、癒しを求めてやってきたソラ、ミレ、レイカは、「おジャ魔女」ファンであることから意気投合。3人で「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地を巡ることで友情を育むと同時に、自分自身の内面とも深く向き合うことになる。

■「おんぷちゃん役の宍戸留美さんの声で、広島弁を練習しました」(百田)
――皆さんと同じ“おジャ魔女世代”の女性たちが主人公です。初めて台本を読んだ時の感想を教えてください。

森川「3人の状況がとても自分に近いなと思いました。『おジャ魔女』が好きというのはもちろんですが、仕事や恋愛、友達に対しても、ソラたちと同じような悩みを抱いている同世代の女性はきっと多いだろうなって」

松井「その3人が『おジャ魔女』に関する場所を回る、ある意味“聖地巡礼”みたいなお話がベースになっているのですが、自分もアニメや漫画が好きで物語の舞台になったところに行きたいと思うタイプ。台本を読みながらすごく共感できたし、どれみちゃんたちと遊んだり魔法を使ったりしたかった子どもの頃の気持ちや、放送が終わってからも『ずっと会いたかったんだ』という気持ちを思い出して、胸がいっぱいになりました」

百田「私は『おジャ魔女』を語る3人のシーンを読みながら自分も会話に交ざっている感じになって『わかる!わかるよ!!』という気持ちに(笑)。連絡手段がLINEで、スタンプで会話しているのも私たちの日常に近くて、すごく“いま”を描いていますよね」

――外見も性格も、住む場所もバラバラな3人。演じるに当たってはどんな役作りをしましたか?

森川「ソラは意志が強いわけではないから、声のボリュームもそんなに大きくないのかなと思って役作りをしたのですが、最初は意識して作り過ぎてしまって。監督のアドバイスで、ナチュラルな演技に寄せて行きました」

松井「ミレはほかの2人に比べて年齢が上で、キャラクターのイメージもスマートな印象。普段の自分の声よりも低くして大人っぽく聞こえるよう意識しました。でもおジャ魔女の話になると、女性から“女子”に切り替わるんです(笑)。大人のミレと、好きなものを語る少女のようなミレ、その二面性を意識して演じています」

百田「レイカは一番年下で見た目も幼いので、無邪気で元気な感じを出しながら、でも心の奥底にある気持ちもしっかりと持って演じました。3人で会話をしている時は、年下らしくお姉さんたちを盛り上げる感じも出したつもりです。あとは…『広島弁だ!』と(笑)。レイカは尾道出身で方言があるので、イントネーションの音声を頂いて練習しました。お手本を入れてくださったのが、おんぷちゃん役の宍戸留美さんの声だと分かってさらに緊張が増しましたね(笑)」

■「ソラが酔っぱらうシーンは観てほしい。自分で観るのはちょっと怖いけど…」(森川)
――苦労したセリフやシーンはありますか?

森川「呪文を唱えるシーンは難しかったですね。全国のファンを代表して私があの呪文を言うことになるなんて思ってもみなかったので…。長い言葉ではないけれど、ほかのどんなセリフよりもその一行に重みを感じて緊張しました」

松井「私も呪文です。ファンの人たちがアニメでずっと楽しんでいたものを、自分が公式で口にするなんて…。やっぱりおジャ魔女たちがいてこその呪文なので、オリジナルに近づけるか、ミレの言い方に寄せるのか、塩梅が難しかったです。宣伝用の映像撮りで呪文を言うたびに、心臓がキュウッてなりました」

百田「私も台本に呪文が書いてあるのを見た時からもうゾワゾワして。自分に対して『え、あなたがこれを言うんですか!?』みたいな(笑)。ずっと憧れていたので、公式で言えるのが不思議な感じでした」

――「ここに注目!」というシーンを教えてください。

森川「ソラがベロベロに酔っぱらうシーンがあるのですが、本読みの時にまったくうまくいかなかったんです。実写でも酔うお芝居ってすごく難しいんですけど、声だけで演じるのはさらに難しくて。いったん家に持ち帰ってムチャクチャ練習しました。ボイスレコーダーで録音してどう聞こえるのかをチェックして、ろれつが回らない感じもやりすぎてイヤな感じに聞こえないように何度も繰り返したので、ぜひ注目してほしいです。自分的には観るのがちょっと怖いですけど…」

松井「ミレちゃんはちょっと恋愛に疎いところがありまして(笑)、それをからかうようなレイカちゃんのおもしろシーンがあるんですね。頭のなかにレイカちゃんがいっぱい出てくるユニークでにぎやかなシーンになっているので、そこが見どころかなと思います」

百田「レイカのダメ彼氏の聖也役を演じている浜野謙太さんの歌声を聴けるシーンがあるんです。聖也はミュージシャン志望で、浜野さんも実際に歌っている方なので、アフレコでは監督が『この尺で好きなように歌っていいよ』と。私は横で見ていたのですが、めちゃめちゃ楽しくて(笑)。あのシーンだけで、聖也のことがだいぶ分かるんじゃないでしょうか」

■「いま見返すと、休日の朝に放送していたなんて本当にすごいアニメだなと思います」(松井)

――ソラ、ミレ、レイカと同様に、幼い頃はテレビの前で「おジャ魔女どれみ」に夢中になっていたという皆さんですが、特に心に残っているエピソードはありますか?

森川「はづきちゃんの幼なじみのまさるくんが、お父さんに貰ったトランペットを練習する回は切なかったですね。まさるくんが出てくるエピソード(『おジャ魔女どれみ』第17話『矢田くんは不良小学生!?』)は毎回ちょっと切ないというか、彼が出てくると急に温度感が変わる印象があります」

松井「私は不登校のかよこちゃんが出てくる回(『も〜っと!おジャ魔女どれみ』第45話『みんなで! メリークリスマス』)ですね。どれみちゃんたちに励まされて学校まで来るんですけど、教室に入れず、廊下で吐きそうになってしまう。そんなかよこちゃんに、どれみちゃんたちが自分の服を差しだして『ここに吐いていいよ』と言うんです。いま見返すと、その優しさにグっときて。あのシーンを休日の朝に放送していたと思うと、本当にすごいアニメだなって」

百田「第1話でどれみちゃんがマジョリカと出会って、魔女見習いになるけど上手に変身できなくて…という映像をすごく覚えています(『おジャ魔女どれみ』第1話『私どれみ!魔女見習いになる!!』)。なにが、というわけではないのですが、はじまりのシーンが心に焼きついていますね」

■「どれみちゃんたちは魔法ではなく、最終的に人の思いや信じる気持ちで解決するんです」(百田)
――当時、どれみたちに影響を受けてやっていたことは?

森川「アニメ第3期の『も〜っと!おジャ魔女どれみ』から出てくるももこちゃんが、英語をしゃべるんです。当時私はまだ小学生にもなっていないから、“英語”が何なのか、なにを言っているのかは分からないんですけど、マネをしたくて適当に『〜〜!』としゃべっていました(笑)」

松井「魔法が使えたらいいなとはよく思っていましたね。でも、それと同じくらいどれみちゃんたちみたいに自分でお店を開くことに憧れていて。お兄ちゃんに付き合ってもらって、お店屋さんごっこをして遊んだことを覚えています」

百田「子どもの頃、自分のおうちの寝室をどれみちゃんたちと一緒にほうきで飛んで遊んでいる夢を見たんです。実際にほうきにまたがって助走つけて飛んでみたり、そんなに高くない段差からぴょんと飛んだりして…だいぶやりましたよ。いまでもその夢が忘れられなくて、風船とか買うと『これいっぱい持ったら飛べるのかな?』と考えちゃいます。まだあきらめきれてないですね(笑)」

――では最後に、皆さんが思う「おジャ魔女どれみ」シリーズの魅力を教えてください。

森川「実は大人が見ても心にも刺さる部分があるし、まだストーリーが分からないような子どもが見ても『これは大事にしなきゃいけないんだな』ということが伝わる作品。これからもずっと心に残り続けると思います」

松井「『おジャ魔女』では、悪いことをただ悪とするのでなく、それを認めて反省し、次のステップに行くまでをどれみちゃんたちが一緒に考えてくれる。失敗しても前を向くことや、誰かと協力することって、こんなに素敵で楽しいことなんだよって、アニメを通して教えてもらいました」

百田「たとえば人間関係のように、現実でも起こる問題がお話のなかに出てくるんですよ。どれみちゃんたちは魔法でなんとかしようとするけれど、最終的にはそこに人の思いや信じる気持ちがないと解決できない。いま見てもたくさんのことを学べるアニメなんです。どれみちゃんたちが教えてくれたこと、これからも大切にしたいと思います」

取材・文/ほそいちえ