「ハリー・ポッター」へと続く「ファンタスティック・ビースト」シリーズの2作目『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(18)が13日、「金曜ロードSHOW!」で初放送され話題となっている。本作のベースになっているのは、シリーズの生みの親であるJ.K.ローリングが執筆した「幻の動物とその生息地」というガイド本。そこで今回は、ローリングによって書かれた「ハリポタ」の派生作品をまとめてみたい。

■「ファンタビ」シリーズの原作「幻の動物とその生息地」
「幻の動物とその生息地」はもともと、シリーズ第1巻「ハリー・ポッターと賢者の石」において、ハリーたちが魔法動物学を学ぶためのホグワーツ指定の教科書として初登場した。著名な魔法動物学者であるニュート・スキャマンダーによって執筆され、ドラゴンやヒッポグリフ、河童、「ファンタビ」に登場するボウトラックル、ニフラー、ケルピーといった様々な魔法生物の基礎知識や生態、危険レベルが記されている。

現実世界では、2001年にローリングが書き下ろし、ニュートの著者名で出版。約85種(新装版では91種)の魔法生物が紹介されている。最初に刊行されたものは、ハリーの教科書という設定で、彼やロン・ウィーズリー、ハーマイオニー・グレンジャーの落書きも再現。2017年に発売された新装版では、ハリーの所持品という設定ではなくなったため落書きもなくなったが、ニュートの前書きが加えられた。

劇中の世界で、のちにこの本を書き上げることになるニュート(エディ・レッドメイン)が主人公の「ファンタビ」シリーズ。第1作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(16)では、彼の魔法のスーツケースから逃げだした魔法生物を捕獲する騒動が描かれた。続く『〜黒い魔法使いの誕生』ではさらに世界観が広がり、「ハリポタ」にも登場したヴォルデモート以前の強大な闇の魔法使い、ゲラート・グリンデルバルド(ジョニー・デップ)の影が魔法界を覆っていく。
前作で闇祓いに捕われたグリンデルバルドが、欧州への移送中に逃走。正統な魔法族による非魔法族の支配をもくろみ、信者を募ろうとする彼と、それを追う魔法省との抗争にニュートは巻き込まれていく。

■魔法界の人気スポーツをもっと知りたい人にはコレ!「クィディッチ今昔」
「クィディッチ今昔」もまた、2001年にローリングが著名なスポーツライターのケニルワージー・ウィスプという仮名で発表した書籍。魔法界の人気スポーツ「クィディッチ」について、中世から現代に至るまでの競技の変化や普及、飛行箒やボールなどの発達、チームの変遷や歴史に残るゲームなどがまとめられている。
劇中では、「〜賢者の石」で初めてのクィディッチの試合に臨むハリーのために、ハーマイオニーが図書館から借りてきて彼に渡すという形で登場する。校内ではもっとも人気のある一冊のようで、司書のマダム・ピンスは「毎日のように踏んだり蹴ったり、涎を垂らされたりと散々な目に遭っている」と頭を悩ませていた。
現実世界で出版された際は、この図書館の本をコピーしたという設定で、ハリー、ロン、ハーマイオニーのほか、オリバー・ウッドなど大勢の生徒の名前が貸し出し記録として記載された。

■“死の秘宝”についても語られる魔法界の童話集「吟遊詩人ビードルの物語」
シリーズ最終巻「ハリー・ポッターと死の秘宝」において、亡きアルバス・ダンブルドア校長からハーマイオニーに託され、ヴォルデモートとの戦いにおける重要なヒントとなった「吟遊詩人ビードルの物語」。魔法族が古くから親しんできた寓話や童話をまとめた一冊で、“死の秘宝”について語られる「三人兄弟の物語」をはじめ、「魔法使いとポンポン跳ぶポット」、「豊かな幸運の泉」、「毛だらけ心臓の魔法戦士」、「バビティうさちゃんとペチャクチャ切り株」などが収録されている。

この本もまた、シリーズ完結後にローリングによって実際に執筆されている。ただ、イラストも彼女が手書きする形で7冊しか作られず、4冊が友人や知人にプレゼントされ、2冊は英米版それぞれの担当編集が受け取るなど、もとは内々のものだった。
そして、最後の1冊を彼女も設立にかかわった慈善団体「チルドレンズ・ハイレベル・グループ(CHLG)」の支援に充てるため、オークションに出品。それがAmazon.comによって、195万ポンド(約4億5000万円)という現代文学の原稿では最高の価格で落札され、Amazonのウェブサイトへの掲載や世界各国での展示を行ったのち、2008年に一般向けにも出版されることとなった。

■シリーズ完結後の“19年後”を描く舞台脚本「ハリー・ポッターと呪いの子」
「ハリー・ポッターと呪いの子」は、ローリングのほか、ジョン・ティファニー、ジャック・ソーンによって書かれた同名舞台の公式スクリプト・ブック、つまり舞台脚本になる。「〜死の秘宝」の19年後が舞台で、ハリーの次男であるアルバス・セブルス・ポッターと、ドラコ・マルフォイの息子スコーピウスが物語の中心となる。
英雄を父に持ち、苦悩するアルバスが、親友スコーピウスとともに「〜炎のゴブレット」で死亡したセドリック・ディゴリーを“逆転時計”を使って救おうとするが、それが魔法界全土を揺るがす大事件に発展してしまう。ハリーが子どもとの向き合い方に苦悩するほか、時空を超えた冒険が繰り広げられ、劇中で死亡したキャラクターも再び登場する。

舞台公演は2016年にロンドンでスタートし、18年からはブロードウェイでも上演。日本では、2022年夏に東京・赤坂のTBS赤坂ACTシアターを改修して作られる予定のハリー・ポッター専用劇場で、日本人キャストで上演されることが決まっている。
ちなみに、映画化の噂も報じられたが、ハリー役のダニエル・ラドクリフはシリーズに復帰する意志がないことを明かしており、ローリングもこれを否定している。

様々な角度から「ハリポタ」&「ファンタビ」の世界をより楽しむことができる、これらの書籍たち。映画を観てシリーズをもっと知りたいと思った人は、原作小説だけでなく、派生作品にも触れてみると新たな発見があるかもしれない。

文/平尾嘉浩