苦悩を抱える人へのエールとして多くの共感を集めたベストセラーを原作とする『滑走路』(11月20日公開)。『ミッドナイトスワン』(公開中)の水川あさみ、『とんかつDJアゲ太郎』(公開中)の浅香航大、寄川歌太が出演する同作に、総勢27名の応援コメントが到着した。

32歳の若さで突然この世を去った歌人、萩原慎一郎による「歌集 滑走路」をモチーフにオリジナルストーリーとしてつむがれる本作。切り絵作家を水川、若手官僚を浅香、中学二年生の学級委員長を寄川が演じ、非正規、いじめ、過労、キャリア、自死、家族など現代を生きる若い世代が抱える不安や葛藤、それでもなお希望を求めて奔走する姿を鮮烈に描きだす。

公開に先駆けて本作を鑑賞した黒沢清監督は「最後に一条の光が見えたような気がした」とコメント。また歌人の俵万智も「これからも多くの人の翼になることを確信させてくれる映画だった」と語るなど、表現の垣根を越えて集まった各界の著名人から“現代の社会問題を実直に描きながらも、人生を照らす希望の光を”感じさせると称賛の声が寄せられている。

懸命に生きる人々に贈る人生賛歌『滑走路』。夭折の歌人が遺した魂の叫びに、耳を傾けて欲しい。


<コメント>

●アフロ(MOROHA、ミュージシャン)

「思いがけない言葉で傷付けて、思いがけない言葉で救われる。こんなことになるなんて思ってなかった、を胸に抱いて生きていく」

●磯村健太郎(ジャーナリスト、元朝日新聞記者)

「ラストシーンが良い。慎一郎さんが新たな翼を得て、自由な空を飛んでいるようだった」

●今泉力哉(映画監督)

「それぞれが信じている優しさや正しさが、相手をより深く傷つけてしまうことがある。本心と口にする言葉にかい離があったり、相手を想ってあえて嘘をついたり。それが誰かの命を奪ったり。生きるということはとても残酷なことだ。それでも私は生きていきたいと思った」

●宇野維正(映画ジャーナリスト)

「静かで、厳しく、息苦しい、現代の日本社会を浮き上がらせる克明なスケッチ。劇中で複数の登場人物たちが口にする『こんな世の中だから』。しかし、本作は『こんな世の中だから』のその先に続く道にも、ほのかな光を照らしている」

●大森靖子(歌手)

「抑圧だらけ、ありのままの世界を真っ当に悲しんだだけ、“それでも!”というひとひらの願いで言葉がきらめくから、私たちはずっと瀬戸際なのに『何があったの?』いっちゃったら『救えなかった』うるせえよ。幸せはこの文字を産み落とす瞬間に生まれて消えるから奪われるはずはない。弱者って言うな」

●御徒町凧(詩人)

「みんな傷ついているみんな泣いているみんな生きている」

●黒沢清(映画監督)

「まるで日没のような青春時代を、人はどうやって夜明けへと変貌させられるのか。大いに考えさせられた。そして最後に一条の光が見えたような気がした」

●今野寿美(歌人)

「いとほしい。少年少女の恋も、記憶に悩んで生きる姿も。そして、短歌うたに残ったけなげな心も」

●三枝昻之(歌人、山梨県立文学館館長)

「自転車を漕ぎ続け、転倒し、チェーンが切れ、それでも立ち上がって走り続けるラストシーンの彼が『滑走路』の萩原慎一郎に重なって胸が熱くなる。ピュアで切ない青春歌集が感動的な映像になった」

●佐佐木定綱(歌人)

「一つの行動や、一つの言葉が、電撃となって人を打ち、人生を決定的に変えてしまうことがある。そして祈りのように人生を支える。もしくは呪縛のように浸食する。この映画で描かれているのはその痛切な力にほかならない」

●清水崇(映画監督)

「登場人物全員が泣いているように見えた。なんのために生きねばならないのか?羨み、泣き、あざけり、すれ違う魂は、なにに抗っているのか?大庭監督は、亡き萩原氏と読者の感受性の狭間で、原作の歌集を映画で繋ぎとめていく...」

●たかまつなな(時事YouTuber)

「私だけじゃなかったんだ。孤独や将来の不安で眠れない日がある。若者に広がる、『生きづらさ』。このテーマの映画を待っている人がたくさんいる」

●俵万智(歌人)

「短歌の持つ喚起力をあらためて思う。と同時に、ある意味すべての登場人物に、一首の短歌が寄り添っていることに心が震えた。萩原慎一郎が残した言葉が、これからも多くの人の翼になることを確信させてくれる映画だった」

●辻井竜一(歌人)

「エンドロール終了後のスクリーンを見つめながら自分も走らなければと震えつつ、歌の力をあらためて思い知った。時には誰かに背中を押されながらも自らの想いで走りだしたのならば、結果傷つくことになろうともその傷はやがて美しく昇華されるだろう。主人公翠の作る切り絵のように」

●西谷弘(映画監督)

「甘くないから優しい。ヒリヒリするから愛おしい。狂おしくも寄り添ってくれる2時間。生かされてゆく」

●はっとり(マカロニえんぴつ、ミュージシャン)

「機体も期待も重いほど滑走路の長さは必要になる。だから、全てを背負い込む生き方では飛べない。自分を愛してくれる人がいるなら、身勝手にその愛を手放さないように生きなくては。隠し続けている心の傷みも、癒えかけている順に少しずつ誰かに見せながら生きなくては。そうおもった」

●樋口真嗣(映画監督)

「無駄を削ぎ落とし研ぎ澄まされ、見えないほど鋭く尖った、針のような傷み。大人になるために必要なことかもしれないが、大人になってないあの頃の自分にとっては必要のないもの。そして、大人になったら日々を生きるために、忘れるもの。やっと見つけた大切なものを刺し、えぐり、切り裂いていく。忘れていたあの日々の疵が記憶のおりの中から浮かび上がる」

●藤原龍一郎(歌人)

「生きて行くことは、何故、こんなにつらいのか?当然、答えはない。答えを知るためにはつらい日々をさらに生きて行くほかはない。この根本的な問いかけが、若い歌人の一冊の遺歌集から始まり映画にまでなったことに、時代の傷痕と救済を感じる」

●文月悠光(詩人)

「私たちは誰かに自分の生き方を否定されることを恐れている。本作は、過去とまっすぐに向き合い、自分の選択を肯定できるようになるまでの物語だ」

●星野概念(精神科医)

「作品の中には孤独な人が多くいて、観る人はきっと、その誰かと自分が重なります。辛い。でも同時に、大切な誰かの顔が浮かぶ時間もあるはずです。とても生きづらい社会だけど、個人の物語の中には、かけがえのない出会いという、小さな光があることを信じたいです」

●真中朋久(歌人)

「人生どうにもならない。そう思ってもがいたり、不器用にやりすごそうとしたりしながら、なんとかやっている。萩原慎一郎の歌集『滑走路』をぜひ読んで欲しい。そこに、あなたもいるだろう」

●茂木健一郎(脳科学者)

「生きる苦しみやよろこびを支えてくれるのは言葉。長く記憶される歌集からインスパイアされたこの映画が、観る人の心の中で『生きる』を支える泉となればいい。言葉が物語を生み、映画が再びいのちの言葉となる。素晴らしい」

●村上健志(フルーツポンチ、お笑い芸人)

「世の中は分からないことばかりだ。だけど分かっていることがある。あの人が優しかったこと。全力で走ってくれたこと。分からないことばかりだけど、分かろうとすることはできる。生きることは命懸けだ。映画を見終わって空を見上げたいと思った」

●森永卓郎(経済アナリスト)

「お笑い芸人短歌が描くのは『思い通りにならない』もの。なかでも、一番思い通りにならないのが、人の心だ。たった31音の短い詩が、これだけ悲しくて、苦しくて、そして愛おしい心の物語を産んだ。不覚にもラストで泣いてしまった。時代を超える名作だ」

●山崎聡一郎(「こども六法」著者)

「理不尽な過去を避けるように鬱々と生きる僕を、強烈に、だが優しく、原作歌集に着陸させた、そんな映画だ。そして歌集は、また飛び立つ勇気をくれた。やがてまた戻ってくる場所でもあるだろうと思う」

●山戸結希(映画監督)

「あさはかなきらめきを遠ざけてなおしぶとく光る映画があるのだ」

●山根貞男(映画評論家)

「心の痛む三つの物語が、行先不明のまま交差して、熱いサスペンスを生む。そのとき、わたしたちは、描写の滑走力が映画の命を輝かせている光景を見る」

文/足立美由紀