今週末には『モンスターハンター』(2021年3月26日日本公開)、来週末にはいよいよ『ワンダーウーマン 1984』(12月18日日本公開)が公開されることで、なんとか年末らしさを取り戻そうとしている北米の映画界。それでも先週末(12月11日から13日)の北米興収ランキングは相変わらず休眠状態がつづいたままだ。

『The Croods : A New Age』が前週比3割減の306万ドルを売り上げ3週連続ナンバーワンを維持。北米累計興収は2431万ドルとなり、『The New Mutants』の2384万ドルを上回りパンデミック後の公開作としては『TENET テネット』(公開中)の4619万ドルに次ぐ成績に。また全世界興収は7663万ドルに到達しているが、その大部分の4600万ドルはすでに活発な興行を取り戻し、作品の移り変わりが激しい中国での興収。北米で今週末からPVOD配信もスタートするとあって、さらなる上積みはさすがに厳しいところか。

さて、例年であれば12月に入るとナショナル・ボード・オブ・レビュー賞の発表とともに本格的に翌年のアカデミー賞に向けた前哨戦が幕を開けるのだが、今年はコロナ禍とあって選考対象が年内公開作から2月末公開作まで拡大。そのため同賞の発表が例年より遅くなり、今年の賞レースは現地時間14日に発表されたボストン批評家協会賞からスタートすることとなった。

その先陣を切ったのは、3年連続で受賞作がアカデミー賞作品賞にノミネートされているヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作であり、アカデミー賞への一番切符と言われるトロント国際映画祭観客賞受賞作の『ノマドランド』(2021年3月26日公開)で、作品賞と監督賞、撮影賞の三冠を獲得。
先日までリンカーン・センターのバーチャル・シアターで行われていた1週間限定上映はチケットが即完売。2月に正式な劇場公開が予定されており、アカデミー賞の授賞式が行われる4月末まで息の長い興行が期待できるだけに、その頃には北米の映画館が活況を取り戻してほしいと願うばかり。

そんなボストン批評家協会賞で主演女優賞を制したのは『Never Rarely Sometimes Always』の新星シドニー・フラニガン。同作はパンデミック前のベルリン国際映画祭で話題を集め、今年3月に劇場公開されるも数日で映画館が休業してしまう非常事態に直面。また韓国のベテラン女優ユン・ヨジョンが助演女優賞を受賞した『Minari』は、今年1月末に行われたサンダンス映画祭でグランプリと観客賞のダブル受賞を果たし、『パラサイト 半地下の家族』(19)で急激に高まった韓国への関心と気鋭スタジオA24の勢いに乗って賞レースに名乗りあげ。今回の受賞でさらに評価が伸びそうな予感がただよっている。
今後も北米興収の動きをチェックしながら、徐々に形勢が定まってくるアカデミー賞レースを追いかけていきたい。

文/久保田 和馬