歴代興収1位に輝くなど、歴史的大ヒットを記録している『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(公開中)。日本中で社会現象を巻き起こすテレビアニメ「鬼滅の刃」で主人公の竈門炭治郎を演じる花江夏樹は、ドキュメンタリー番組「情熱大陸」のほか地上波のバラエティ番組にも出演し、YouTuberとしても大人気。マルチな才能を発揮し活躍する、いま最もアツイ声優の一人だ。声優界のレジェンド、山寺宏一に「才能に嫉妬している」と言わしめた花江の魅力がわかるおすすめのアニメを紹介していく。

■「TARI TARI」:ウィーン役/2012年放送
花江にとってテレビアニメ初のレギュラー出演作で、湘南、江ノ島を舞台に描かれる青春合唱アニメ。エンディングはもちろん、劇中でも様々な歌を披露し、その歌唱力も話題となった。花江が演じたウィーンはオーストリアから転校してきた帰国子女で、ドイツ語を話すというキャラクター。日本に住んでいた経験はあるものの、外国人向けに書かれた本で日本を学んでいるため、間違った文化や習慣を覚えていたり、いきなり歌いだしたりもする。いろいろな引き出しが求められる役だが、その表現力で見事に演じきった。本人もアフレコ後のコメントで「やりがいがあった」と振り返っている。

■「凪のあすから」:先島光役/2013〜14年放送
「凪のあすから」で描かれるのは、同じ中学二年生でありながら、いままで出会うことがなかった海と陸に暮らす少年少女たち。そんな彼らが出会った時、潮の満ち引きのように彼らの心も揺れ動く。ちょっと不思議な世界で繰り広げられる少年少女の青春おとぎ話(ファンタジー)だ。花江演じる先島光は意地っ張りで口が悪いが、正義感が強く世話好きというキャラクター。ちょっぴりひねくれた言動の奥に秘めているやさしさやまっすぐさを感じさせ、本作でテレビアニメ初主演を務めて以降、多くの人気作品でメインキャラクターを演じるように。2014年には声優アワードの新人男優賞を受賞した。

■「東京喰種 トーキョーグール」:金木研役/2014〜18年放送
石田スイの大人気コミックを原作とし、2014〜18年にかけて4シーズンが放送された。人間の姿をしながら人間を食糧とする“喰種(グール)”と人類との戦いを描く。花江が演じた主人公の金木研は、もともとは人間だったが、不慮の事故がきっかけで喰種と人間のハーフ“半喰種”になってしまう。人間を喰べなければ生きていけないが、人間を喰べたくはない。喰種と人間の間で葛藤する金木の苦悩を繊細に表現し、代表作の一つとなった。女優の広瀬アリスも大ファンを公言しており、女性からの人気も高いキャラクターの一人だ。

■「四月は君の嘘」:有馬公生役/2014〜15年放送
母親の死がきっかけでピアノが弾けなくなった14歳の少年、有馬公生が挫折と向き合い成長する姿が描かれる、音楽がテーマの青春ラブストーリー。指導者であった母親仕込みの正確無比な演奏で“ヒューマンメトロノーム”などと揶揄されていた公生の感情やピアノの表現は、情熱的な演奏をする同級生でバイオリニストの宮園かをりと出会い、カラフルなものへと変化していく。トラウマを抱え、憂いや陰りのあるキャラクターを花江は瑞々しい声と表現力で演じた。本作は音楽や映像、繊細な心理描写も魅力だが、合間に絶妙なバランスで入るギャグシーンもおすすめだ。

■『泣きたい私は猫をかぶる』(20):日之出賢人役
『ペンギン・ハイウェイ』(18)のスタジオコロリドによる長編アニメーション映画第2弾となる青春ファンタジー。花江演じる日之出賢人は、志田未来演じる主人公の笹木美代(通称ムゲ)から毎日強烈な大好きアピールを受けている。成績優秀で家族から進学校への受験を期待される日之出だが、本当にやりたいことを言いだせず、鬱屈した思いを抱えている。Twitterはほぼネコにかんする投稿という声優界きってのネコ好きである花江にぴったりの役どころ。学校では見ることのできない表情や気持ちをネコ(になったムゲ)の前で見せる日之出に、ムゲと同じようにグッと心をつかまれるはず!

■「神様になった日」:成神陽太役/2020年放送
大学受験を控えた高校3年生の主人公、成神陽太の前に、ある日突然現れたのは、“全知の神”を自称する少女、ひな。「30日後にこの世界は終わる」と告げるひなが、なぜか陽太の家に居候することとなり、ふたりは共同生活を始める。陽太はひなに振り回されるという役どころ。ギャグも多めでテンションも高めな本作で、陽太とひなのやり取りがとにかく笑える。「やれやれ」と感じながらも、なんだかんだ付き合ってあげる陽太のやさしさ、人の良さをナチュラルに表現している。

これらのほか、「斉木楠雄のΨ難」の鳥束零太役もおすすめ。個性的なキャラクターが揃う同作で気持ちいいくらいのお調子者のクズを、爽やか(!?)に演じきっている。主役から脇役、やさしさも強さも、そして憂いも爽やかさも。どんな表現でも心を揺さぶり、観る者を惹きつける。そんな花江夏樹の出演作を、年末年始にイッキ見してみてはいかが?

文/タナカシノブ