現地時間2月28日に行われる、第78回ゴールデングローブ賞のノミネート作品が発表になった。今年のノミネート発表は、サラ・ジェシカ・パーカーと『ドリーム』(17)のタラジ・P・ヘンソンによって、オンラインで発表された。

映画部門では『Mank /マンク』(20)がドラマ部門作品賞、監督賞など6部門で最多ノミネート、次いで『シカゴ7裁判』(20)の5部門、『ノマドランド』(3月26日日本公開)、『ファーザー』(5月日本公開)、『Promising Young Woman』(20)の4部門ノミネートが続いている。テレビジョン・シリーズ部門では、「ザ・クラウン」が6部門で最多、次いで「シッツ・クリーク」の5部門、「オザークへようこそ」「フレイザー家の秘密」が4部門で並んでいる。
スタジオ別では、『Mank /マンク』『シカゴ7裁判』「ザ・クラウン」「オザークへようこそ」のNetflixが映画部門22、テレビジョン部門20の、合計42部門という前代未聞のノミネート数を得て、昨年の映画・テレビジョンともに17部門の合計34部門より大幅に伸ばした。スタジオ別の次点は『Small Axe』などを配信するアマゾン・スタジオの7部門ノミネートで、テレビジョン部門を合わせると合計10部門ノミネートとなっている。

今年のノミネーション状況は、前評判通りほぼ順当と言われている。ゴールデン・グローブ賞はアカデミー賞の投票の直前に行われることから、賞レースの行方を占う“前哨戦”とされている。だが、ロサンゼルスを拠点に海外メディアで執筆・レポートを行う、ハリウッド外国人記者協会の会員87名が投票する賞という特性から、俳優や監督を含む映画製作スタッフ約9000名が選ぶアカデミー賞とは、ノミネート作品・受賞作品の趣向が異なる。

ゴールデン・グローブ賞はテレビジョン部門も併設しているので、アニャ・テイラー・ジョイはテレビジョン部門リミテッド・シリーズの「クイーンズ・ギャンビット」と、映画部門の『Emma.』のダブル・ノミネートとなった。そして映画部門も「ミュージカル/コメディ部門」と「ドラマ部門」に分かれているため、サシャ・バロン・コーエンは『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』(20)で「ミュージカル/コメディ部門」の主演男優賞、『シカゴ7裁判』で映画部門助演男優賞のダブル・ノミネート。

特筆すべきは、「テレビジョン部門リミテッド・シリーズ」に「ミセス・アメリカ〜時代に挑んだ女たち〜」のケイト・ブランシェット、「ふつうの人々」のデイジー・エドガー=ジョーンズ、「アンオーソドックス」のシーラ・ハース、「フレイザー家の秘密」のニコール・キッドマン、「クイーンズ・ギャンビット」のテイラー・ジョイといった女優陣がノミネートされ、大激戦区となっていること。4作品はすでに日本で配信、放送済みで、「ミセス・アメリカ〜時代に挑んだ女たち〜」は2月6日よりWOWOWにて放映予定。これらのドラマシリーズがノミネーション発表の時点で、全て日本でも観られるというのもとても珍しい状況で、現在がテレビシリーズの黄金期であることがわかる。

「映画部門」の監督賞では、候補の5人中3人が女性監督。『Promising Young Woman』のエメラルド・フェネル、『あの夜、マイアミで』(20)のレジーナ・キング、『ノマドランド』のクロエ・ジャオが、『Mank /マンク』のデヴィッド・フィンチャー、『シカゴ7裁判』のアーロン・ソーキンと共にノミネートされている。昨年のサンダンス映画祭で、観客賞と審査員賞を受賞し前評判が高い『ミナリ』(3月19日日本公開)は、アメリカ人監督リー・アイザック・チョンが、プランBとA24のアメリカの映画製作会社と組んだ作品ながら、映画内使用言語の50%以上が外国語(韓国語)でゴールデングローブ賞の規定に引っかかり、外国語映画賞ノミネートとなった。ゴールデングローブ賞の映画部門作品賞のノミネート規定では、「使用言語全体の50%以上が英語」である必要があり、アメリカ映画でありながら外国語映画賞に応募されていた。他方、アカデミー賞のノミネーションは製作国の国籍がアメリカ以外であることが条件で、カテゴリーの名称も、外国語映画賞から国際長編映画賞に改定されている。

ゴールデン・グローブ賞は、ボールルーム形式で大勢のスターが揃う、豪華な授賞式を全米ネットワークのNBCが生中継することでも有名だが、今年の授賞式形態はまだ未定。アメリカ時間の2月28日に授賞式が行われる。

■第78回ゴールデン・グローブ賞の主なノミネート作品
作品賞<ドラマ部門>
『ファーザー』
『Mank /マンク』
『ノマドランド』
『Promising Young Woman』
『シカゴ7裁判』

作品賞<ミュージカル/コメディ部門>
『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
『ハミルトン』
『Music』
『パーム・スプリングス』
『ザ・プロム』

監督賞 
エメラルド・フェネル /『Promising Young Woman』
デヴィッド・フィンチャー/『Mank/マンク』
レジーナ・キング/『あの夜、マイアミで』
アーロン・ソーキン/『シカゴ7裁判』
クロエ・ジャオ/『ノマドランド』

主演男優賞<ドラマ部門>
リズ・アーメッド/『サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ』
チャドウィック・ボーズマン/『マ・レイニーのブラックボトム』
アンソニー・ホプキンズ/『ファーザー』
ゲイリー・オールドマン/『Mank /マンク』
タハール・ラヒム/『The Mauritanian』

主演男優賞<ミュージカル/コメディ部門> 
サシャ・バロン・コーエン/『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
ジェームズ・コーデン/『ザ・プロム』
リン=マニュエル・ミランダ/『ハミルトン』
デヴ・パテル/『どん底作家の人生に幸あれ!』
アンディ・サムバーグ/『パーム・スプリングス』

主演女優賞<ドラマ部門>
ヴィオラ・デイヴィス/『マ・レイニーのブラックボトム』
アンドラ・デイ/『The United States VS. Billy Holiday』
ヴァネッサ・カービー/『私というパズル』
フランシス・マクドーマンド/『ノマドランド』
キャリー・マリガン/『Promising Young Woman』

主演女優賞<ミュージカル/コメディ部門> 
マリア・バカローヴァ/『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
ケイト・ハドソン/『Music』
ミシェル・ファイファー/『French Exit』
アニャ・テイラー・ジョイ/『Emma.』
ロザムンド・パイク/『I Care A Lot』

助演男優賞 
ダニエル・カルーヤ/『Judas and the Black Messiah』
ビル・マーレイ/『オン・ザ・ロック』
レスリー・オドムJr/『あの夜、マイアミで』
ジャレッド・レト/『The Little Things』
サシャ・バロン・コーエン/『シカゴ7裁判』

助演女優賞 
グレン・クローズ/『ヒルビリー・エレジー −郷愁の哀歌−』
オリヴィア・コールマン/『ファーザー』
ジョディ・フォスター/『The Mauritanian』
アマンダ・セイフライド/『Mank/マンク』
ヘレナ・ゼンゲル/『この茫漠たる荒野で』

外国語映画賞
『Another Round』/デンマーク
『ラ・ヨローナ 〜彷徨う女〜』/グアテマラ=フランス
『これからの人生』/イタリア
『ミナリ』/アメリカ
『Two of Us』/フランス=アメリカ

アニメ映画賞 
『The Croods: A New Age』
『2分の1の魔法』
『フェイフェイと月の冒険』
『ソウルフル・ワールド』
『ウルフウォーカー』

文/平井伊都子