2月11日より公開中の役所広司主演作『すばらしき世界』。本作より、ピアニストの林正樹が奏でるエンディングテーマ「Under The Open Sky」と本編のコラボレーション映像が解禁となった。

直木賞作家の佐木隆三による小説「身分帳」を原案に、『ディア・ドクター』(09)や『永い言い訳』(16)の西川美和が監督と脚本を務める本作。実在の人物をモデルにしており、人生のほとんどを刑務所の中で過ごした元殺人犯、三上(役所)が刑期を終えて更生に奮闘する様子と、彼のドキュメンタリーを作ろうと三上を追う小説家志望の青年、津乃田(仲野太賀)とTVプロデューサーの吉澤(長澤まさみ)の姿を描いたヒューマンドラマとなっている。

ピアニストや作曲家のかたわら、アーティストのスタジオワークも手掛ける林正樹によるピアノソロと本編のコラボとなる本映像では、切なさを感じる繊細なメロディをバックに、出所後“普通の生活”を送ろうとする三上の様子が映しだされる。今度こそカタギになると誓う三上が、ミシンを使用する様子やカメラを回す津乃田を無邪気な顔で撮影する姿、そして子どもたちとともに遊ぶシーンなどが切り取られている。しかしそんな穏やかな姿から一転、映像中盤には脚立で人を殴る三上を撮影しながらも、恐怖を含んだ表情で後ずさりする津乃田、吉澤といった、バイオレンスなカットも含む印象的な映像に仕上がっている。

また、発売中の本作のオリジナルサウンドトラックには、西川美和による16Pのライナーノーツが封入されており、林との出会いや曲作りの苦悩が事細かに語られている。あわせて西川はエンディング曲について「刑務所を出所して、東京の片隅の古いアパートに引っ越してきた三上が、初めて自分の手で米を研ぎ、小さな窓から洗濯物を干し、ゴミ捨て場で分別を習い、温かく炊けたご飯に卵を落とし、買い物をし、縫い物をし、カーテンをかけ、近所の人に挨拶をするー。絃楽器のピチカートから始まるその楽曲は、まるで小さな子どもがおっかなびっくり歩きだすようなあどけなさのなかに、生きる悲しみと喜びを編み込んだ味わい深い曲だ。エンディング曲はそれしかないと全員が思った」とコメント。

最後には「映画音楽を作ってくれた全ての人に心からの敬意と感謝を伝えたい。エンディングテーマを聴き終わって劇場から出て来た人が、頭上に広がる空を少しだけ広く感じられれば良いと思っている」と締めくくっている。

懸命に人生をやり直そうと努める元囚人と、彼を追う若きテレビマンを通じて“社会”と“人間”のいまをえぐった本作。人間味のあふれるセンセーショナルなドラマの世界を、美しいピアノの旋律とともに味わってほしい。

文/サンクレイオ翼