世界中のファンから現在も支持を集める旧ソ連映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』(86)。同作を新解釈で完全アニメ化した『クー!キン・ザ・ザ』が、制作から8年を経て、満を持して5月14日(金)より日本初公開されることが決定。あわせてポスタービジュアルも公開された。

カルトSF映画の傑作として多くのファンを生んだ『不思議惑星キン・ザ・ザ』。著名なチェリストのチジョフとDJ志望の青年トリクは、雪に覆われたモスクワの大通りでパジャマ姿の裸足の宇宙人と遭遇、思いがけずにキン・ザ・ザ星雲の惑星プリュクにワープしてしまう。見渡す限りの砂漠に覆われたプリュクの地で2人は、ほとんど「クー!」しか言葉が存在しない異星人たちを相手に、地球に帰ろうと奮闘するはめに…。日本では1989年、2001年、2016年と3度劇場公開され、チープな雰囲気が漂うものの味のあるセットや劇中でのブラック・ユーモア、さらに「クー!」という意味不明なセリフなどで観る者の心を掴んだ。

そんな同作の監督・脚本を手掛けたゲオルギー・ダネリヤが2013年に自らアニメ映画化したのが『クー!キン・ザ・ザ』。社会主義体制の真っ只中で制作された実写版を、レトロ感溢れながらSFタッチの未来を感じさせるアニメで再構築。“キン・ザ・ザ”界を象徴する釣鐘型宇宙船も、その浮遊感を監督が実写では再現できなかったアニメならではの珍妙な表現で描き出している。

実写版は当時のソ連の政治体制を皮肉めいた視点で描いたと評されたが、『クー!キン・ザ・ザ』は、大きな変革の波にあった現代のロシアを戯画化して風刺。ダネリヤ監督は本作の完成後、2019年に88歳で逝去し、このアニメが遺作となった。

このたび、待望の声に応えて8年越しの日本上陸となる『クー!キン・ザ・ザ』。その内容がどのように仕上がっているのか楽しみでならない。なお、実写版『不思議惑星キン・ザ・ザ』もあわせてリバイバル公開が決定。この機会にぜひ2作をスクリーンで鑑賞することをお薦めしたい。シュールで不思議な世界観の虜になることだろう。

文/入江奈々