現地時間4月9日に、フィリップ王配が99年の人生の幕を閉じた。17日には、英国には珍しく澄み渡る晴天のなか、ウィンザー城で、軍関係者による行進や演奏、そして近親者30人だけの参列で、盛大かつ厳かな葬儀が営まれた。

コロナ禍とあって一般人の参加は一切排除し、参列者も最小限に抑えられたことから、「寂しい最期」と伝えていたメディアもあったが、入念にリハーサルを重ねた軍による行進や演奏、参列者が家族やフィリップ王配に近しい人々に限定され、「BBC」が「エリザベス女王の前に出ることなく、常に後ろからサポートし続けたフィリップ王配にとって、これが女王の前を行く最初で最後の日」と報じた葬儀は、あらかじめ王室から報告されていた通り、フィリップ王配の意向をくんだ形で執り行われた。

例えば、フィリップ王配がこよなく愛し、デザインにも加わったという馬車の王配の定位置には、当時愛用していたハンチング帽にブランケットとカップ、手袋が用意された。

選曲もしかりで、最初に演奏されたのは、歌はなかったものの「我は汝に誓う、我が祖国よ」。日本では平原綾香の「Jupiter」でも知られている楽曲だが、歌の内容は全く異なる。ロシア、デンマーク、ギリシャ、イギリスの血を引く王族として、結婚当初は“移民”と言われていたフィリップ王配と同じく、スウェーデン、バルト系移民の家系に生まれた英国人作曲家グスターヴ・ホルストによる管弦楽組曲だ。イギリス海軍で第2次世界大戦に従軍したフィリップ王配らしく、1926年の第1次世界大戦休戦協定記念式典で演奏されて以降、イギリスではリメンバランス・デーで戦没者追悼の歌として歌われるようになった愛国歌であり、イングランド国教会の聖歌でもある。また、故ダイアナ妃が好んだとされ、チャールズ皇太子との結婚式で演奏されたほか、1997年のダイアナ妃の葬儀の際には、長男ウィリアム王子の要望で演奏されたことでも知られている旋律だ。

ウィンザー城内の遺体の安置場所から、聖ジョージ礼拝堂までフィリップ王配の棺を運ぶためのランドローバーに付き添ったシニア・オフィサーもフィリップ王配の選択なら、このランドローバーも数ある愛車のなかでも特に愛用していたもの。ミリタリーグリーンに、オープントップで棺が乗せられるデザインも王配本人の希望によるもので、16年間かけて2019年に現在の形が完成。生前にエリザベス女王に、「私が死んだら、ランドローバーの後ろに括り付けて、バッキンガム宮殿からウィンザー城まで運んでほしい」と冗談半分で話していたという情報もある。

また棺を覆う旗は、ギリシャ生まれのフィリップ王配のルーツを、その上にはイギリス海軍の帽子、そしてエリザベス女王からのメッセージカードとともに、エリザベス女王が直接選んだという白いバラやユリ、フリージアの花束も添えられており、フィリップ王配と愛する人々との集大成ともいえる葬儀となった。

文/JUNKO