『百円の恋』(14)、『愛の渦』(14)、『アンダードッグ』(20)など数々の作品で映画賞を獲得してきた東映ビデオが、新たな才能を発掘する新プロジェクト「TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY」を立ち上げることが発表された。

東映ビデオが培ってきた制作能力を生かし、新進クリエイターと良質な“劇場映画”を作り未来へと継続していく本プロジェクト。企画コンペ、演技ワークショップ、製作、プロモーション、上映までの5段階となる全プロセスを新進クリエイターとともに推進していく。

募集段階となる「(1)劇場映画企画コンペティション」では、企画書、オリジナル脚本、これまで制作した映像作品などを提出してもらい、東映ビデオのプロデューサーや外部から特別審査員を招いて審査を実施。「(2)選出企画へ製作出資(プロデュース)」では東映ビデオが製作費として1500万円を出資し、東映ビデオのプロデューサーが制作やキャスティングをバックアップしていく。

また「(3)演技ワークショップ(兼オーディション)」では選出作品の監督による演技ワークショップを実施し、「(4)クラウドファンディング」では新しい才能を発掘し映画界を盛り上げるため、映画ファンが直接関われる場としてクラウドファンディングを立ち上げプロモーションを強化。劇場公開へと進む流れとなる。

第1回の特別審査員を『百円の恋』で日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞し、『喜劇 愛妻物語』(20)で監督と脚本を手掛けた足立紳が務めるほか、『アンダードッグ』(20)などを手掛けた東映ビデオのプロデューサー陣が厳正な審査を行う。

本プロジェクトの旗振り役であるプロデューサーの佐藤現は「クリエイターの個性と寄り添いながら、ともに『劇場映画』を作って世に出していきたい。また、オーディションを兼ねた演技ワークショップの実施により、キャストの一部を選考していきます。俳優の皆さんにとっても飛躍へのステップになれば、と考えています。もちろん作品を生み出して届けるまでには多くの困難が待っているでしょう。だからこそ、作品が観客の心に届いた時の感慨はひとしおです」とコメントしており、記念すべき第一回の募集テーマが「青春映画」となることから「瑞々しい感性のほとばしる企画、脚本を、心待ちにしています」と呼びかけている。

プロジェクト第1回は、6月24日より企画募集が行われる。詳しくは、プロジェクト公式ホームページをチェックしてみてほしい。


●佐藤現(東映ビデオプロジェクトリーダー/プロデューサー)

「毎年、多くの自主映画が制作され、様々な映画祭、コンペティション等で優れた作品が発表されていますが、そこで喝さいを浴びたクリエイターが、その個性を保ちつつ商業映画に進出していくための門戸は、現状そんなに広くありません。本プロジェクトは、そんなクリエイターの皆さんが飛躍するためのネクストステップの場にしたいと思っています。クリエイターの個性と寄り添いながら、ともに『劇場映画』を作って世に出していきたい。また、オーディションを兼ねた演技ワークショップの実施により、キャストの一部を選考していきます。俳優の皆さんにとっても飛躍へのステップになれば、と考えています。

当社は、制作、劇場配給、パッケージ化、配信など、企画から観客に届けるまでのプロセスを一社で完結できる強みを持っていますので、劇場映画を皮切りに、様々なメディアで多くの方々に作品を観てもらえる機会が得られます。ただ、もちろん作品を生みだして届けるまでには多くの困難が待っているでしょう。だからこそ、作品が観客の心に届いた時の感慨はひとしおです。そんな苦労も喜びも全部ひっくるめて、我々と一緒に歩んでくれるクリエイターの皆さん、ぜひご応募ください。記念すべき第一回の募集テーマは『青春映画』です。瑞々しい感性のほとばしる企画、脚本を、心待ちにしています」

●足立紳(第1回特別審査員/脚本家・映画監督・小説家)

「2012年の暮れ、私は周南映画祭という山口県の小さな映画祭が立ち上げた松田優作賞というシナリオコンクールに『百円の恋』という脚本を応募して賞をいただいた。映像化が決まっている賞ではなかったから、その後に営業した。すでに40歳であとのなかった私にとっては敗者復活戦のようなものだったので必死だった。映画化してくれたのは東映ビデオという会社だった。映画化が決まってすごく嬉しかったが、このシナリオがどれだけいじられてしまうだろうかと不安があった。だがその不安は杞憂だった。プロデューサーが、このシナリオの良さを出来るだけ損なわないように映像化したいと言ってくれたのだ。結果シナリオをいじることはほぼなかった。大切にされていると感じた。

作家性という言葉はなんだかおもはゆくてあまり使いたくないが、でも、それを大切にする以上に、それに惚れるものときっと出会いたいに違いない。『なんだよ、俺じゃダメなの?』とちょっと思った。審査員じゃなかったら、恥ずかしげもなく応募していたに違いない」

文/富塚沙羅