南勝久による人気コミックを岡田准一主演で映画化した『ザ・ファブル』(19)の続編で、大ヒット公開中の『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』。伝説的な殺し屋を主人公とするこのシリーズで、岡田はファイトコレオグラファーにも挑戦し、超人離れしたアクションの数々を作り上げている。俳優から作り手への転機となった作品だけに、岡田とアクションの歴史をここで振り返っていきたい。

■役作りのためには格闘技を極めるストイックさ!
ジャニーズ事務所に入ってすぐにV6としてデビューしたにもかかわらず、周囲のメンバーと並んでも遜色のないダンスの腕前を披露するなど、運動神経の良さ、そしてストイックさにはもともと定評があった岡田。

V6がレギュラーを務めたバラエティ番組「学校へ行こう!」の「体当たり戦士 少年オカダ」という様々な難題に岡田が挑戦するコーナーでは、その抜群の運動能力をフル活用。空中ブランコやウェイクボードに綱渡り、時には水上に敷かれたゴザの上を忍者のように走ったり、減量というミッションにもチャレンジした。持ち前の運動センスの良さと根性で難題をクリアしていく岡田の姿を覚えているという人も多いのではないだろうか。

そんな岡田にとってアクション俳優への転機になった作品が、2007年から主演したドラマ「SP 警視庁警備部警護課第四係」シリーズだ。テロリストと戦う警視庁警備部警護第四係機動警護班に所属するセキュリティポリスの活躍を描く本シリーズで、岡田は五感が異常に発達した特殊能力を持つSPを演じており、役作りのために格闘技に取り組んでいく。

2年半の稽古を経て、2010年にフィリピン武術のカリとブルース・リーが作りだしたジークンドーのインストラクターの資格を取ると、のちに総合格闘技のUSA修斗の資格も取得。本シリーズの劇場版『SP 野望篇』(10)では、すべてのスタントを自分でこなし、車の上を軽やかに飛び越えたり、路地裏で壁を利用した三角跳び、さらには近接格闘術まで、バラエティに富んだアクションを披露した。

■アクションを極め、そして作り手の道へ
その後も「図書館戦争」シリーズでは本格的なガンアクションに挑み、時代劇『散り椿』(18)では殺陣にもチャレンジ。『散り椿』では監督の木村大作から「スピードに関して言えば、三船敏郎、高倉健、仲代達矢、勝新太郎を上回る」とも言われたほどだ。

そして、彼にとってアクションを作る側という新たなステップに踏み出したのが『ザ・ファブル』だ。このシリーズは、“6秒でどんな相手も殺せる”圧倒的な強さを持つことから都市伝説とまで言われる暗殺者のファブルが、組織から殺しを禁じられ、普通の生活を送ろうとするも様々なトラブルに巻き込まれてしまう様子を、アクションとユーモアを交えながら描いた“THEエンタメ”な作品。

主人公ファブルの強さを証明するため、ド派手な場面が随所に盛り込まれており、手足だけで壁をスルスルと3階ほどの高さまで登ったり、狭い通路で次々と襲い来る敵を一人一人的確に再起不能にしていったりと、流れるような圧巻の動きでキャラクターに説得力を持たせている。

『ボーン・アイデンティティー』(02)や「96時間」シリーズなどを手がけたフランス出身のアラン・フィグラルツとともに、部分的にファイトコレオグラファーを担当し、超人的なアクションの数々を演出。共演者に対しての指導も行ったという。

また「V6の愛なんだ2019」では、学生にアクションを教えるという企画で、パンチの出し方や当たっているように見せる顔の流し方など細かなところまで真剣に指導。いざ撮影が始まると、学生たちにアドバイスをするために駆け寄ったり、「もう一回!」と納得がいくまでカットを重ねるなど、バラエティ番組とは思えないほどの情熱的な姿が印象的だった。

■最新作でもその実力を存分に発揮!
そして最新作『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』。本作は普通の生活を送ろうと奮闘するファブルが、かつて殺し損ねた因縁の敵、宇津帆(堤真一)の復讐の的にされながらも、過去の事件で救うことができなかった車椅子の少女ヒナコ(平手友梨奈)を救おうと奮闘していく。

岡田は本作でもファイトコレオグラファーとして名を連ね、アクション監督の横山誠とともに、人間離れしたシーンを作り上げている。その最たるものが、団地を舞台にした大がかりなシーン。振り付けや構成を担当した岡田は組まれた足場が崩れていくなかでの格闘や、建物の間を落ちながらのバトルなど、見ているだけで冷や汗ものの危険度MAXのアクションを生みだしている。

さらに、木村文乃演じるファブルの相棒ヨウコと安藤政信演じる殺し屋の鈴木のバトルでは、2人を指南。木村がどう動いたらいいのかわからなくなり硬くなってしまったという時には、「アクションもお芝居、対話なんだよ」と俳優だからできる適切なアドバイスを入れたそうで、俳優兼ファイトコレオグラファーとしての岡田のすごさが感じられる作品となっている。

もちろん自らも映画冒頭で、暴走する車の天井部分からくるりと一回転し、ドアにしがみつくというカースタントを命綱一本でこなすなど、そのアクション俳優としてのクオリティの高さを存分に発揮している岡田准一。運動神経とストイックさでアクションという道を突き進んできた彼の集大成とも言える姿を『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』で堪能してほしい。

文/サンクレイオ翼