『グーニーズ』(85)や「リーサル・ウェポン」シリーズなどで知られるリチャード・ドナー監督が、現地時間5日にロサンゼルスで死去。91歳だった。幾多の名作が生まれた1970年代から1980年代のハリウッド映画界を駆け抜け、近年隆盛を極めるヒーロー映画の礎を築きあげた偉大な映画人の訃報に、各所から追悼のコメントが寄せられている。

1930年にニューヨークで生まれたドナー監督は、デヴィッド・マクリーンとチャールズ・ブロンソン共演の『宇宙船X-15号』(61)で映画監督デビュー。その後、ホラー映画の名作『オーメン』(76)や、DCコミックス原作の王道ヒーロー映画『スーパーマン』(78)を監督し、一躍トップ監督の仲間入りを果たす。そして『グーニーズ』を経た1987年からは、後に代表作となる「リーサル・ウェポン」シリーズがスタート。

プロデューサーとしても『X-MEN』(00)、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(09)、『X-MEN:フューチャー&パスト』(14)などのヒット作に携わったドナー監督。今年1月には「リーサル・ウェポン」シリーズの5作目の準備に入っていることを発表。すでに脚本が完成済みとも報じられていたが製作にはたどり着けないまま、ブルース・ウィリス主演の『16ブロック』(06)が事実上の遺作となった。

ドナー監督の逸話として思い出されるのは、やはり『スーパーマンII』をめぐる一連だ。1作目と同時進行で2作目を制作していたものの、プロデューサーや制作会社と対立。1作目の成功を経て2作目の制作が再開されるがドナー監督は降板。後任を務めたリチャード・レスターがすでに撮影されていた大部分に追加撮影を施し、『スーパーマンII 冒険篇』として作品を仕上げるも、ドナー監督が構想していたものとはかけ離れた出来栄えに。その後、行方不明になっていた撮影素材が発掘されたことから『スーパーマン リターンズ』(06)の公開に合わせて作品の復活企画が浮上。大幅な再編集作業を経て、『スーパーマンII リチャード・ドナーCUT版』として28年越しに日の目を見ることとなった。

訃報に際し、『グーニーズ』で脚本を務めたスティーヴン・スピルバーグはアンブリン・エンタテインメントのTwitterを通し声明を発表。「彼は多岐のジャンルにわたる才能の持ち主。彼の仲間でいることは、好きな指導者や賢い教授、愛すべき友人、そしてなによりも最高の“グーニー”と一緒にいるような気分でした。彼がいなくなったなんて信じられないが、あのハスキーで心のこもった笑い声はずっと私のなかに残り続けるだろう」とコメントし、公式Twitterのバナーを『グーニーズ』のオープニングクレジットに差し替えて敬意を表明。

また「リーサル・ウェポン」シリーズなどでタッグを組んだメル・ギブソンは「私の友人でありメンター。多くを学びました。彼は心と魂をすべての人に惜しみなく与えた。きっと彼の善行を積み上げれば、大空高くまで届くことでしょう。ウィットに富んだ彼がいなくなることは本当に寂しいです」と語り、ダニー・グローヴァーも「『リーサル・ウェポン』のチームと仕事をしたことは私のキャリアのなかでもっとも誇らしいこと。永遠に彼に感謝します」とコメント。
『暗殺者』(95)で主演を務めたシルヴェスター・スタローンは「彼は非常に才能があり、一緒に仕事することが本当に楽しかった。彼のユーモアのセンスはすばらしく、大笑いは雷鳴のようでした」と振り返りながら故人を偲んだ。

ほかにもSNS上ではマーベル・スタジオのケヴィン・ファイギをはじめ、エドガー・ライトやザック・スナイダーらドナー作品から多大な影響を受けた映画監督たち、さらには『グーニーズ』に出演したショーン・アスティンやコニー・フェルドマン、ジョシュ・ブローリンらがそれぞれ追悼のコメントを寄せている。

ここで挙げた作品以外にも、『3人のゴースト』(88)や『陰謀のセオリー』(97)など、数々の記憶に残る娯楽映画を生みだしたリチャード・ドナー監督への敬意と感謝を込めて、心より御冥福をお祈り申し上げます。

文/久保田 和馬