『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(公開中)のフィナーレ舞台挨拶が7月11日に新宿バルト9で開催され、声優の緒方恵美(碇シンジ役)、三石琴乃(葛城ミサト役)、山口由里子(赤木リツコ役)、立木文彦(碇ゲンドウ役)、総監督の庵野秀明が登壇。「あなたにとってのエヴァとは?」と聞かれた庵野総監督が、「自分の人生の半分を費やした。終わったというのは感無量です。感無量な作品です」とコメント。応援してくれたファンに「ありがとうございます」と何度も頭を下げ、万雷の拍手を浴びた。

1995年にテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」の放送が開始。庵野秀明が原作、脚本、総監督を務め、26年にわたり人気を拡大し続けてきた。本作は、2007年に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズが始まり、『:序』、『:破』(09)、『:Q』(12)と続いた物語の完結編。公開から125日が経った7月10日時点で、興行収入は98.8億円、観客動員数647万人を突破する大ヒットを記録している。

緒方によると「今日一緒に登壇してくださるメンバーは、テレビシリーズ第1話の冒頭で、最初に出会う人たち」とのこと。「綾波が担ぎ込まれる前までは、この4人だった。その冒頭の皆さんと一緒に、最後の挨拶をさせていただける。すごく感慨深く思っています」としみじみと語る。

庵野総監督は「確かに緒方が言う通り。本当に懐かしいな」とテレビシリーズの始まりを思い出しながら、「今日は最後ということで、改めてお礼を申し上げたく登壇いたしました」と挨拶。最後まで走り抜けた達成感について司会から聞かれると、「いま自分が作るアニメーションでやれることは、だいたいやったかなと思う。いまやれる技術が、ようやくできた。『:序』『:破』『:Q』と『あれもできなかった』というのが結構あった。今回はようやくほとんどできた。ありがたい」と充実感をにじませていた。

この日は、SNSで募集した質問にも回答した。庵野総監督には「『シン・エヴァンゲリオン劇場版』で、足したかったシーンはありますか?」との質問が投げかけられた。庵野総監督は「本当は、2時間を切りたかった。でもこれは2時間以内にはまとまらないとなり、2時間半になった。なので、削るだけ削って、足さなきゃいけないものは足した。『シン・エヴァ』に関しては、もう足すシーンはない」と言いながらも、「他の時は『あれを足しておけばよかった』と思う。今回に限っては、いまのところないです。また出てくるかもしれないですけど」と正直な胸の内を明かし、「いま、制作はビビっていると思いますけど。いまはない」と楽しそうに“いま”を強調していた。

また「あなたにとってのエヴァとは?」とのお題が上がると、立木は「26年間やってきた、リアル人生ゲームみたいなところもあり。自分のなかでは、声優をやり始めた最初のころの作品。いまとなっては、人生経典みたい」、山口は「自分の運命を変えた作品。庵野監督のもとで、『エヴァンゲリオン』のいちクルーとして、最後まで作品のなかで生きることが、今生の自分の使命だと思っている。使命のひとつが終わるという感じがしている」とそれぞれが並々ならぬ思い入れを吐露。三石は「山。ザ・マウンテン」とにっこり。「『エヴァ』が来た、よし登ろう。でも途中で崖から落ちたり、仲間と手を握りしめて頂上まで行って『いい景色が見られたね』と喜びあったり。山が終わってしまうと、『次の山はないのか』と探してしまう。あったら『すぐ登りたい』という気持ちにさせてくれる、ザ・マウンテン」と大きな笑顔を見せた。

緒方は「自分自身の、もうひとつの14歳の記憶」とキッパリ。「テレビシリーズをやっている時は、自分とシンジは真逆だと思っていた。でもいまは、自分はシンジだったと思っています」と心を込めていた。「一言では難しい。僕自身の最新作です(笑)」と切りだした庵野総監督は、「この企画自体は1992年からやっている。30年近く関わっているということは、自分の人生の半分。人生の半分を費やした作品だったので、終わったというのは感無量です。感無量な作品です」と打ち明けていた。

最後には、三石が「葛城ミサトという役として、のたうち回ったり、喜んだり、泣いたり、叫んだ時間をとても愛おしく思っています」と涙ぐむひと幕も。緒方は「役者というのは、努力をするのは当たり前。運がなければ、役者として生きていくことはできない。私はあり得ない運をいただいて、ここまで来ることができた」と本シリーズとの出会いに感謝。「いつ呼んでいただいても、14歳に戻れる。そういう自分でいられるよう、これからもできる限り努力をしていきたい」と未来を見つめた。庵野総監督は「今日は最後に皆さんにお礼を申し上げたくて、ここに来ました。ありがとうございました!いろいろ言おうと思ったんだけれど、これしか出てこない」とお礼の言葉で締めくくり、大きな拍手を浴びていた。

取材・文/成田 おり枝