細田守監督の最新作『竜とそばかすの姫』(公開中)は、第74回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プルミエール部門に選出され、フランス現地時間7月15日に公式上映が行われた。映画祭での上映後には、世界各国のプレスが映画評を掲載しており、映画批評を集積・集計するサイト「ロッテン・トマト」では7月31日現在、100%フレッシュを獲得中だ。

「ロッテン・トマト」とは、主に英語圏の批評家によるレビューをもとに、映画や海外ドラマ、テレビ番組などの評価を集積しているサイト。作品レビューの賛否を独自の方法で集計し、それを数値化・パーセンテージで表示したスコアは、サイト名にもなっている“トマト”のフレッシュ(新鮮)度で表される。好意的な批評が多い作品はフレッシュなトマトに、逆に否定的な批評が多い作品はロッテン(腐った)トマトとなり、ひと目で作品の評価を確認することができる。中立的な立場で運営されていることから、一般の映画ファンはもちろん業界関係者からも支持を集めており、近年では日本でも多くの映画宣伝に利用されている。

まだ映画祭でしか上映されていない『竜とそばかすの姫』だが、現時点でのトマトメーターは100%フレッシュ。トップ批評家6名を含む10名の批評家全員がフレッシュ(肯定的)なレビューを執筆している。

イギリスの「Daily Telegraph」紙のロブル・コリン記者は、「『竜とそばかすの姫』は、オンライン・オフラインの二重生活を美しく観察し、目を見張るようなアニメーションで描いたSFのおとぎ話だ。細田監督の作品としては、2012年の『おおかみこどもの雨と雪』以来の傑作であり、これまでの最高傑作と言えるだろう」と評し、5点中5点をつけている。

批評やインタビューを掲載するイギリスの映画誌「Little White Lies」のハンナ・ストロングは、「細田監督は、急速に日本のアニメーション界でもっとも注目される監督の一人となり、重いテーマを繊細かつ芸術的に扱う、すばらしい作品を作り続けている」と書いている。

映画業界誌の「Hollywood Reporter」のデボラ・ヤングは、「ルドヴィグ・フォルセルと坂東祐大による音楽は、細田監督のトレードマークである感情的なクレッシェンドを繰り返しながら、シーンを束ねていく」と音楽に注目した。

同じくアメリカの映画業界誌「Indie Wire」のデーヴィッド・アーリックは、「この物語で描かれる教訓が究極的にはシンプルなものであったとしても、少なくともすずは、忘れるにはあまりにも斬新な方法で学ぶことになる。インターネットは誰にでも声を与えることができるが、実際に人々がお互いの声を聞き初めて美しい場所になるものだ」と評している。

「ロッテン・トマト」には、批評家による評価と、一般観客による評価の欄がある。『竜とそばかすの姫』がこれから北米や世界各国で公開されると、批評や評価も追加されていく。世界中の観客にどのように受け取られるのかも楽しみだ。

文/平井伊都子