先週末(9月24日から26日)の北米興収ランキングは、マーベル・シネマティック・ユニバース作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(日本公開中)が4週連続のNo. 1を獲得。24日に『ブラック・ウィドウ』の興収を上回り2021年公開作のトップに躍りでると、26日までの段階で北米累計興収は1億9600万ドルを突破。今週末中にはコロナ禍で初めて興収2億ドルを突破することが確定的となった。

勢いの止まらない『シャン・チー』とは対照的に、2位に初登場を果たした『ディア・エヴァン・ハンセン』(11月26日日本公開)は苦戦を強いられている。トニー賞で6部門を制したブロードウェイ・ミュージカルを、『ウォールフラワー』(12)のスティーヴン・チョボスキー監督が映画化した同作は、第34回東京国際映画祭のクロージング作品にも選出されている感動系ミュージカルだ。

およそ3300館で公開され、オープニング興収は744万ドルほど。1館あたりのアベレージも2212ドルと予想を下回る低調な出足。しかも批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、観客の89%から好意的な評価が寄せられている反面、批評家からの好意的評価の割合はわずか33%。そのギャップの大きさもさることながら、観客のクチコミがまったく興行成績に反映されていないことが顕著に。いずれにしても、賞レースへの参戦は厳しいところだろう。

ほかにはインド映画『Love Story』が10位に初登場。ベルリン国際映画祭で銀熊賞(主演俳優賞)を受賞し、第94回アカデミー賞の国際長編映画賞にドイツ代表としてエントリーしている『I'm Your Man』が16館の限定公開でまずまずのスタートを切り、9月6日に亡くなったジャン=ポール・ベルモンドの追悼として再上映が始まった『勝手にしやがれ』(60)は2館で8737ドルを売り上げる盛況に。

また、「イコライザー」シリーズのアントワン・フークワ監督がジェイク・ギレンホールとタッグを組み、デンマークの同名映画をリメイクした『THE GUILTY/ギルティ』(Netflixにて独占配信中)もニューヨークとロサンゼルスの6館で限定公開。例によって興行成績については未発表となっている。

北米より1週早く公開となる世界各国で爆発的な興行が期待されている『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(日本公開中)をはじめ、リドリー・スコット監督の『最後の決闘裁判』(10月15日日本公開)、すでに世界興収7000万ドルを突破しているドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の『DUNE/デューン 砂の惑星』(10月15日日本公開)と、例年にない大作ラッシュが待っているこの10月。ついにやってくる北米映画界の完全復活に期待しながら、それぞれの動向を見守りたいところだ。

文/久保田 和馬