『ヒメアノ〜ル』(16)、『BLUE/ブルー』(21)などの作品を生みだしてきた吉田恵輔監督の最新作で、ある女子中学生の交通事故死をきっかけに、関係者たちの人生が崩壊していく様子を描いた衝撃作『空白』が、現在公開されている。

「大きな何かを失った時に生まれた“心の空白”を埋めるには、一体何が必要なのか?どう生きるのが正解なのか?現代という地獄を生きる登場人物たちが、我々に問いかけてくる。正直、大傑作だと思う」(映画プレゼンター・赤ペン瀧川)

「観終わったあとは静かな涙が流れ、余韻とともに心の中には確かに感じる『空白』が、そこにありました。古田新太さん演じる添田の涙をはじめ登場人物一人一人の涙の意味がとても深い。こんな映画は初めて観ました」(歌舞伎俳優・尾上右近)

と、著名人からも絶賛をされている本作。ここでは「ヤバすぎる親父の怪演に唖然…
映画『空白』の衝撃を共有しよう」と銘打った感想投稿キャンペーンに投稿された、一般人からの思いのこもったメッセージを紹介。観た人がなにかを語りたくなるような作品として話題を集めている本作の魅力をひも解いていく。

■続々と寄せられた“傑作”の声!「今年暫定ベスト作品」にあげる人も

突然の出来事により、それまでの人生が失われていく事態にどう折り合いをつけていくのか?明確な答えのないグレーな題材を扱っている本作。観客の価値観が試される作品ゆえに、多くの人の心に刺さったようで傑作との声が集まっている。

「言葉にならないほどの傑作だった。人はみな多かれ少なかれ“空白”を持っていてどんな色で、どうやって埋めようか知らず知らずのうちに必死になっている。善悪だけでこの世が割り切れるならどんなに良かったか。彼らの生き様を、空白を目に焼き付けてほしい。これまでにない“赦し”の映画であると私は思う」(20代・女性)
「なんなんだこの映画…すごすぎる。鑑賞中からは想像もしなかった、鑑賞後のこの気持ち…この映画はすごい」(50代・女性)
「序盤の衝撃のシーンから一気に引き込まれ、このあとどうなるの!?どういう展開で行くの!?と、食い入るようにラストまで観ました」(30代・男性)
「最後のシーンで涙が出て、エンドロールを観ながら『あ〜良い映画だったな』ってじわーっといろんな感情が押し寄せてきました。これぞ吉田マジック、参りました!」(30代・女性)
「感情の細かな動きや関係性の描き方が巧みで、とても引き込まれました。今年暫定ベスト作品」(20代・女性)

重厚なテーマを突きつけてくる作風に圧倒された人も多かったようで、「ものすごいものを観てしまった感があります。でも、内容は重くて苦しく、たくさんのことを考えさせられました。しばらく引きずりそうです…。また観たいか?苦しすぎてすぐには観られませんが、圧巻の内容と演技は、必ずまた観たくなると思います。気軽には勧められませんが、時間とお金を使って観る価値は十分あります」(40代・女性)といった、率直な意見も見られた。

■観客を物語の世界へと引き込む役者たちの熱演が刺さる

そんな本作を傑作たらしめる理由の一つとして、多数の意見が寄せられたのが、役者たちの巧みかつ熱量の感じられる演技だ。娘の花音の事故死をきっかけに暴走し、関係者たちを追い詰めていくモンスターとなる父親、添田を怪演した古田新太をはじめ、万引きを疑い、花音を追いかけたことで事故の一端となり、添田や世間の声に追い詰められていくスーパーの店長、青柳役の松坂桃李。さらに寺島しのぶ、田畑智子、藤原季節などベテランや若手の注目株が脇を固め、物語に説得力をもたらしていく。

「全員演技が上手いのでのめり込んでしまった。古田新太が演じる父親はずっと怒鳴っていたが、ある場面から大人しくなる。彼は娘の気持ちに寄り添おうとする。元妻に謝るシーンを見て、こらえていた涙が出てしまった。こんな人いるよなーと思いながら、人間は100%悪の人なんてなかなかいないから厄介だと思った」(30代・女性)
「古田新太さんの狂気と破壊、そして再生はすごすぎ、出演者みな素晴らしい演技」(40代・男性)
「松坂桃李さんは『新聞記者』同様、心は表に出さないけれど、仕草や表情で伝わる演技がさすがです」(50代・女性)
「出てくる登場人物がとても色濃い。良くも悪くも。古田新太さん演じる父親役がすごくて引き込まれた。店長役の松坂桃李も演技がすごかった」(40代・女性)
「みなさん素晴らしかったけど、寺島しのぶさんの演技が特に気に入りました。私の人生の中で最優秀助演女優賞」(20代)
「役者さんの演技がとても素晴らしかったです。特に父親の心情が、後半にいくにつれ少しずつ変わっていく、古田さんの表現力には感動しました」(30代)


など、作品内を通して変化していくキャラクターの心の機微を捉えた、実力派俳優たちによるさすがの演技は、観客を作品の世界へと引き込み、その心を奪ったようだ。

■誰の身にも起こりうる事態…身近な題材ゆえの恐怖や臨場感

さらにどこまでもヘビーでありながらも、いつ誰の身にも起こり得るというテーマの身近さや臨場感もまた、本作を傑作へと押し上げる重要なポイントの一つだ。

「とてもいい作品だった。どの立場も他人事ではなかったし、何度も胸が苦しくなって涙が出ました。映画と思えないほどリアルだった。多くの方にぜひ観ていただき同じ気持ちを共有したいです」(30代・女性)
「ニュースで見る出来事は遠くの他人事に捉えがちだか、この映画も観ていると、父親、店長、女性従業員、それぞれの立場に立たされているような臨場感がある」(60代・女性)


加えて汚いところまで見せていく、型にはまらないキャラクターの描き方や、どこか寂しげな地方の街並みなども合わさったリアリティを感じさせる仕上がりには、ドキュメンタリーを観ているかのような切迫感を感じたという人も。

「フィクションか、ノンフィクションか、どこかにあり得る気がして怖かった。でも、終わってみておもしろいなって思う。いるなぁ、こんな人って思う」(40代・女性)
「まるでドキュメンタリーを見ているかのような、身近に起きている出来事が丁寧に映しだされていた」(30代・女性)

またSNSやマスコミによって登場人物たちが翻弄されるという、日頃から目にしているような光景も随所で差し込まれており、「現代のSNSの普及がもたらした変化による皮肉さがよく描かれているなと。全員被害者であり加害者でもある。というより、全員が被害者なのでは?と感じました」(30代)との声も寄せられた。

■一筋の光が差すようなラストには、観賞後も思わず考えさせられる

現代社会にも横たわる、他者への不寛容が引き起こす地獄という問題が浮き彫りにされているため、観ていてつらさもある本作だが、ラストには希望を感じさせる展開が繰り広げられる。観客の心にそっと寄り添ってくるような結末ゆえに、多くの人の印象に残ったようで、クライマックスに関するコメントも届いている。

「人の悪意、善意、敵意、好意の豪雨をこれでもかと浴びたあと、最後に雲間からのぞくほのかな光。なんだかものすごく救われた気持ちになりました」(40代・女性)
「闇や恐怖の中に光がある、すてきな終わり方だと感じた」(20代・女性)
「最初はヤバい親父…と思ったが、ラストまで観ると感じ方が変わる。良い映画だった」(30代・女性)
「途中、みんなの気持ちを思うと、とても重苦しくて逃げだしたい気持ちになりましたが、ラストのそれぞれへの一筋の光にとても救われました。たくさんの人に観てもらいたい作品です」(50代・女性)
「前半は、恐ろしく執拗で、見ていて息苦しさを感じましたが、古田新太の迫真の演技と、心の変化の表現に引き込まれていきました。途中、会場から笑い声が上がるシーンもありながら、感動的なエンディングにつながります」(50代・男性)
「真相はわからなくても、最後のシーンで“空白”は埋まりました」(40代・女性)

心に残るラストや白黒つけない作風には、観賞後、帰路に着くまでいろいろなことを考えたという、以下のような言葉も届いていた。

「観終わったあと…なんとも言えない感情で。きっと観た人それぞれ感じ方の違う『空白』になったのではないかと思いました。鑑賞した帰りに家族のことをずっと考えさせられた作品で…この作品が伝えたかったことをひたすら考えながら帰りました(泣)」(30代・女性)
「観終わってからずっと考えてます。誰も悪くないのにって。見事にエグられました」(40代・女性)
「久しぶりに、本当に良い映画を観させていただいたと感じました。母と2人で観ましたが、帰りの車中、ずっと映画の余韻で話が止まりませんでした」(40代・女性)
「普段エンドロールが終わるとすぐに立つのですが、それができませんでした。可能ならばしばらく座っていたかったくらい、本当に好きな映画です。じわじわと流れる重たい空気が、最後にほんの少しだけ緩んだように感じました。本当に素晴らしい映画をありがとうございます。劇場で上映しているうちに、あと数度観たいと思います」(30代・女性)

映画の公開を記念した、スペシャルサイトの『空白』感想投稿キャンペーンでは、ここで紹介した以外の感想も掲載されている。鑑賞後は誰かと語り合ったり、深く考えたくなる作品であるため、ぜひチェックして作品に対する思いを投稿してみてほしい。

文・構成/サンクレイオ翼

※吉田恵輔の「吉」は“つちよし”が正式表記