マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)では、フェーズ3が完結するまでの10年間、ヒーローたちが集結し協力することで多くの危機を乗り越えてきた。そして、アベンジャーズにとってひと区切りとなる大きな戦いを終えたことで、MCUは新たな段階=フェーズ4へと突入。今回は、MCU世界における宇宙規模の物語が紐解かれ、次なるステップに向かう『エターナルズ』(公開中)をより楽しむために、ヒーローたちがこれまでに乗り越えてきた苦難と戦いを再チェック!その規模の大きさの順に振り返っていく。

■結成後初陣!6人vs大規模ロキ軍団という超不利戦『アベンジャーズ』(12)

地球規模の危機に備え、国際平和維持組織“S.H.I.E.L.D.”の長官であるニック・フューリーが集めたヒーローチーム、アベンジャーズ。邪神ロキ率いる宇宙人種族チタウリによる地球侵略に対し、たった6人で立ち向かうというシチュエーションはなかなかに過酷であり、その後もこれだけ数字的に劣勢な戦いは起こっていない。少人数であれだけの大規模軍隊を撃退することができたのは、チームワークによって引き寄せられた“奇跡”があったからと言えるだろう。ニューヨークでの侵略戦を乗り越えることで、アベンジャーズの新たな歴史が始まるが、この戦いはその後に訪れるサノスとの戦いの序章であり、さらなる苦難の幕開けとなる戦いだった。

■考え方の違いにトドメを刺した“仲間割れ”エピソード『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)

地球の支配をもくろむ人工知能ウルトロンとのソコヴィアでの戦いで露呈した、アイアンマン/トニー・スタークとキャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースの“脅威”に対する考え方の違い。わずかに生じた溝が深まり、決裂が決定的になってしまったのが本作だ。戦いの規模で言ってしまえば、チタウリによる侵略や、後述するウルトロンの計画阻止の方が大きいが、“仲間割れ”という身内での信用問題という心理的な部分でのヒーロー同士の敵対は、「敵の脅威を取り除けば終わり」という戦いとは異なり、決着のハードルがかなり高かった。事実、ヒーロー同士の仲間割れを計画した黒幕ヘルムート・ジモを捕まえて事件自体は乗り越えることができたものの、すべては丸く収まらず、ここで発生したトニーとスティーブの仲違いが解消され、本当の意味で危機を乗り越えるまでにはかなりの年月が必要となった。

■AIの暴走に加え、すれ違いや初の犠牲、仲間の離脱…『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15)

チタウリによる侵略を体験したトニー・スタークが、次なる脅威のために備えたのは、AIを持つアイアンマン・アーマーを模した量産型ドローン“アイアン・レギオン”による軍隊を作ること。この計画とインフィニティ・ストーンの一つであるマインド・ストーンを用いたさらに優秀な人工知能を開発し、アイアン・レギオンを強化する“ウルトロン計画”をスタートさせたことをきっかけに、自我に目覚め人類の滅亡を企てるAI、ウルトロンが誕生。その結果、アベンジャーズの存在は世間から危険視されることとなり、相談なく計画を進めたトニーに対しスティーブは不信感を持ち始める。

最終的にはトニーが蒔いた種が原因となり、東欧の都市ソコヴィアが危機にさらされ、一つ間違えば地球規模の災害につながる戦いへと発展。さらに、新たに仲間となるはずだったクイックシルバー/ピエトロ・マキシモフというアベンジャーズ初の犠牲までも伴ってしまう。これに加え、アベンジャーズ創設メンバーの一人でもあるハルク/ブルース・バナーの離脱や、前述したトニーとスティーブの軋轢にもつながる種を蒔いたことから、「ウルトロンを倒し、計画を阻止する」という困難は乗り越えたものの、さらなる困難を生みだす形になってしまった。

■『エターナルズ』にも登場する“セレスティアル”との戦い!『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(17)

MCUで描かれた戦いのなかでも全銀河レベルの危機を救ったのが、愚連隊的なヒーローチーム、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーだ。スター・ロード/ピーター・クイルが捜し続けていた父親のエゴと会うことができ、さらにその正体が天界人=セレスティアルであったことがわかる。MCUの宇宙において“神”に近い存在であるセレスティアルは、発想や考えることも人間の倫理感や常識を大きく超えるものであった。

エゴは惑星そのものが生物として活動しているような存在であり、人間の姿を模した肉体を作りだして銀河を旅し、訪れた数々の惑星に自身のコピーとも言える細胞を置いてきていた。個の惑星として存在するだけでけなく、銀河の各惑星と同化し、銀河のすべてを自身で覆い尽くす「拡張」を目的としており、それを可能とする力をセレスティアルが持っていることが明かされる。この「拡張」を止めるために、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは戦い、エゴという惑星を破壊することで勝利。銀河の数千の星々はエゴに飲み込まれることから救われ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーは再び銀河を救うことに成功した。そして、この作品では、『エターナルズ』に登場するセレスティアルがどのような存在なのかを知ることができるという意味でも重要な1作となっている。

■チート級の大惨事!半分になった宇宙全体の生命を取り戻す『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)&『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)

MCU史上で最大の危機と言えば、最凶のヴィランであるサノスとのインフィニティ・ストーンを巡る戦いだ。6つすべて集めると現実を意のままに変えることができるインフィニティ・ストーンをそろえ、全宇宙の生命を半分にするという目的を果たそうとするサノス。アベンジャーズたちはそれを阻止すべく戦いを挑む。しかし、『シビル・ウォー』での仲違いの影響によって、ヒーローたちの意思は一枚岩の状態ではなく、サノスは次々とインフィニティ・ストーンを入手。アベンジャーズは最後の1つ、ヴィジョンの額に埋め込まれたマインド・ストーンを守るべく、ワカンダでの総力戦に挑む。しかし、マインド・ストーンを守り切ることができず、サノスによって宇宙の半分の命が消されてしまう。

しかし、消えなかったアベンジャーズのメンバーたちは、失われた命を元に戻すために、量子世界を抜けて過去へ向かい、6つの石を再び集めるという時空を超えた任務に挑む。そして、数多くの波乱を乗り越え、無事すべてのインフィニティ・ストーンを集めることに成功。しかし、時空を超える機能を過去のサノスに利用され、再び6つの石を巡る戦いが巻き起こることに。サノスは、宇宙の半分の命を消し去っても再び抵抗する者が現れることを悟り、今度は世界そのものを作り直すためにインフィニティ・ストーンを使おうとするのだった。世界を救うという思いで一丸となったアベンジャーズとサノス軍の激しい争奪戦の末、知略を働かせたトニーの犠牲によって、インフィニティ・ストーンはサノス軍を消し去るために使われる。トニーやブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフらの尊い犠牲によって、世界は平和を取り戻し、まさにかつてないレベルの危機をヒーローたちは大きな団結によって乗り越えた。

■そして戦いは新たなフェーズへ!『エターナルズ』(公開中)

そんなヒーローたちが乗り越えてきた多くの危機や困難を、さらに上回るスケールの物語が描かれる『エターナルズ』。彼らは、神に近い創造主である“セレスティアルズ”によって生みだされた存在であり、邪悪な“ディヴィアンツ”と戦うのがその任務とされている。『エターナルズ』では、まだまだ謎の多いセレスティアルズの真実や、エターナルズがサノスとの戦いに介入しなかった理由などが明かされることが期待されている。

『エターナルズ』は、MCUにおける神に近い存在と世界観の深遠に触れ、さらなる次元へと視野を広げる大いなる役目を持つ1作になっていることは間違いない。そんなMCUの今後の流れを担う重要作をしっかりと見届けてほしい。

文/石井誠