マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)第26作目として公開された『エターナルズ』。『ノマドランド』(20)でオスカーに輝いたクロエ・ジャオが監督を務めた本作で描かれるのは、滅亡の危機に瀕した地球を救うべく立ち上がるヒーローチーム“エターナルズ”の活躍だ。

アベンジャーズをはるかに凌ぐ力を持つ彼らは、宇宙の神々であるセレスティアルズによって生みだされた存在で、7000年以上にわたって地球を危機から見守ってきた守護者。原作では、古代の人間たちがエターナルズを見て神だと勘違いしたという設定があるように、まさしく神のような存在だ。実際に神話から由来するキャラクターも多いエターナルズの個性豊かなメンバーを紹介していきたい。

■愛情深いメンバーのまとめ役…セルシ

まずはチームをまとめ上げる中心人物のセルシから。ジェンマ・チャン演じるこのキャラクターは、ギリシャ神話に登場する魔女キルケーに由来しており、感情を持たない物質であれば、触れるだけで別のものに変換させることができるという魔術的な能力の持ち主だ。

そんな彼女は人間に対して愛情深い性格で、現在は博物館の学芸員として勤務しており、人間の男性デイン(キット・ハリントン)と交際中。なおこのデインは、原作では3代目ブラック・ナイトとして、アベンジャーズにも加わる実力者で、映画ではどのような活躍を見せるのかも気になるところだ。

■カリスマ性抜群のザ・ヒーロー…イカリス

そんなセルシとかつて交際していたのが、エターナルズ最強の戦士イカリス。名前からもお察しの通りギリシャ神話のイカロスに由縁のあるキャラクターだ。原作では、彼は人間の女性との間に息子イカルスをもうけるが、人工の翼で空を高く飛びすぎた息子は翼を失って死んでしまい、その息子の名前からとってイカリスと名乗るようになった…という、イカロスが太陽に近づきすぎて死んでしまった神話をなぞった設定を持っている。

そんな彼は、自由自在に空を飛ぶことが可能で、目からビームを放つなど、いわゆるスーパーヒーローらしい能力の持ち主。高い能力と高潔な精神を持つカリスマで、チームの先頭を走る責任感も強い存在ゆえに、仲間と衝突することもしばしば。そんなイカリスを、ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のロブ・スターク役でもカリスマ性を発揮したリチャード・マッデンが演じる。

■戦闘大好きのクールなファイター…セナ

続いては、アンジェリーナ・ジョリー演じるセナ。彼女は、エターナルズのなかで誰よりも戦いを愛し、熾烈な戦場のほうが平穏な場所よりも心が落ち着くと語るほどの戦士。名前やその特徴からもわかるように戦いの女神アテナに由来しており、原作ではもともとアズラという名だったが、父の勧めでアテナに近いセナに変えたという設定となっている。

そんな彼女の最大の能力は、頭に思い浮かべた武器を、コズミック・エネルギーを駆使して具現化することができるという戦い向きのもの。性格は無愛想で、ほかのエターナルズにも心を開いていないが、唯一ギルガメッシュとだけは友情を築いている。原作では、過去にエターナルズの宿敵であるディヴィアンツのクロと恋仲だったこともあり、映画でもその関係が盛り込まれているのか注目したい。

■心優しき最強の豪傑…ギルガメッシュ

セナが唯一心を許すギルガメッシュ。マブリーことマ・ドンソクが演じるこのキャラクターは、原作の設定では、人類からギリシャ神話最大の英雄ヘラクレスや古代メソポタミアの王ギルガメッシュなど、伝説の人物にたびたび勘違いされ、セレスティアルズの長からもヒーローという名を与えられたほどの大物だ。

エターナルズのなかでも実力は群を抜いた最強の存在であるギルガメッシュの最大の特徴は怪力。コズミック・エネルギーで拳を強化して戦う際の圧倒的な強さは、伝説として語り継がれるほど。その一方で、性格は誰よりも優しく、人類にも親切というエターナルズの良心を担っている。

■癒しの力を持つリーダー…エイジャック

そんなギルガメッシュを抑えてエターナルズのリーダーとして君臨しているのがエイジャック。彼女は、太古の時代から現代まで常に地球と人類を見守り、彼らが無事に暮らせるように活動してきた、エターナルズの精神的支柱だ。

あらゆる生命をヒーリングする能力を持ち、冷静沈着にチームをまとめる人物で、本作では再び人類に危機が迫ったことからセルシ、イカリス、スプライトにチームの再集結を命じる。原作ではアステカやインカといった南米の文明との関わりが深いキャラクターで、本作ではメキシコ系の女優サルマ・ハエックが演じている。

■あらゆるものを発明する頭脳派…ファストス

ブライアン・タイリー・ヘンリーが演じるファストスは、あらゆるものを発明できる頭脳の持ち主で、原作では炎と鍛冶の神ヘーパイストスに勘違いされるなど、こちらもギリシャ神話に由来しているキャラクターだ。

素材さえあれば、想像するものは武器であれ、道具であれ、なんでも作りだすことができる発明の才能を用いて、人類のテクノロジーや技術の進化や発展をそっと後押ししてきたこの男は、平穏な暮らしを望んでいるが、地球の危機に再びチームに戻ることになる。またMCUヒーローとして初めての同性愛者ということを公表しているキャラクターでもある。

■見た目は子ども、頭脳は大人…スプライト

弱冠14歳のリア・マクヒューが演じているのは、その幼い容姿ゆえに数千年にわたって人間たちから子どものような扱いを受けてきたスプライト。その見た目に反してエターナルズのなかでも1、2を争う頭脳派のキャラクターだ。

いたずら好きな彼女の能力は、本物に見える幻影を生みだし、自分の姿を自由自在に変化させることができるというトリックスター的なもの。原作では、ピーター・パンやシェイクスピアの「夏の夜の夢」の妖精パックはスプライトがモデルになっているという設定もあるユニークなキャラクターだ。

■目立ちたがりのボリウッドスター…キンゴ

スプライト以上にユニークなのが、パキスタン系の俳優クメイル・ナンジアニが演じているキンゴだ。チームで最も陽気な性格の彼は、地球で人間たちに紛れ、人知れず暮らすことを求められているエターナルズにありながら、何世紀にもわたって目立ちたいという願いを抱き続け、現在はインド映画界“ボリウッド”でスターとして活躍している。

原作では、侍風のルックをしており、日本の映画界で活躍していたキャラクター。映画ではその要素が俳優に合わせてアレンジされている。そんな彼の能力は、指先からビームを出せるという、ほかのメンバーと比べてちょっぴり地味なもの。だからこそ目立ちたがりなのかもしれない。

■宇宙一のスピードスター…マッカリ

ギリシャ神話のマーキュリーに由来するマッカリは、全宇宙のなかで最も速いスピードで移動できるというシンプルながら強力な能力の持ち主。宇宙のありとあらゆる空間を移動して調査を続け、地球も隅々まで調べ尽くしたことで兼ね備えている豊富な知識も大きな武器の一つだ。

もともとコミックでは、白人男性のキャラクターだったが、本作ではMCUで初めて聴覚障がいを持つヒーローとして描かれており、自身も聴覚障がいを抱えているローレン・リドロフがキャラクターに命を吹き込んでいる。

■人類の敵か味方か?危うい雰囲気の一匹狼…ドルイグ

そして最後に紹介するのが、人里離れたアマゾンで暮らし、チームの一匹狼として独自に行動する男ドルイグだ。ディヴィアンツとの戦いに身を投じてきた彼だが、人類との関わり方に大きな疑問を抱いており、ほかのメンバーとの交流を避けてきた。

原作ではディヴィアンツを利用して世界を手中に収めようとしたり、現代でも古代の武器を手に入れるため、KGBの諜報員として仲間を拷問したりと、なにかと危ういドルイグ。その能力も人の心を操ってしまうという怖いもので、本作でも味方なのか敵なのか、大きな鍵を握る存在として登場。この役には、数々の作品で悪役を演じ存在感を発揮してきたバリー・コーガンが抜擢されている。

個性豊かな能力や背景を持つこれらエターナルズの面々は、滅亡の危機に瀕した地球を救うことができるのか?新たなヒーローチームの活躍を劇場で見届けたい。

文/サンクレイオ翼