気鋭のイラストレーターloundrawが初監督を務めたアニメーション映画『サマーゴースト』(公開中)の舞台挨拶付き上映会が11月14日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで開催され、小林千晃、島袋美由利、島崎信長、川栄李奈、loundraw監督が登壇。アフレコ現場の様子を振り返った島崎が、「『力を抜いてもらうために』ということで、皆さん座って収録をした。普通アニメのアフレコでは、立ち姿勢で足を肩幅に開いて…という感じでやる。既存のやり方に捉われないで、表現したいものを追い求めている現場だった」と告白。座ってアフレコすると聞いた時には、川栄も「驚いた」そうで、「騙されているのかなと思いました」と語り会場の笑いを誘った。

各界から注目を集めるイラストレーターのloundrawが、26歳にしてアニメーション映画監督デビューを果たした本作。脚本を「GOTH リストカット事件」で第3回本格ミステリ大賞を受賞した作家であり、映画監督でもある安達寛高(乙一)が務めた。都市伝説として噂される幽霊“サマーゴースト”を探しに行く若者たちのひと夏の出会いを描く青春群像劇だ。

loundraw監督は「やっと今日という日が来た」と切りだし、「今日という日は1日しかない。こうして初めて映画を観てくださった方のお顔を見られたのがすごくうれしい。今日の瞬間を忘れずにまた頑張っていきたい」と感無量の面持ち。「決して強いメッセージを押し付けたいというわけではなく、この映画を観てちょっと前に進むきっかけになったらいいなと思っています」と映画に込めた想いを明かし、「4人の心の動きをすごく意識して、観ている人が『これ私だな、これ僕だな』と思える要素がどこかに入っていることを大事にしました」と語っていた。

女性の幽霊を演じた川栄は、小林演じる主人公・友也の声が入った状態でアフレコに臨んだという。「もう聴き入ってしまって。めっちゃいい声って…」と小林の声に惚れ惚れ。小林が「ありがたいです」と照れ笑いをのぞかせるなか、川栄は「さっきも(舞台挨拶の)打ち合わせをして、『はい』という返事を一言を発しただけで、『え!』と思うくらい声がよくて2度見してしまった」と続けて、周囲を笑わせていた。

座った状態でのアフレコについては、島崎が「表現したいものを追い求め、そのためには一番どういうやり方がいいのかと突き詰めていた。いいなと思った」とloundraw監督が率いる現場の熱気を喜んだ。とはいえ「僕、立っていたほうがリラックスできる身体になってしまっている。『僕は立ってたほうが逆にいいかも』ということで、立ってやらせてもらった」と笑い、川栄も「えー!」とびっくり顔。小林も「アフレコでは濃い時間を過ごした」と充実の表情を浮かべ、「皆さんもこの作品と出会って、そんなに大きくはなにかが変わらなくても、ちょっとしたことを感じて、持ち帰って、人生に変化が起きるようなことがあればうれしい。それくらいのパワーを秘めている作品」とアピール。島袋も「人生の教科書のように、一歩踏みだす指針になれば」と心を込めた。

loundraw監督は「これまでの仕事であるイラストレーターからアニメーションを作るということで、なんでこの仕事をしているのか、なんでこれから頑張っていかなければいけないんだろうということまで、すべてを込めてこの作品ができた」としみじみ。「死にまつわる話ですが、僕のなかでは生の話。次にどうするかが大事だという、メッセージがある。僕もこの作品を踏まえて、さらに前に進みたい」と未来を見つめていた。

取材・文/成田 おり枝

※島崎信長の崎は立つ崎が正式表記