テレビアニメ「宇宙よりも遠い場所」(以下、「よりもい」)のいしづかあつこ監督とアニメーション制作のMADHOUSE、キャラクターデザインの吉松孝博の再タッグで贈るオリジナル劇場アニメーション、映画『グッバイ、ドン・グリーズ!』(2月18日公開)のスペシャルトーク付き試写会が開催され、いしづか監督、吉松とともに、元乃木坂46の松村沙友理が登壇した。

少年たちの奇跡のような出逢いの物語を描く本作。いつもと違う夏休みから始まる冒険の果てに、炎と氷の国、アイスランドにたどり着く少年たちが自らを見つめ、世界を超えて手にするものとは。キャストには花江夏樹、梶裕貴、村瀬歩、花澤香菜ら声優陣が集結。さらに、花江演じる主人公ロウマの両親をロンドンブーツ1号2号の田村淳と指原莉乃が演じることでも話題だ。

イベントはアニメ好きの松村がアニメファン代表としていしづか監督、吉松に質問する形式で進行した。企画経緯については「それらしいきっかけはほとんどない」としながらも「 “次はなにをやる?”というアイデアが自然に出てくるチームなので、前作制作中にいつのまにかできていた気がします」と振り返ったいしづか監督。「オリジナルでというのはチームみんなのなかにあって、もしかしたら、私が“次にチャレンジするなら映画かな?”と言ったかもしれないです」と微笑んだ。

「オリジナル作品へのこだわりは?」という松村の質問には「作り手の最終的な憧れだと思っています。自分が作品に込めた想いをお客様に受け取っていただけるのはすごく貴重なことですし、それができるのがオリジナルだと考えています。劇場で泣いて帰ってもらいたいという思いがあります」と説明した。松村は「私、オリジナル贔屓なところがあります」と笑顔を浮かべ、「ゼロから作りだしたものは尊い気がします」と強調。松村のこのコメントにいしづか監督は「作り手からすると、オリジナルはビクビクします。待っている人の期待値もわからないから」と反応。いしづか監督からリアクションを求められることが多いという吉松が「僕が、一番身近にいるお客さんなので」と付け加えるなど、トークでもチームワークの良さを見せていた。

ロウマとトト、ドロップの3人組が生まれた経緯についていしづか監督は「物語が固まる前から“男の子3人組で!”と伝えていました」とし、「ラフから一番印象が変わったのがドロップです」と明かすと吉松も「一番苦労したのはドロップでした」と告白。当初、高校3年生の設定だったがキャラクターデザインの段階で吉松が年齢層を低く変更。年齢設定が少し低くなったことでいしづか監督は「足を短くするようお願いしました。鈍臭いシルエットにしたかったのと、リアリティを出したかったからです」と経緯を明かし、「この作品に出てくるキャラクターはちょっぴり足が短めです」と愛おしそうに微笑んだ。

一番印象に残ったキャラクターはロウマだという松村は「花江さんが声をあてることで主人公感が強くなった気がします。ロウマの繊細なところや不器用なところも共感ができる。なんかあの感じが愛おしいんです!」と熱弁した。いしづか監督が「現場スタッフにはトトファンが多く、作品を観た人からはドロップがかわいいという感想をもらうことが多いんです。ロウマへの熱い思いを直接伺うことができて、本当にうれしいです。ありがとうございます!」とお礼を伝えると、松村が「ロウマファンクラブ会員番号001番を名乗っていいですか?」とかわいくおねだりする場面も。いしづか監督は満面の笑みを浮かべ「認定します!」と答えていた。

制作中は男子中高生気分になりきっていたといういしづか監督。「街中を歩く女子高生がいつもよりかわいく見えていました」と少し恥ずかしがりながらも、「ちょっと厨二病を患っていたかもです」と笑わせた。続けて、「男の子のバカバカしさには若干ブレーキを踏みました。それが“こういうのありそう!”と女の子にも感じてもらえる、ちょうどいいラインに収まった理由だと思います。苦労はしたけれど、なりきってみてよかったです」と茶目っ気たっぷりに微笑んだ。「いしづか監督は絵コンテの段階からオーダーがはっきりしている」と明かした吉松は「そのオーダーをどう表現していくのか。『よりもい』のときもそうでしたが、キャラクターへの愛情を育みながら作り上げていくのが僕の仕事です」と作業工程を解説した。

スクリーンで観ると“音”が印象的だと口を揃えたいしづか監督と吉松。吉松は「効果音がズンと響いて、画に説得力が出ます」と強調。いしづか監督も「劇場内で地響きがしてほしいという想いがありました。映画館でビリビリする感じを味わってほしいです」とアピールしていた。音繋がりで[Alexandros]による主題歌「Rock The World」についての感想を求められると、「ずっと頭のなかを回る曲!」とうれしそうに語るいしづか監督。疾走感があり、キャッチー、かつ男らしさもあって、青春映画という印象を与える音楽だと力説していた。

「さあ、宝物を見つけにいこう。」という本作のキャッチコピーにちなみ、自身の宝物を答えることになった3人。いしづか監督は「オリジナル作品で友情を描いてきました。その背景にあるのは学生時代の友達との関係です」と前置きし「いままで自分と仲良くしてくれた人、自分と思い出を作ってくれた人が私の宝物です」とまとめた。吉松が「キャラクターを生みだせる右腕です!」と胸を張ると、いしづか監督が「本当に大切な右腕なので、怪我をするときは左腕からお願いします」と伝え、笑いを誘う場面も。続く松村は「炊飯器」と回答。「お米が大好きで、最近、すごくいい炊飯器を手に入れました。お米の銘柄によって炊き方が変わるかなり優秀な炊飯器です!」と日々の生活を支える相棒のような存在でもある炊飯器の働きに、感謝を述べた。

最後の挨拶で吉松は「いしづか監督は感想をほしがるタイプ。ぜひ、SNSなどで感想をつぶやいてください」と呼びかけ、いしづか監督も「よろしくお願いいたします!」と深々とお辞儀。さらに「『よりもい』のエッセンスも入った作品です。具体的な内容は言えないし、ひっかけもあるけれど、それを見つけて楽しんでほしいです」と微笑み、トークイベントを締めくくった。

取材・文/タナカシノブ