『呪術廻戦』の原点であり、‟愛と呪いの物語”を描いた『劇場版 呪術廻戦 0』が公開中。テレビアニメ『呪術廻戦』の前日譚が描かれる本作で狗巻 棘役を演じている内山昂輝。劇場版では、主人公・乙骨憂太(声:緒方恵美)と出会う東京都立呪術高等専門学校で1年生だったころの狗巻が登場する。通常会話はすべておにぎりの具のみという独特なボキャブラリーと口元を隠したミステリアスさ、そして戦闘時には呪言という強力な能力で魅せる狗巻役の内山が、アフレコと自身の高校時代を振り返る。

■「いろいろな表現を試しながらシーンに合う言葉を選んでいった」

どの作品においても「キャラクターの魅力」を考えすぎないようにしているという。「自分が役を演じ、世に放たれた作品に関しては観る人に自由に感じ取ってほしい。やる側が魅力を意識し始めるとあざとくなる可能性もあるので、普段から“このキャラクターの魅力はこうだ”と決めつけないようにしています」と語る内山。狗巻が多くのファンを惹きつける理由について「キャラクターデザイン、それが動いたときのかっこよさ、かわいらしさと、呪言を発するシーンでの映像の迫力だったりするのかな。絵や映像に支えられている部分が大きいと感じています」と説明する。


圧倒的にセリフが少なく戦闘時以外はおにぎりの具のことしか言わない狗巻を演じるにあたり、どのようなディレクションがあったのだろうか。「最初のアフレコの前は、言葉数が限定されているなかで感情表現を豊かにするのか、あるいはサラッと言葉だけを置きにいくのか、どういうふうにしようかなと考えていましたが、アフレコが始まったら感情表現を豊かにしてほしいというリクエストでした。狗巻は『この言葉(具材)でこの感情を表現したい』という翻訳表を原作サイドからいただき細かなディレクションがあり、それを念頭において演じました。どの言葉にもちゃんと意味があって、結構細かいニュアンスを伝えようとしていることがわかりました。収録段階ではいろいろなパターンを試しました。1つの単語につき、かなりのテイク数を録った記憶があります。いろいろな表現を試しながら、シーンに合う言葉を選んでいった感じです」。

狗巻は、禪院真希(声:小松未可子)、パンダ(声:関 智一)の3人の中で、乙骨とは一番“横に並んでいる”印象が強い。「乙骨からしたら、どうコミュニケーションをとればいいのか、戸惑う場面も描かれていて、言葉数や話せる言葉を考えても、狗巻と交流を深めていくのは難しいだろうなと思っていました。狗巻も敵意があったわけではないけれど、真希やパンダとのすでに出来上がった関係性とは違って、最初はぎこちない感じがあります。僕は、テレビアニメの収録時に0巻を読んでいなかったので、今回、彼ら4人の関係性を知って、あの時の2年生たちはこの乙骨と離れた後だったんだ、と思いました」と明かした。


映画の見どころがアクションであることは言うまでもない。「特に後半のアクションに次ぐアクションは、映画館の大スクリーン、大音響で映える作品になっています。テレビシリーズの映像も、毎週放送される作品とは思えないくらいのレベルでしたが、それがさらなる高みまで到達しています。僕もアフレコの時から劇場で観るのをすごく楽しみにしていました」と微笑む内山。アフレコを振り返り「狗巻は呪言を使った分だけ、そのダメージが自分に跳ね返ってきます。圧倒的な威力を発揮しますが、すべて自分に戻ってくるからこそ覚悟を決めて攻撃します。僕が大切にしたかったのは、その度合いです。どのくらいの覚悟を持ってその攻撃を仕掛けようとしているのか。呪言の威力と狗巻のリスクをどんなふうに設定するかについては、細かく確認しながら収録していきました」とアプローチを解説した。

■「個性の強い先生には耐性があります(笑)」

乙骨、真希、狗巻、パンダの担任である五条先生にはどのような印象を持っているのだろうか。「個性的でいいと思います。ただ、僕の高校時代にもかなり個性の強い先生が多かったせいか、変わったキャラクターの先生には耐性があります(笑)。実は先日、母校で講演会をする機会があって、久しぶりに先生たちと会うことができました。高校時代には母校しか知らないから『先生ってこんなもんか』と特別キャラが濃いとは思わなかったけど、卒業して、大学を経て社会人となって仕事をするなかで、『あれ、なんか変だったのかも?』と感じるようになって。久しぶりに再会してわかりました。個性的な先生が多い学校だったんだなと。私立なので定年まで務める先生も多く、まったく変わってないなと実感しました。新しい先生もいましたが“新キャラ”と呼べるくらい、かなりクセがあっておもしろかったです。そんな高校時代があったから、五条先生もすんなり受け入れられたのかもしれません(笑)」。

乙骨、真希、狗巻、パンダのように、いつも一緒にいた仲間とは、いまでも良い関係が続いているという。「テストがかなりハードで、テスト週間は一夜漬けの毎日でボロボロでした。だからテスト最終日は、気の合う仲間と街へ繰り出し、ラーメン食べたり、ゲームセンターに行ったりして打ち上げのようなことをしていました。つかの間の休息という感じの楽しい思い出です。いまでも仲がよくて、この前も夜中にオンラインでマリオパーティをやりました。結婚して子どもがいる友だちは、子どもを寝かしつけてから参加したりして。三十代に突入したけど、関係性や感覚は当時のまま変わりません」。

取材・文/タナカシノブ