「これが本当に『スパイダーマン』の“ホームカミング・シリーズ”の完結編。ジョン・ワッツ監督は本当にすばらしい仕事をしたと思います」。2016年に公開された『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』からピーター・パーカー/スパイダーマン役としてMCU作品を走り抜けてきたトム・ホランドは、自身が単独主演を務めた3作すべてでメガホンをとったワッツ監督を称えながら、その締めくくりを飾る最新作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(公開中)への想いを、本作の“核心”に触れないように気を付けながら語りはじめた。

『スパイダーマン:ホームカミング』(17)と『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(19)。そしてその間には『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18)と『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)で活躍が描かれてきたMCU版スパイダーマン。前作『ファー・フロム・ホーム』のラストから連なる最新作では、ミステリオによってスパイダーマンの正体がピーター・パーカーであることが世界中に発信されるところから幕を開ける。人々の記憶を消そうとドクター・ストレンジに協力を依頼するピーターだったが、とあるミスによって“マルチバース”の扉が開かれてしまう。

「これまでの作品でのピーターは、“スパイダーマン”というよりも“スパイダーボーイ”だった。そんな彼がいかにして“スパイダーマン”へと成長していくのかが描かれるのが今回の作品です」と、一つの物語が終わり、また新たな物語がはじまることを示唆するホランド。「“親愛なる隣人”であるスパイダーマンが、実はジョン・ヒューズの映画に登場するような子どもっぽい高校生で、重大な責任を負うことで大人になっていく。これは新しいタイプのスーパーヒーロー映画だと思います」と自信をのぞかせる。

それだけにこのMCU版「スパイダーマン」3作を通して大切に描かれてきたのが、ゼンデイヤ演じるMJとの恋の進展や、ジェイコブ・バタロン演じる親友のネッドとの友情といった青春模様だ。そんな3人の物語についてホランドは「現場ではすぐに前作のクランクアップの日の状態に戻ってはしゃぎまわっていたので、きっとジョン(・ワッツ監督)にとっては悪夢だったと思います(笑)。でもそんな僕らのケミストリーがキャラクターたちに命を吹き込んでいて、僕らが実際にお互いを大好きだということが観客のみんなにも伝わるはずです」と語る。

ゼンデイヤはこの3人の関係について、インタビューのなかで「物語の核にキャラクター同士の友情や愛情があるからこそ、この作品は特別なものになっていると感じます。人生の変化の時を迎え、これまで以上に互いを支え合う必要に直面することで、3人の絆はさらに深まりを見せています」と説明。さらにバタロンも「ネッドとMJはピーターにとってなくてはならない大切な仲間。スクリーン上でもわかるように、僕らは本当の兄弟姉妹のようにすばらしい仲間で、僕は2人が死ぬほど大好きなんです」とあふれだす想いを語っており、その仲の良さが伺える。

そして本作のもう一つの注目点は、なんといっても過去のシリーズに登場したヴィランたちの再登場。ウィレム・デフォー演じるグリーン・ゴブリンや、アルフレッド・モリーナ演じるドクター・オクトパス、ジェイミー・フォックス演じるエレクトロら、演じる俳優たちもそのままにユニバースの枠を超えて出演するとあって、かつてのシリーズのファンにとっても必見の一本となっている。

ホランドは「『スパイダーマン』シリーズの大ファンの1人として、彼らが再びヴィランのコスチュームを着ることにとても興奮しました」と振り返り、「幾重にもストーリーが織り込まれ、ノスタルジックですばらしい祝祭のような作品になっていることが最大の魅力です。きっとファンは何回も観たくなるはずですし、僕も2回観ていますが、出演しているのに見落としているところがまだたくさんあるんです(笑)」と熱を込めた。

そして「僕が願っていることは、なによりも観客のみんながこの映画を楽しんでくれることです」といまなお不安な日々がつづく世界の情勢に触れるホランド。「現在のクレイジーな世界情勢から、たった2時間半だけでも逃避できる場所になってほしい。スクリーンのなかに広がるのはもっとクレイジーな世界だけど、安全で楽しいものです。絶対にガッカリさせないと確信していますし、この映画を観て充実感を味わって、僕たち3人にもっと愛情を持ってくれたらうれしいです」と語った。

構成・文/久保田 和馬