日本のアニメ業界の舞台裏をパワフルに描いた映画『ハケンアニメ!』(公開中)が相次いでロングランを記録中だ。原作は、直木賞&本屋大賞受賞作家の辻村深月が女性雑誌「anan」で約2年間連載し、読者たちを魅了した小説。ヒロインの新人監督、斎藤瞳(吉岡里帆)が様々な壁を越えて突き進む、痛快な一作となっている。
公開直後は興行的に苦戦を強いられたものの、映画を観たユーザーによる「この映画をもっと観てほしい!」という熱量と使命感がSNSを中心に広がり、ハッシュタグ「#残れハケンアニメ」を付けての熱量高めなコメントが、日々投稿されている。今回は、本作を含めて、日常のモヤモヤした気分を晴らしてくれる「明日頑張ろう!と思える映画」を7作品、厳選してご紹介する。

■明日の仕事が楽しみになる?お仕事映画『映画大好きポンポさん』『プラダを着た悪魔』

まずは『ハケンアニメ!』と同じ新人監督の奮闘を描いた『映画大好きポンポさん』(21)から。本作は、杉谷庄吾(人間プラモ)の同名人気コミックを映画化した長編アニメだ。「ニャリウッド」と呼ばれる映画業界で、映画通だが卑屈な性格の青年ジーン(声:清水尋也)が、幼女のような見た目の敏腕プロデューサー、ポンポさん(声:小原好美)に抜擢され、大作映画で初監督を務めることになる。10年ぶりとなる伝説的俳優の復帰、実力未知数の新人女優の起用、悪天候に見舞われる撮影など、多くの難題に映画愛で立ち向かっていくジーンがとにかく熱い!ネガティブな気持ちをバネにして、主人公が自分の生きる道を見つけていく。

アン・ハサウェイとメリル・ストリープが競演して大ヒットした『プラダを着た悪魔』(06)は、ニューヨークの華やかなファッション業界を描く鉄板サクセスストーリー。おしゃれピープルの憧れの的である雑誌「RUNWAY」の編集部に採用された新社会人の地味女子アンディ(ハサウェイ)が、泣く子も黙る鬼編集長ミランダ(ストリープ)のアシスタントに。昼夜問わず指示されるハイレベルな要求の数々に疲労困憊気味のアンディが、“ミランダの洗礼”に負けじとファッションと仕事をスキルアップさせていく様が勇ましい。プラダはもちろんのこと、シャネルやエルメスなど豪華な衣装の数々にも胸が弾む。仕事や学校で「なんだかやる気になれない」時はぜひ本作を。がんばり屋のヒロインから勇気をもらえるはず。

■支え合う男たちのアツい絆はやっぱりいい!『ショーシャンクの空に』『最強のふたり』

一方、リフレッシュしたい時にピッタリなのが、不朽の名作として知られるヒューマンドラマ『ショーシャンクの空に』(94)。無実の罪で服役することになった主人公アンディ(ティム・ロビンス)と、人生あきらめモードの調達係レッド(モーガン・フリーマン)ら囚人仲間たちが、牢獄の中で絆を育んでいく。暴力と汚職が蔓延る刑務所においても、地道に図書室の環境を整え、懲罰覚悟でレコードを館内放送したりと、希望を忘れないアンディを見ていると清々しい気持ちになる。人生に迷った時、大切なものを見つけるヒントをくれる一作だ。

男同士の友情が感動を呼ぶ作品をもう一つ。実話を基にしたフランス発のヒューマンコメディ『最強のふたり』(11)は、口コミが広がりロングランヒットとなった。車椅子生活の大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)と、彼の介助者として雇われたスラム出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)が、ぶつかりながらも互いを認め合っていく姿をユーモアたっぷりに描く。フィリップがドリスに誘われて危険な夜の街を散策する一方で、無教養なドリスは絵画やクラシック音楽に触れたりと、2人の“異文化交流”にワクワクさせられる。劇中には、フィリップの「彼(ドリス)だけは僕を対等に扱う」という印象的なセリフが。主従関係を越えた2人の心の触れ合いは、きっと忘れられないものになるはずだ。

■フレッシュかつバイタリティあふれる女の子にトキめき『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』『ズートピア』

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(19)は、誰もが知る古典文学をグレタ・ガーウィグ監督が現代的解釈で映画化した文芸作品。19世紀後半のアメリカを舞台に、貧しいながらも愛情たっぷりの家庭で育った4姉妹の運命を情緒豊かに映しだす。なんといっても目を引くのが、シアーシャ・ローナン扮する次女ジョーの行動力!小説家になる夢を叶えるため都会の出版社へ単身乗り込んだり、出兵中の父に代わって家計を助けようと髪をバッサリ切ってしまったりと、とにかく一直線な性格。しかし、負けん気の強い彼女も、時にはくじけそうになって涙を見せることも…。心のままに人間臭く生きるジョーを応援したくなる。

動物たちが平和に暮らす理想郷を描いたディズニー映画『ズートピア』(16)も、ポジティブ女子が活躍する1本。夢に燃えるウサギの新米警官ジュディ(声:上戸彩)が、キツネの詐欺師ニック(声:森川智之)と組んで、連続誘拐事件の裏に隠された陰謀を暴こうと大冒険を繰り広げる。象やバッファローなどの先輩たちに認められようと、ジュディが“当たって砕けろ精神”を武器に小さな体でがんばる姿がキュート!さらに謎解きあり、笑いあり、歌あり、アクションあり、動物ならではの愛らしい仕草ありと、誰でも楽しめるエンタメ要素も満載。しかし物語を最後まで観てみると、大人も唸る社会風刺が込められていることに気付くはず。

■泥臭い2人のアニメ監督のパワーに背中を押される『ハケンアニメ!』

吉岡里帆と中村倫也が共演する『ハケンアニメ!』では、才能豊かな2人のアニメ監督の“バトル”が描かれていく。公務員から一転してアニメ業界に飛び込んだ瞳(吉岡)の前に、自分の人生を前向きに変えたアニメの作者でカリスマ監督の王子千晴(中村)が立ちはだかる。瞳が初監督するアニメシリーズと同じ放送時間に、憧れの王子監督の新作がスタートすることに。メディアが対立関係を煽るなか、2人はアニメ業界の覇権を巡り、一騎打ちを展開する。

これまで“愛されキャラ”を演じることの多かった吉岡がその魅力を封印し、飾り気のない眼鏡にパーカーの“現場女子”を見事に体現。ビジネス優先のプロデューサー、行城理(柄本佑)に振り回されながら、曲者ぞろいのスタッフたちに手を焼き、空回りする様子がいじらしい!対する、中村演じる王子監督は、突然行方をくらまして挑発的な態度をとるエキセントリックな自由人。だが「納得できないものを世に出したらおしまいなんだよ!」と、机にかじりつくような泥臭さと情熱を秘めている。

本作では、2人の監督だけでなく、アニメーターや声優などアニメ作りに関わる人間が「おもしろい作品を作りたい」という想いで切磋琢磨する姿を描出。厳しいアニメ業界で生きる人間たちのドラマが胸に刺さる。

『ハケンアニメ!』を中心にピックアップした7選。観れば必ず、パワーをもらって活力を充電できるはず!

文/水越小夜子