2020年夏のサマームービーとして公開される予定から、幾度もの延期を経てついに2年越しで公開を迎えた『トップガン マーヴェリック』(日本公開中)。その期待値の高さは、歴史的メガヒットを記録した『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)の4662館を上回る4735館という、オープニングとしては過去最大の上映規模からもうかがうことができよう。先週末(5月27日から29日)の北米興収ランキングは、その期待に応えるように『トップガン マーヴェリック』が圧勝で初登場1位を飾った。

オープニング3日間の興行収入は1億2670万ドル。これは『宇宙戦争』(05)の6487万ドルを大きく上回る、トム・クルーズ主演作としては過去最高のオープニング成績。メモリアル・デー(戦没将兵追悼記念日)の祝日となった月曜日の興収を含めれば4日間で1億6000万ドルに到達し、1億8000万ドル以上を売り上げて年間No. 1ヒットとなった前作『トップガン』(86)の数字を超えるのも時間の問題。また世界興収も早々に3億2000万ドルを突破しており、日本でも初日から3日間で興収11億円を超える盛況ぶりを見せている。

前回の主演作『ミッション:インポッシブル フォールアウト』(18)でもオープニング興収6123万ドルと、1億ドル超えのオープニングが当たり前となった近年の傾向を考えると少々意外にも思えるが、クルーズ主演作の興行の安定ぶりはさすがのものだ。『トップガン』以降の主演作は最終興収1億ドル突破作がずらりと並び、興行的にも批評的にも伸び悩んだ作品でさえすべて5000万ドルを突破している。そんな輝かしいキャリアに、本作がさらなるインパクトを与えることになったことは言うまでもないだろう。北米でも全世界でも、クルーズ史上最大のヒット作となる可能性は充分だ。

なんと言っても注目すべきは、その圧倒的な賛辞の数々。批評集積サイト「ロッテン・トマト」によれば、批評家からの好意的評価の割合は97%、観客からは99%と絶賛一色。映画館から客足が遠のいたこの2年。“本物”への飽くなきこだわりで映画館体験の魅力を再認識させた功績は非常に大きく、来年のアカデミー賞レースで主要部門に名乗りを挙げる可能性が指摘されているほど。作品賞などへの参戦は年明けまで熱気が維持されるかがカギを握っているとはいえ、技術部門ではすでにノミネート射程圏内と見ても良さそうだ。

3位には2011年にスタートした人気アニメシリーズ「ボブズ・バーガーズ」初の劇場版となる『The Bob's Burgers The Movie』が初登場。3日間興収は1241万ドルと『トップガン マーヴェリック』の10分の1ではあるが、批評面も含めて堅調な出足。こちらも複数回の延期などの紆余曲折を経てようやく公開に漕ぎつけた作品であり、当初のスケジュールでは『トップガン マーヴェリック』と同じ2020年のサマーシーズン公開(こちらの方が3週遅い公開予定)だった。一周回って同日公開になったというのは、奇妙な縁を感じずにいられない。

文/久保田 和馬