3月1日、109シネマズプレミアム新宿にて、映画『舟を編む』の期間限定特別上映(リバイバル上映)初日舞台挨拶が開催され、松田龍平、石井裕也監督が登壇した。

本作は、三浦しをんの同名ベストセラーを松田龍平&宮崎あおいの主演で映画化したヒューマンドラマ。15年の歳月をかけて、24万語収録の一冊の辞書を作り上げていく主人公と、個性豊かな辞書編集部の仲間たちの姿を丁寧に描き出した作品となっている。第37回日本アカデミー賞では、最多タイとなる最優秀作品賞・最優秀監督賞・最優秀主演男優賞をはじめ13部門を受賞するなど話題になった。

松田は、「映画公開10周年ということで、こういう機会を設けていただいて光栄です。『初心に帰れ』ということかなと。『改めてもう一度あの頃の気持ちに立ち返ってやりなさい』という気持ちにさせられるような…。今日は本当にありがとうございます」と挨拶。

今回、舞台挨拶が行われた109シネマズプレミアム新宿では、フィルムで撮影されたこの作品において大きな意味を持つ35mmフィルムでの上映を行っているが、これに関し、石井監督は「ラグジュアリーなこの場所で、フィルムで観ていただけるのはありがたい。“たゆたう海”を感じるような“揺らぎ”をフィルム上映では感じていただけると思う。デジタルで観ているものとは別の何かを感じていただけるのでは。自分たちにとっても大切な作品です」と話した。

また、MCから「改めて本作はどのような作品か」と問われ、松田は「石井監督とタメなのですが、ちょうど僕が29歳で、20代最後の作品ということで結構気合いを入れてやったような記憶があります。そういう意味でも大事な作品で…」と回答。続けて「自分の中で『この作品がおもしろくならなかったら、俺は役者はもう終わりだ』ぐらいの気持ちは当時あった気がしますね。なんか結構追い詰められていたっていうか。自分の役者としての可能性を信じられないというか、なんかそういう気持ちがすごいあったなって、今ふと思い出したんですけど。そのときに『やれることを全部やってみよう』っていうのを(石井監督が)めちゃめちゃ受け止めてくれたというか」と振り返った。

すると石井監督が、ライトに「うん、そうでしょうね」と発言し、すかさず松田が「上からじゃん!そうでしょうねって(笑)」とツッコミ。会場からも笑いが漏れていたが、石井監督はポーカーフェイスのまま、「20代で若かったし、エネルギーはあったんでしょうけど、青かったりもして。でも同い年の松田さんと一緒にやったっていうのは、やっぱりかなり大きかった。今、この40歳になった2人でもう1回『舟を編む』を作るって言われても、多分まったく違う映画になったでしょうね。だからそういう意味では、すごい特殊な作品。僕としてはやっぱり名刺代わりの作品です」と真摯に語り、感慨深げな様子だった。

取材・文/平井あゆみ

※宮崎あおいの「崎」の正式表記はたつさき