“祖国の記録”を取り戻すために命がけのレースに挑むマラソン選手たちの闘いを史実に基づいて描いたヒューマンドラマ『ボストン1947』が今年夏に全国公開されることが決定。あわせてイメージポスターが到着した。

1936年、ベルリンオリンピックのマラソン競技において、日本は世界新記録を樹立。金メダルと銅メダルを獲得し、国民は歓喜に沸いた。しかし、その2個のメダルには秘められた想いがあった。日本代表としてメダルを獲得したソン・ギジョンとナム・スンニョンは、日本名の孫基禎と南昇竜として表彰式に立ったのだ。アジア・太平洋戦争の終結とともに、彼らの祖国=朝鮮半島は日本による植民地支配から解放されたが、メダルの記録は日本のまま。1947年、ギジョンとスンニョンはチームを組み、指導者として“祖国の記録”を取り戻すべく才能あふれる若き選手を歴史あるボストンマラソンに出場させる。

監督を務めたのは、全世界で熱狂を巻き起こした『シュリ』(99)、『ブラザーフッド』(04)のカン・ジェギュ。壮大なスケールで重厚なヒューマンドラマを描いてきた韓国映画界の名匠が、祖国解放から朝鮮戦争の間の時代に改めて光を当てる。韓国で伝説の人となった金メダル選手ギジョンを演じるのは『チェイサー』(08)、『1987、ある闘いの真実』(18)などに出演する、韓国のトップ俳優ハ・ジョンウ。ボストンで走る若手選手ソ・ユンボクには、最旬俳優として注目され「イカゲーム2」への出演も決まったイム・シワン。本格的な訓練を受けて体脂肪を6%まで落とし、マラソン選手としてのリアルな肉体を作り上げた。さらに、ベルリンで銅メダルを獲得したスンニョンに千の顔を持つ俳優として知られるぺ・ソンウが、ユンボクに想いを寄せるオクリムにドラマ「恋慕」、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」のパク・ウンビンが扮している。

ボストンマラソンとは世界でも長い歴史を持つ格式の高い大会で、東京やベルリンとともにワールドマラソンメジャーズ対象大会の1つ。今年は4月15日に開催され、パリ五輪代表の大迫傑が出場し、話題となった。

終戦後、スポーツを通じて力強く歩み出す人々の奮闘ぶりに迫った本作。映画を通じて、改めて日本と朝鮮半島の近現代史と向き合ってみたい。

文/スズキヒロシ